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17歳
681 一緒に入る?
そろそろ出発するというので馬車に乗り込む。なにやらアロンとエドウィンが言い争いをしていたが、面倒なので首を突っ込むのはやめておいた。
ヴィアン家を出てからというもの。あのふたりはたびたび言い争いをしている。どうも旅の日程やらなにやらに関して揉めているらしい。一応今回の旅においては、第二部隊長のエドウィンが責任者的立場にある。だが、そういうのを気にしないのがアロンである。エドウィンの指示に、いちいち反発しているらしい。エドウィンも大変だな。変な奴に絡まれて。
大抵はロニーが間に入っておさめている。サムではアロンを止められない。頑張れ、ロニー。
心の中でこっそり応援していれば、フランシスが「湖でなにを見ていたんだい?」と笑いかけてきた。
「魚がいないか見てたけど。なにもいなかったよ」
「そうか。それは残念」
くすくす笑うフランシスは、ティアンに意味深な視線を投げている。ティアンがどうかしたんだろうか。「なに?」と尋ねてみるが、フランシスは答えてくれない。
首を捻って、ユリスに視線を移す。腕を組んで早くもお休み体勢に入っているユリスの肩を叩いておく。
「ユリス。ずっと寝てたらダメだよ」
先程タイラーにも注意されていた。よくそんなに眠れるな。ちょっと呆れていれば、ユリスが短く息を吐いた。
「おまえはなぜそんなに元気なんだ」
「ユリスはもうちょっと元気出した方がいいよ」
やる気のない表情で壁にもたれるユリスは、普段よりもおとなしい。いつもであれば帰りたいと文句のひとつでもこぼす頃である。ユリスも成長したなぁ。しみじみ思っているうちに馬車が動き出す。
フランシスと俺がぽつぽつ会話して、たまにティアンも口を挟む。ユリスは無言。
そんな感じでのんびりしているうちに街に入ったようだ。人の騒めきが響いてきて、なんとなく楽しい雰囲気だ。
到着した宿は、またもや高級そうな外観であった。一番賑わっている街の中心からは少し離れているらしく、やや落ち着いた雰囲気だ。
「俺はアロンと同じ部屋?」
朝の会話を思い出してティアンに訊けば、すかさず「違います。ルイス様は僕と一緒です」と返ってくる。
ジャンが荷物を運んでくれるので、手ぶらで部屋に向かう。昨日と同様に寝室が別できちんと備わっている。ふらふら部屋を見てまわって、ソファに腰を下ろす。
寝室はふたつ並んだベッドの枕側に大きな窓があった。俺は窓際がいいんだけど、今日はどっちでも一緒だな。強いて言うならドアに近いか否かの違い。
「……」
じっと考え込んでいれば、ティアンは上着を脱いで寝室に引っ込んでしまう。それを見て慌てて「待って!」と追いかける。
「なんですか」
「俺が決める!」
「はいはい」
どちらでもどうぞと言われて、ドアから遠い奥のベッドを陣取ることにした。ドア側はティアンに譲る。寝室を出て、再び部屋の中央にあるソファに腰を落ち着ける。荷物をあさりながらティアンが俺に目をやった。
「ルイス様。お風呂お先にどうぞ」
大浴場があるらしいが、そちらではなく部屋に備え付けの風呂を使えとエドウィンに言われている。さすが高級宿。普通は部屋に風呂なんてないらしい。一体一泊いくらなのだろうか。
先程確認したけど、部屋の風呂もそこそこ広かった。荷物を運ぶ際にジャンがお湯をためておいてくれたので、今からでも入れる。
ソファに座ったまま靴と靴下を脱ぎ捨てる。ティアンが「なんでここで脱ぐんですか」と文句を言うけど聞き流しておく。
馬車に座っていただけなのに、すごく疲れた。ティアンも同じように疲れていると思う。俺より早起きしていたし、明日も早起きなのだろう。ティアンも早く休みたいんじゃないだろうか。そして風呂はそこそこ広かった。
「一緒に入る?」
「……はぁ!?」
考えた末に提案すれば、ティアンが素っ頓狂な声を上げた。もはや悲鳴に近い叫びに、顔をしかめておく。
「嫌なの? 結構広かったよ」
「いやいや。広さの問題じゃないですって!」
「じゃあなんの問題なの?」
「それはっ……!」
なぜか言葉を切ったティアンは、迷うように口をはくはくさせている。別に一緒に風呂に入るくらい良くない? 俺、本当は大浴場に行きたかった。そちらの方が絶対に楽しい。
でもエドウィンが絶対にダメというので仕方がない。多分護衛が面倒とかそういう理由だと思う。大浴場はいろんな人が利用するからね。
「ほら、入るよ」
「ルイス様おひとりでどうぞ」
釣れないティアンに、眉を寄せる。今回の旅、俺は気分的には修学旅行。風呂くらい一緒でもいいだろ。
「面倒だから髪洗って」
「いつもご自分で洗ってるでしょ」
「家の風呂とは違うからよくわかんない」
「昨日はおひとりで入っていましたよね?」
ああ言えばこう言う。いちいち反論してくるティアンは遊び心がなくて困る。昨日の宿はここより風呂が狭かったのだ。
「友達とお泊まりしたら一緒に風呂くらい入るでしょ!」
「入りませんよ!」
嘘だ。広い風呂があったら一緒に入るだろ。修学旅行で大浴場は絶対だってば。大浴場は行けないけど。
むうっと黙り込んでいれば、ティアンがソファに座った俺を横抱きしてきた。ティアンのくせに俺を抱っこするなんて生意気。そのまま脱衣所まで連行される。
「はい。さっさと入ってください」
着替えとタオルを渡されて、ドアがきっちり閉じられる。ティアンはどうしても俺と一緒に入りたくないらしい。なんでだ?
ヴィアン家を出てからというもの。あのふたりはたびたび言い争いをしている。どうも旅の日程やらなにやらに関して揉めているらしい。一応今回の旅においては、第二部隊長のエドウィンが責任者的立場にある。だが、そういうのを気にしないのがアロンである。エドウィンの指示に、いちいち反発しているらしい。エドウィンも大変だな。変な奴に絡まれて。
大抵はロニーが間に入っておさめている。サムではアロンを止められない。頑張れ、ロニー。
心の中でこっそり応援していれば、フランシスが「湖でなにを見ていたんだい?」と笑いかけてきた。
「魚がいないか見てたけど。なにもいなかったよ」
「そうか。それは残念」
くすくす笑うフランシスは、ティアンに意味深な視線を投げている。ティアンがどうかしたんだろうか。「なに?」と尋ねてみるが、フランシスは答えてくれない。
首を捻って、ユリスに視線を移す。腕を組んで早くもお休み体勢に入っているユリスの肩を叩いておく。
「ユリス。ずっと寝てたらダメだよ」
先程タイラーにも注意されていた。よくそんなに眠れるな。ちょっと呆れていれば、ユリスが短く息を吐いた。
「おまえはなぜそんなに元気なんだ」
「ユリスはもうちょっと元気出した方がいいよ」
やる気のない表情で壁にもたれるユリスは、普段よりもおとなしい。いつもであれば帰りたいと文句のひとつでもこぼす頃である。ユリスも成長したなぁ。しみじみ思っているうちに馬車が動き出す。
フランシスと俺がぽつぽつ会話して、たまにティアンも口を挟む。ユリスは無言。
そんな感じでのんびりしているうちに街に入ったようだ。人の騒めきが響いてきて、なんとなく楽しい雰囲気だ。
到着した宿は、またもや高級そうな外観であった。一番賑わっている街の中心からは少し離れているらしく、やや落ち着いた雰囲気だ。
「俺はアロンと同じ部屋?」
朝の会話を思い出してティアンに訊けば、すかさず「違います。ルイス様は僕と一緒です」と返ってくる。
ジャンが荷物を運んでくれるので、手ぶらで部屋に向かう。昨日と同様に寝室が別できちんと備わっている。ふらふら部屋を見てまわって、ソファに腰を下ろす。
寝室はふたつ並んだベッドの枕側に大きな窓があった。俺は窓際がいいんだけど、今日はどっちでも一緒だな。強いて言うならドアに近いか否かの違い。
「……」
じっと考え込んでいれば、ティアンは上着を脱いで寝室に引っ込んでしまう。それを見て慌てて「待って!」と追いかける。
「なんですか」
「俺が決める!」
「はいはい」
どちらでもどうぞと言われて、ドアから遠い奥のベッドを陣取ることにした。ドア側はティアンに譲る。寝室を出て、再び部屋の中央にあるソファに腰を落ち着ける。荷物をあさりながらティアンが俺に目をやった。
「ルイス様。お風呂お先にどうぞ」
大浴場があるらしいが、そちらではなく部屋に備え付けの風呂を使えとエドウィンに言われている。さすが高級宿。普通は部屋に風呂なんてないらしい。一体一泊いくらなのだろうか。
先程確認したけど、部屋の風呂もそこそこ広かった。荷物を運ぶ際にジャンがお湯をためておいてくれたので、今からでも入れる。
ソファに座ったまま靴と靴下を脱ぎ捨てる。ティアンが「なんでここで脱ぐんですか」と文句を言うけど聞き流しておく。
馬車に座っていただけなのに、すごく疲れた。ティアンも同じように疲れていると思う。俺より早起きしていたし、明日も早起きなのだろう。ティアンも早く休みたいんじゃないだろうか。そして風呂はそこそこ広かった。
「一緒に入る?」
「……はぁ!?」
考えた末に提案すれば、ティアンが素っ頓狂な声を上げた。もはや悲鳴に近い叫びに、顔をしかめておく。
「嫌なの? 結構広かったよ」
「いやいや。広さの問題じゃないですって!」
「じゃあなんの問題なの?」
「それはっ……!」
なぜか言葉を切ったティアンは、迷うように口をはくはくさせている。別に一緒に風呂に入るくらい良くない? 俺、本当は大浴場に行きたかった。そちらの方が絶対に楽しい。
でもエドウィンが絶対にダメというので仕方がない。多分護衛が面倒とかそういう理由だと思う。大浴場はいろんな人が利用するからね。
「ほら、入るよ」
「ルイス様おひとりでどうぞ」
釣れないティアンに、眉を寄せる。今回の旅、俺は気分的には修学旅行。風呂くらい一緒でもいいだろ。
「面倒だから髪洗って」
「いつもご自分で洗ってるでしょ」
「家の風呂とは違うからよくわかんない」
「昨日はおひとりで入っていましたよね?」
ああ言えばこう言う。いちいち反論してくるティアンは遊び心がなくて困る。昨日の宿はここより風呂が狭かったのだ。
「友達とお泊まりしたら一緒に風呂くらい入るでしょ!」
「入りませんよ!」
嘘だ。広い風呂があったら一緒に入るだろ。修学旅行で大浴場は絶対だってば。大浴場は行けないけど。
むうっと黙り込んでいれば、ティアンがソファに座った俺を横抱きしてきた。ティアンのくせに俺を抱っこするなんて生意気。そのまま脱衣所まで連行される。
「はい。さっさと入ってください」
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