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番外編
採用試験を突破したい1
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そうだ、働こう。
それはエドワードの部屋でのんびりしていた時のことである。僕は天才的なことを思い付いてしまった。そうだよ、働けばいいのだ。
ことの始まりは数日前。
ぐだぐだと王太子殿下であるエドワードの愛人になってかれこれ数ヶ月。ただの愛人だというのに妙にエドワードが執着してくるな、と首を傾げていた頃である。
いつもと変わらずエドワードの相手をしてやっていた僕は聞いてしまった。なにやらエドワードに結婚云々の話が舞い込んでいるらしいということを。
そりゃそうか。王太子殿下だもんな。
跡継ぎ云々で政略結婚的な話があってもおかしくはない。エドワードはお断りしているそうだが、これはあれだ。他に本命の女の子がいるやつだ。
なんかこう、貴族の、由緒正しき家柄のお嬢様的な人がいるに違いない。すぐに結婚するつもりはないみたいだが、王太子である。そのうち大々的な結婚式でもやるに決まっている。国家行事的な感じで。
どうしよう。僕、捨てられる。
今はフリーのエドワードだが、流石に結婚したら話が変わる。愛人なんて囲っている暇ではないだろう。
途端に焦った僕は考えた。
他の男のところに転がり込んでもいいが、どうだろうか。正直エドワード以上の金づるって難しそうだ。一度上を知ってしまうとなかなか下に手を出す気になれない。エドワード以上に金持ちの男なんているのか。僕の新しい男探しは実に難航しそうである。
それに僕もいい歳だ。今は若いからいいけど。この先、歳を取ったらどうなる? 流石に男引っ掛けて養ってもらう生活を一生続けるのは無理だ。
急に現実を考え始めた僕はうんうんと頭を悩ませた。
そうして思い付いた。働こう、と。
僕は天才かもしれない。働いて給料貰えば男に養ってもらう必要はなくなる。ものすごく頭のいいことを思い付いてしまった。
早速エドワードにいい職場でも紹介してもらおう。
「おまえが働く? 冗談だろ」
思ってたんと違う。
僕の計画ではエドワードの伝手で良い職場を紹介してもらうはずだったのに肝心のエドワードが渋った。おまえ王太子だろうが。愛人の仕事の面倒くらい見ろよ。ケチな男である。
その後もエドワードは「おまえに仕事ができるとは思えない」「仕事ってあれだぞ。遊びじゃないんだぞ」「そもそも働く必要がない」とかなんとか言って職場を紹介してくれなかった。ドケチ野郎が。
仕方がないのでスコットに頼むことにしたのだが、彼の反応も微妙だった。
「リア様を紹介するのはちょっと。向こうにも悪いですし」
「どういう意味だ」
そんなこんなで初っ端から大きな壁にぶち当たった僕は、けれども諦めなかった。
エドワードに内緒で働こう。
なにやらエドワードは僕に働いて欲しくないらしい。「おまえを養えないほどの甲斐性なしに見えるか?」と不機嫌になってしまう。おそらく男としてのプライドが許さないのだろう。だがこっちはこれからの生活がかかっている。おまえのくだらないプライドに僕を巻き込むんじゃない。
ということで自分で職探しをすることにした。だがエドワードには秘密で働くのだ。彼にバレないような職場となると色々制約がある。まず、あまり遠くはダメ。エドワードの自室に入り浸ることの多い僕である。彼の自室から無理なく通える範囲が良い。そうなると相当近場じゃないと無理だ。
次にエドワードが近寄らない場所でなければならない。彼にバレないように働くのだ。彼が足を運ばないような場所が望ましい。働いている姿を見られたら終わりだからな。
そして希望としては給料の良いところがいい。これからの僕の生活費を賄うのだ。それなりの額をもらえるところでないと厳しい。かといって肉体労働は僕には向かない。
こう考えると難しいな?
そうしてしばらく考え込んでいた僕は、ある日唐突に閃いた。
そうだ、王宮で働こう。
それはエドワードの部屋でのんびりしていた時のことである。僕は天才的なことを思い付いてしまった。そうだよ、働けばいいのだ。
ことの始まりは数日前。
ぐだぐだと王太子殿下であるエドワードの愛人になってかれこれ数ヶ月。ただの愛人だというのに妙にエドワードが執着してくるな、と首を傾げていた頃である。
いつもと変わらずエドワードの相手をしてやっていた僕は聞いてしまった。なにやらエドワードに結婚云々の話が舞い込んでいるらしいということを。
そりゃそうか。王太子殿下だもんな。
跡継ぎ云々で政略結婚的な話があってもおかしくはない。エドワードはお断りしているそうだが、これはあれだ。他に本命の女の子がいるやつだ。
なんかこう、貴族の、由緒正しき家柄のお嬢様的な人がいるに違いない。すぐに結婚するつもりはないみたいだが、王太子である。そのうち大々的な結婚式でもやるに決まっている。国家行事的な感じで。
どうしよう。僕、捨てられる。
今はフリーのエドワードだが、流石に結婚したら話が変わる。愛人なんて囲っている暇ではないだろう。
途端に焦った僕は考えた。
他の男のところに転がり込んでもいいが、どうだろうか。正直エドワード以上の金づるって難しそうだ。一度上を知ってしまうとなかなか下に手を出す気になれない。エドワード以上に金持ちの男なんているのか。僕の新しい男探しは実に難航しそうである。
それに僕もいい歳だ。今は若いからいいけど。この先、歳を取ったらどうなる? 流石に男引っ掛けて養ってもらう生活を一生続けるのは無理だ。
急に現実を考え始めた僕はうんうんと頭を悩ませた。
そうして思い付いた。働こう、と。
僕は天才かもしれない。働いて給料貰えば男に養ってもらう必要はなくなる。ものすごく頭のいいことを思い付いてしまった。
早速エドワードにいい職場でも紹介してもらおう。
「おまえが働く? 冗談だろ」
思ってたんと違う。
僕の計画ではエドワードの伝手で良い職場を紹介してもらうはずだったのに肝心のエドワードが渋った。おまえ王太子だろうが。愛人の仕事の面倒くらい見ろよ。ケチな男である。
その後もエドワードは「おまえに仕事ができるとは思えない」「仕事ってあれだぞ。遊びじゃないんだぞ」「そもそも働く必要がない」とかなんとか言って職場を紹介してくれなかった。ドケチ野郎が。
仕方がないのでスコットに頼むことにしたのだが、彼の反応も微妙だった。
「リア様を紹介するのはちょっと。向こうにも悪いですし」
「どういう意味だ」
そんなこんなで初っ端から大きな壁にぶち当たった僕は、けれども諦めなかった。
エドワードに内緒で働こう。
なにやらエドワードは僕に働いて欲しくないらしい。「おまえを養えないほどの甲斐性なしに見えるか?」と不機嫌になってしまう。おそらく男としてのプライドが許さないのだろう。だがこっちはこれからの生活がかかっている。おまえのくだらないプライドに僕を巻き込むんじゃない。
ということで自分で職探しをすることにした。だがエドワードには秘密で働くのだ。彼にバレないような職場となると色々制約がある。まず、あまり遠くはダメ。エドワードの自室に入り浸ることの多い僕である。彼の自室から無理なく通える範囲が良い。そうなると相当近場じゃないと無理だ。
次にエドワードが近寄らない場所でなければならない。彼にバレないように働くのだ。彼が足を運ばないような場所が望ましい。働いている姿を見られたら終わりだからな。
そして希望としては給料の良いところがいい。これからの僕の生活費を賄うのだ。それなりの額をもらえるところでないと厳しい。かといって肉体労働は僕には向かない。
こう考えると難しいな?
そうしてしばらく考え込んでいた僕は、ある日唐突に閃いた。
そうだ、王宮で働こう。
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