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17歳
822 適当にしゃべってる
ケチなマーティーは、好きな人が誰なのか教えてくれない。別にそこまで真剣に聞き出したかったわけでもないので、俺も適当な所で諦めることにした。
部屋に戻る途中、ふと思い立った俺はオーガス兄様の部屋へ向かうことにした。
「急に行ったら迷惑じゃないか?」
なぜか弱腰になるマーティー。オーガス兄様は、おそらくエリックと一緒にいる。俺たちが行ったところで特に問題はないと思う。
「ブルース兄様もいるかな?」
『いるんじゃない』
わくわくと尻尾を振っている綿毛ちゃんは、積極的に階段をあがる。小さいもふもふの後を追って二階に行くと、マーティーが「本当に行くのか?」と情けない顔になった。
「なんかダメなの?」
「ダメというわけではないんだが」
煮え切らない態度のマーティーは、どうやら突然兄様たちのいる部屋に乗り込むことに罪悪感を覚えるらしい。聞けば、家でもそんなにエリックの部屋に行かないと言う。
「なんで? エリックがダメって言うの?」
「ダメとは言われていないが。僕だってそれなりに遠慮する」
「なんで?」
「なんでと言われても。逆にルイスはなんでそんなに遠慮がないんだ」
マーティーに問われて、俺は「え?」と眉間に力を入れた。兄様相手に遠慮しなきゃいけない理由ってなに。そんなのないよね。
「ユリスも勝手に兄様の部屋に入ったりするよ。たまにブルース兄様の部屋を荒らしてる」
「なにをしてるんだ、ユリスは」
ユリスはとにかく兄様たちの欠点や失敗を見つけたいのだ。昔からそう。
だから兄様の部屋に侵入して、なにか兄様が隠している物がないか探っているのだ。ちょっと前にそれがブルース兄様にバレて怒られていた。なぜか居合わせた俺まで怒られた。あれは今でも納得していない。
「ブルース兄様はお酒隠してるくらいだけどね」
いくら探っても変な物が見つからない。あまり面白くないのだ。しかしお酒も隠す必要はないと思うんだけど。なぜかブルース兄様は、昔からお酒を隠すという変な癖がある。
「たぶんね、アロンに盗られるから隠してるんだよ」
「へー、大変だな」
雑に相槌を打ったマーティーだが、直後に「あの人ならそういうことやりそうだな」と急にアロンを貶した。アロンの評判が散々である。
マーティーは、そんなに兄弟仲良く遊ぶという感じではないようだ。王族だからだろうか。同じ家に住んでいるのに、気軽に接しないというのは俺からすれば変な感じである。
『それでぇ? マーティーくんは、いつからガブリエルさんのことが好きなのぉ?』
「僕がいつガブリエルのことが好きだと言った」
毛玉の適当な質問に、マーティーがちょっと嫌そうに答えた。そうだな。マーティーはガブリエルが好きだなんて一度も言っていない。
「この毛玉はね、毎日適当におしゃべりしてるから。意味のある会話はしないんだよ」
『すっごく失礼だね』
むぎゅっと顔に力を入れる綿毛ちゃんは、変な顔だった。
そうこうしているうちに、お目当ての部屋に到着した。
「オーガス兄様?」
ノックもそこそこにドアを開けようとするが、なぜかニックが飛び出してきた。
「あ、ルイス様。どうしたんですか」
「ニックこそ。なんでオーガス兄様の部屋にいるの? もうセドリックの追っかけはやめたの?」
四六時中セドリックのことだけを考えているニックである。セドリックの側にいないなんて珍しい。驚く俺に、ニックが「いや。俺の仕事はオーガス様の側にいないと務まりませんが?」と呆れたような顔をした。
こいつ、よくそんなことが言えたな。
いつもオーガス兄様を放り出してセドリックにべったりのくせに。
「オーガス兄様は?」
「今、エリック様とお話中なので。邪魔しないでください」
「邪魔しないから入っていい?」
「いや、ルイス様はいるだけで邪魔になるのでダメですね」
「なんだと」
失礼なニックの足を蹴ってやる。俺の真似してニックの足を踏む毛玉は悪い顔をしている。
「ほら。あっちに行っててくださいよ」
俺の扱いが雑なニックは、マーティーの存在を認めても態度を変えない。ニックのこういうところは素直にすごいと思う。
「エリックにさ。帰る前に俺の部屋来てって言っといて」
「はいはい。わかりましたから」
「絶対だよ! 羊のぬいぐるみ見せてあげるんだから!」
「そんなもの見せる必要あります?」
あるだろ。せっかくオーガス兄様が俺のために用意してくれたプレゼントなのだ。まぁ実際に用意したのはラッセルらしいけど。とりあえず自慢しておいた方がいいと思う。
部屋に戻る途中、ふと思い立った俺はオーガス兄様の部屋へ向かうことにした。
「急に行ったら迷惑じゃないか?」
なぜか弱腰になるマーティー。オーガス兄様は、おそらくエリックと一緒にいる。俺たちが行ったところで特に問題はないと思う。
「ブルース兄様もいるかな?」
『いるんじゃない』
わくわくと尻尾を振っている綿毛ちゃんは、積極的に階段をあがる。小さいもふもふの後を追って二階に行くと、マーティーが「本当に行くのか?」と情けない顔になった。
「なんかダメなの?」
「ダメというわけではないんだが」
煮え切らない態度のマーティーは、どうやら突然兄様たちのいる部屋に乗り込むことに罪悪感を覚えるらしい。聞けば、家でもそんなにエリックの部屋に行かないと言う。
「なんで? エリックがダメって言うの?」
「ダメとは言われていないが。僕だってそれなりに遠慮する」
「なんで?」
「なんでと言われても。逆にルイスはなんでそんなに遠慮がないんだ」
マーティーに問われて、俺は「え?」と眉間に力を入れた。兄様相手に遠慮しなきゃいけない理由ってなに。そんなのないよね。
「ユリスも勝手に兄様の部屋に入ったりするよ。たまにブルース兄様の部屋を荒らしてる」
「なにをしてるんだ、ユリスは」
ユリスはとにかく兄様たちの欠点や失敗を見つけたいのだ。昔からそう。
だから兄様の部屋に侵入して、なにか兄様が隠している物がないか探っているのだ。ちょっと前にそれがブルース兄様にバレて怒られていた。なぜか居合わせた俺まで怒られた。あれは今でも納得していない。
「ブルース兄様はお酒隠してるくらいだけどね」
いくら探っても変な物が見つからない。あまり面白くないのだ。しかしお酒も隠す必要はないと思うんだけど。なぜかブルース兄様は、昔からお酒を隠すという変な癖がある。
「たぶんね、アロンに盗られるから隠してるんだよ」
「へー、大変だな」
雑に相槌を打ったマーティーだが、直後に「あの人ならそういうことやりそうだな」と急にアロンを貶した。アロンの評判が散々である。
マーティーは、そんなに兄弟仲良く遊ぶという感じではないようだ。王族だからだろうか。同じ家に住んでいるのに、気軽に接しないというのは俺からすれば変な感じである。
『それでぇ? マーティーくんは、いつからガブリエルさんのことが好きなのぉ?』
「僕がいつガブリエルのことが好きだと言った」
毛玉の適当な質問に、マーティーがちょっと嫌そうに答えた。そうだな。マーティーはガブリエルが好きだなんて一度も言っていない。
「この毛玉はね、毎日適当におしゃべりしてるから。意味のある会話はしないんだよ」
『すっごく失礼だね』
むぎゅっと顔に力を入れる綿毛ちゃんは、変な顔だった。
そうこうしているうちに、お目当ての部屋に到着した。
「オーガス兄様?」
ノックもそこそこにドアを開けようとするが、なぜかニックが飛び出してきた。
「あ、ルイス様。どうしたんですか」
「ニックこそ。なんでオーガス兄様の部屋にいるの? もうセドリックの追っかけはやめたの?」
四六時中セドリックのことだけを考えているニックである。セドリックの側にいないなんて珍しい。驚く俺に、ニックが「いや。俺の仕事はオーガス様の側にいないと務まりませんが?」と呆れたような顔をした。
こいつ、よくそんなことが言えたな。
いつもオーガス兄様を放り出してセドリックにべったりのくせに。
「オーガス兄様は?」
「今、エリック様とお話中なので。邪魔しないでください」
「邪魔しないから入っていい?」
「いや、ルイス様はいるだけで邪魔になるのでダメですね」
「なんだと」
失礼なニックの足を蹴ってやる。俺の真似してニックの足を踏む毛玉は悪い顔をしている。
「ほら。あっちに行っててくださいよ」
俺の扱いが雑なニックは、マーティーの存在を認めても態度を変えない。ニックのこういうところは素直にすごいと思う。
「エリックにさ。帰る前に俺の部屋来てって言っといて」
「はいはい。わかりましたから」
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