染まらない花

煙々茸

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家族2

2-2

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「あれ、知らない? 相見って結構人気あるんだよー?」
「……はあ?」
 顔を上げて反応した俺を、ニヤリと唐木が笑んだ。
「相見ってめちゃくちゃクールじゃん? でも時々見せる笑顔とか頭の良さとか、結構好感度高くてさあ。でも近寄り難いオーラ放ってるから声かけられないんだって、女子が言ってたよ」
「……」
「あとは、洗礼された肉体美!」
「お前、言ってて恥ずかしくないのか?」
 目を細め、ピクリと眉の跳ねた俺に、唐木は平然と続けた。
「全然? だって本当のことだし。だから女の子たちがプールに押しかけて来るんでしょ」
「そんなのは知らん」
「ホント、クールなんだからー。少しは照れてみようよ、ね?」
 俺は無視して次の問題を解きにかかる。
 反応を示さないでいると、諦めたのか唐木もペンを握り直したようだ。
 しかし、数分してまた喋り出した。
「そういえば、あの手紙はちゃんと読んだの?」
「……まあ」
「それで!? 何て書いてあったの?」
 やたら食いついてくる唐木を見据え、溜めた空気を鼻から吐き出す。
「……別に、大したことは書いてなかったな。ただ、少し話しをしたいって呼び出されはしたけど」
「本当に!? 誰だったの? 行くの??」
「おま、しつこい……!」
 今にも掴みかかってきそうな勢いの唐木をグィっと片手で押しやる。
「大河くーん。少し休憩にしない?」
(え……李煌さん?)
 扉の向こうから声がかかり、ふたり同時に振り向く。
 そして扉が開き、トレーを持った李煌さんが綺麗な笑顔を浮かべながら入って来た。
「随分賑やかな勉強会だね。進んでる?」
(ヤバイ……。今日の李煌さんの服装も一段と可愛くてキレ――)
「キレイな人ですね! えっと、お兄さんですよね?」
 一瞬心の声が口から飛び出たのではないかと、高鳴る心臓をひっそりと鷲掴む。
「はは。綺麗なんて全然だよ。俺は長男の李煌っていいます。よろしくね」
「僕は唐木ミナトです。いつも弟くんにはお世話になってます」
 ふたりがニコニコしながら挨拶を交わす傍らで、俺は勉強道具を一旦テーブルから下ろし、李煌さんが持ってきてくれたジュースやお菓子を置いた。
「あ、良かったらお兄さんも交ざりませんか?」
 ――ピクリ。
 唐木の提案に俺の肩が跳ねた。
(李煌さん、忙しくないのかな……)
 なんとなく気にしながら李煌さんを見ると、彼も俺を見てフッと笑った。
(ちょ……反則っ)
 拳の背を口に当てて焦る俺とは裏腹に、李煌さんはいつも通り柔らかい笑みを浮かべながら腰を下ろした。
「じゃあちょっとだけ。――学校での大河くんって、どんな感じ?」
「え、李煌さん……っ?」
「いいじゃない。こういう時じゃないと知ることできないんだし」
 この笑顔を向けられたら、逆らうことなんか俺にはできない。
 項垂れる俺を置いて、唐木が口を開く。
「すっごくモテモテですよー? 生徒にも先生にも。まあ、ちょっとクール過ぎてとっつき難いところもありますけど、人気があるのは確かですね」
(いや、先生も含まれているなんて初耳だぞ)
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