聖女召喚に巻き込まれた単なるアイドルですが異世界で神と崇められています。誰か聖女を止めてくれ

岩永みやび

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44 なんもわかってない

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 なんか怖い顔をしたマルセルは、俺の言葉の意味を考えるように黙ってしまう。俺、そんな難しいこと言ったか? お望みであれば何度も言ってやるが?

 やがて、一度目を閉じたマルセルは「わかりました」と深く頷く。わかってくれたのならば、なによりである。

「じゃあ、そういうことで」

 一回話し合おうと提案して、腕を組む。だが、俺の言い分を理解したはずのマルセルが、なぜか再び俺を押し倒そうとしてくる。なんでや。

「マルセル!」
「わかりました。わかってますよ」
「じゃあなんだ! その手は!」

 俺の質問には答えず、なんかよくわからんうちに力尽くで押し倒してくる。やめろバカ。逃げられるわけもなく、どさりとベッドに倒れ込む俺。これはピンチである。

「ねえ! 待って、マルセル。なにを理解したの??」
「わかりました。大丈夫です」
「だから! なにが大丈夫なんだ!」

 ダメだ。なんか突然、マルセルとの会話が成立しなくなってしまった。大丈夫とひたすら繰り返すマルセルは、なにも大丈夫ではなかった。

 ぎゃあと叫ぶ俺に、一瞬だけ遠い目をしたマルセルは「じゃあ、こうしましょう」と、非常に上から目線で言葉を重ねてくる。

 上に覆い被さってきたマルセルは、手際よく俺の両手首をベッドに押さえつけるようにしてくる。身動きとれなくなった俺は、とりあえずマルセルを睨み付けておく。

「流れで決めましょう」
「断る」
「ではそういうことで」
「聞け!」

 流れってなんだ。俺がベッドに押し倒されている今、俺の方が圧倒的に不利な立場だ。こんな不正紛いの行為を認めてはいけない。

 けれども、マルセルはお構いなしに顔を近付けてくる。

 そのまま唇に、触れるだけの軽いキスをされた。

「待った! 仕切り直そう。また明日にしよう!」

 このままではいけない。なんか知らんが、マルセルに負けてしまう。ここは一時休戦としよう。

 慌てて提案するが、マルセルは微かに片眉を持ち上げるだけで、賛成してくれない。

「往生際が悪いですよ」
「知るか! いいから退け!」
「嫌です」

 きっぱりと俺の願いを切り捨てたマルセルは、再び唇をあわせてくる。先程の触れるだけのものとは違い、明らかに口内に侵入してこようとする気配を察知して、反射的に口元を引き結ぶ。しかし、不意打ちに首筋を撫でられて、短く悲鳴をあげてしまう。

 いつの間にか、両手の拘束は外れていたが、それどころではない。一瞬の隙をついて侵入してきた舌先で、口内を好き勝手に撫でられて、背すじに甘いものが走る。くすぐったさに身を捩るが、マルセルのせいでろくな抵抗ができない。

 ゆっくりと離れていくマルセルを涙目で睨みつけてやるが、あちらは涼しい顔である。

 勝手に上がる息をなんとか整えようとするが、マルセルは手を緩めない。

「ミナト」

 だからやめろって! 呼び捨てされるとすげぇ照れるの!

 そのまま下着をずらそうとしてくるマルセルに、再びぎゃあと悲鳴をあげるが、こいつはマジで止まらない。

 急所に触れられて、肩を揺らしたのも束の間。遠慮なしに握り込まれ、好き勝手に弄られる。

「っ、ちょ、んあ」

 上下に擦られて、ビクビクと腰が震える。力が入らなくなり、もはやされるがままである。

「んっ」
「ミナト」

 だから呼び捨てやめろと。
 だが、口を開いても出てくるのは嬌声ばかりで、どうしようもない。

 名前呼んで? と耳打ちしてくるマルセルに、ぎゅっと目を閉じる。けれども、ねだるようにひと際強く擦られて、思わず腰を浮かせる。

「っ、マルセル、ん」
「ミナト」

 甘ったるい声で名前を呼ばれるたびに、どうしようもないくすぐったさが襲ってくる。ミナト、ミナトと何度も繰り返すマルセルには、先程までの変な余裕はない。

 再び落とされた優しいキスに、抵抗はやめて。俺はただただ身を委ねた。
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