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17 間違った計画
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殿下を翻弄してやりましょう! とやる気に満ちた雪音ちゃんは、よくわからんが計画を練ってくれた。
「これは、えっと。計画として正解なの?」
だが、果たしてこれでマルセルがぎゃふんと言うのか。たぶん言わないと思う。これじゃない感のすごい計画を前に、控えめに苦言を呈すれば、雪音ちゃんは「ダメですね、カミ様」と得意気に腰に手をあてる。
「マルセル殿下をぎゃふんと言わせるには、間違いなくそれが一番です!」
「……もしかして、ぎゃふんと言わせるの意味が通じてない?」
俺は二十代の成人男性である。対する雪音ちゃんは華の女子高校生。数年とはいえジェネレーションギャップがある。それに俺は、芸能界にどっぷり浸かって、なんかこう年上の大人と会話する機会が多い。その中で揉まれてきた俺は、意外と親世代の会話にも違和感なく溶け込める自信があった。
対して、若い子との会話にはついていける自信はあんまりない。だって流行の入れ替わりがひでぇじゃん。つい最近タピオカやらカヌレやらが流行ったと思っていたらすぐに廃れとる。興味関心の移り変わりスピードが尋常ではない。俺は俺のことで精一杯なのだ。世間の流行とか追っている暇はない。
というわけで、もしかしたら雪音ちゃんは「ぎゃふんと言わせる」という言葉の意味を理解していない可能性があった。まぁ、あんまり聞かないわな。俺だって漫画や、仕事関係のおっさん達が飲み屋で口にしているのを見聞きする程度である。雪音ちゃんがこの言葉を初耳でもなんら不思議ではない。
だが雪音ちゃんは「それくらい知ってます。つまりはマルセル殿下にやり返したいってことですよね?」とニヤリと悪い笑みを浮かべている。うん、そうだ。意味的にはそれで正解である。ではなぜ?
雪音ちゃんから提案された計画案を、再度確認する。
「つまり、俺に色仕掛けをしろと?」
「はい!」
元気よくお返事した雪音ちゃん。気のせいかな? 色仕掛け作戦は、すでに殿下に気に入られよう作戦の内容となっていたはずである。今回は、要するに殿下への嫌がらせ作戦である。そこでなぜまた色仕掛けなのか。あと男相手に色仕掛けとかふざけとる。
「気に入られよう作戦と中身が変わってない」
率直に指摘すれば、雪音ちゃんが「これだからカミ様は!」となんかキレ気味に応じてくる。
「最後が違います」
「最後?」
「そうです。気に入られよう作戦の時は、殿下に色仕掛けしてそのまま手を出させるというものでした」
出させねぇよ? なんでマルセルが俺に手を出すこと前提で話進めてんだ。
「しかし今回は違います! 殿下が手を出す前に、カミ様が身を引いてやるんです!」
「う、うーん?」
まずい。マジで意味不明である。つまりはマルセル殿下を焦らしたいらしい。だがそれは可愛い女の子とかがやるから効果を発揮するのであって、二十歳過ぎた成人男性がやっても意味なくない?
いくらアイドルやってるとはいえ、下手すりゃ俺より顔の良いマルセル殿下相手に戦えるほどではない。その作戦には色々と無理がある。そう伝えるのだが、雪音ちゃんは引かない。「絶対にいけます」の一点張りである。少しは譲歩しろよ。アイドルに対する期待が過剰だと思います。
「てことで、カミ様はいつも通りマルセル殿下のことを誘惑してくださいね」
「いつも通りて。俺はマルセルを誘惑したことなんてないぞ」
「またまたぁ」
どうしよう。雪音ちゃんとの会話が成立しなくなった。この子、根は優しいのだが、たまにバグることがある。今まさにその状況だ。突然異世界召喚なんてされて、精神的にも参っているのだろう。それにしても暴走が酷いけど。
「それで! ここからが大事ですからね! マルセル殿下がカミ様に手を出そうとしたら、その瞬間ちょっと拒んでやるんですよ! これでマルセル殿下は悔しい思いをするはずです」
確かにね。気のある女の子にそれやられたらキツイかもしれない。だが今回は俺とマルセルである。そもそも前提からして成り立ちようがないのだが、その点は一切加味してくれないのが雪音ちゃんクオリティである。
ひとりではしゃぐ雪音ちゃんを横目に、俺は乾いた笑いしか出てこない。どうやら彼女、俺とマルセルをどうしても恋愛関係に持って行きたいらしい。なんでだよ。
「これは、えっと。計画として正解なの?」
だが、果たしてこれでマルセルがぎゃふんと言うのか。たぶん言わないと思う。これじゃない感のすごい計画を前に、控えめに苦言を呈すれば、雪音ちゃんは「ダメですね、カミ様」と得意気に腰に手をあてる。
「マルセル殿下をぎゃふんと言わせるには、間違いなくそれが一番です!」
「……もしかして、ぎゃふんと言わせるの意味が通じてない?」
俺は二十代の成人男性である。対する雪音ちゃんは華の女子高校生。数年とはいえジェネレーションギャップがある。それに俺は、芸能界にどっぷり浸かって、なんかこう年上の大人と会話する機会が多い。その中で揉まれてきた俺は、意外と親世代の会話にも違和感なく溶け込める自信があった。
対して、若い子との会話にはついていける自信はあんまりない。だって流行の入れ替わりがひでぇじゃん。つい最近タピオカやらカヌレやらが流行ったと思っていたらすぐに廃れとる。興味関心の移り変わりスピードが尋常ではない。俺は俺のことで精一杯なのだ。世間の流行とか追っている暇はない。
というわけで、もしかしたら雪音ちゃんは「ぎゃふんと言わせる」という言葉の意味を理解していない可能性があった。まぁ、あんまり聞かないわな。俺だって漫画や、仕事関係のおっさん達が飲み屋で口にしているのを見聞きする程度である。雪音ちゃんがこの言葉を初耳でもなんら不思議ではない。
だが雪音ちゃんは「それくらい知ってます。つまりはマルセル殿下にやり返したいってことですよね?」とニヤリと悪い笑みを浮かべている。うん、そうだ。意味的にはそれで正解である。ではなぜ?
雪音ちゃんから提案された計画案を、再度確認する。
「つまり、俺に色仕掛けをしろと?」
「はい!」
元気よくお返事した雪音ちゃん。気のせいかな? 色仕掛け作戦は、すでに殿下に気に入られよう作戦の内容となっていたはずである。今回は、要するに殿下への嫌がらせ作戦である。そこでなぜまた色仕掛けなのか。あと男相手に色仕掛けとかふざけとる。
「気に入られよう作戦と中身が変わってない」
率直に指摘すれば、雪音ちゃんが「これだからカミ様は!」となんかキレ気味に応じてくる。
「最後が違います」
「最後?」
「そうです。気に入られよう作戦の時は、殿下に色仕掛けしてそのまま手を出させるというものでした」
出させねぇよ? なんでマルセルが俺に手を出すこと前提で話進めてんだ。
「しかし今回は違います! 殿下が手を出す前に、カミ様が身を引いてやるんです!」
「う、うーん?」
まずい。マジで意味不明である。つまりはマルセル殿下を焦らしたいらしい。だがそれは可愛い女の子とかがやるから効果を発揮するのであって、二十歳過ぎた成人男性がやっても意味なくない?
いくらアイドルやってるとはいえ、下手すりゃ俺より顔の良いマルセル殿下相手に戦えるほどではない。その作戦には色々と無理がある。そう伝えるのだが、雪音ちゃんは引かない。「絶対にいけます」の一点張りである。少しは譲歩しろよ。アイドルに対する期待が過剰だと思います。
「てことで、カミ様はいつも通りマルセル殿下のことを誘惑してくださいね」
「いつも通りて。俺はマルセルを誘惑したことなんてないぞ」
「またまたぁ」
どうしよう。雪音ちゃんとの会話が成立しなくなった。この子、根は優しいのだが、たまにバグることがある。今まさにその状況だ。突然異世界召喚なんてされて、精神的にも参っているのだろう。それにしても暴走が酷いけど。
「それで! ここからが大事ですからね! マルセル殿下がカミ様に手を出そうとしたら、その瞬間ちょっと拒んでやるんですよ! これでマルセル殿下は悔しい思いをするはずです」
確かにね。気のある女の子にそれやられたらキツイかもしれない。だが今回は俺とマルセルである。そもそも前提からして成り立ちようがないのだが、その点は一切加味してくれないのが雪音ちゃんクオリティである。
ひとりではしゃぐ雪音ちゃんを横目に、俺は乾いた笑いしか出てこない。どうやら彼女、俺とマルセルをどうしても恋愛関係に持って行きたいらしい。なんでだよ。
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