染まらない花

煙々茸

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家族2

2-9

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「どうして応えられないの?」
「好きな人がいるから、」
「え、いるの!?」
 唐木の大きな声に、俺は慌ててその口を手で塞いだ。
「煩いっ……最後まで聞けよ。そう言っとけば諦めてくれると思ったからだ」
 というのはタダの言い訳だが、唐木にはこう言うしかないだろう。
「本当に?」
「疑り深い奴だな。信じないならそれでもいいけど」
 丁度小さな公園に差し掛かり、空になったジュースの缶を捨てようとそっちに足を向けた。
 ――カンッ、カラン……。
 ゴミ箱を見つけて放り込む。
 あとからついて来た唐木も同じように空き缶を放った。
「――じゃあさぁ」
「ん……?」
「立候補しちゃおっかな」
「……」
(え?)
「あはは。何のことだか分からないって顔だね」
「……説明しろ」
「うん、いいよ。僕ね、」
「……」
「相見のこと好きなんだよ」
「へぇ…………、は?」
 ぱちぱち。
 目を瞬かせる。
「うん、だからね? 好きなの。恋愛対象として」
 視線の先で、唐木がニコニコ顔で真っ直ぐ俺を見つめ返して来る。
「本当はもっと早く言いたかったんだけど、テストの邪魔しちゃ拙いと思って我慢してたんだよね。手紙のこともあったし、そっちが片付くまで黙っていようと思って」
(唐木が、俺を……――好き? でも俺は男で……。いや、それは関係ないか……)
「気持ち悪いって思った? 嫌いになった?」
「……いや。ちょっと、吃驚した」
 本当はかなり驚いている。
「相見ってあんまり顔に出さないよね。でも、嫌われなくて良かった。とりあえず安心したよ」
 中学の時からずっと一緒につるんでいるからか、心底驚いていることはお見通しらしい。
「本当はさ、相見は一番上のお兄さんのことが好きなんじゃないかって思ったから、かなり焦っちゃったんだけど、好きな人いないって聞いて僕にもチャンスあるかな~って」
「っ……あの人は、関係ないだろ…」
「――なら、良かった。これから僕のこと、好きになってね♪」
 急に顔を近付けて来たかと思ったら、頬に唐木の唇が触れた。
「ちょ、はあ……!?」
 頬を押さえながら後退する俺を、唐木は楽しそうに見つめて来る。
(コイツ、本気か? からかってるだけとかじゃないのかよっ)
「じゃ、帰ろっか」
 何事もなかったかのように自然に歩き出す友人の背中を、つい追いかけてしまった自分に溜息を零した。
(……どうすんだよ、これから……。本当のこと言うか? いや、でも、今更感がある……)
 好きな奴はいないと言った以前に、李煌さんのことは家族としか見ていないとも宣言してしまっている。その手前、ここで翻しても断る言い訳にしか聞こえない気がした。
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