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脱却3
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一旦荷物を置きに自室へと上がる。
「みんな待ってるから早く下りてきてね」
「分かった。――みんな?」
下から聞こえた李煌さんの声に首を傾げた。
(悠璃はいるだろうけど、複数ってことは兄貴も…? この時間に部屋から出てるなんて滅多にないよな)
俺はベッドに脱ぎ置いていた部屋着に着替えて、自室の扉を静かに閉めた。
リビングに入ると、驚きに目を丸くした。
「と、義父さんに義母さん!?」
海外にいるはずの両親が目の前で優雅にカレーを食べている。
滅多なことじゃ驚かない自信はあるが、今回ばかりは平静を装えなかった。
「やったわ! ビックリ大成功ね♪」
「あはは、そうだね。それを言うならドッキリだけど、まあビックリでもいいかな」
椅子から腰を上げて大喜びする義母さんと、それを楽しそうに見守る義父さん。
(この二人、相変わらずだな……)
ビックリも治まったところで俺も席に着く。
そして李煌さんからカレーを受け取りながら尋ねた。
「で? 突然どうしたの。連絡も寄こさないで帰国なんて」
「ほら、年末に帰れなかったじゃない?だから今月中に一度くらいは帰ろうってことになって」
と義母。
「仕事は大丈夫なのか?」
「もちろん順調だよ。まあ三日後には戻らないといけないんだけどね」
と義父。
なんだかんだ忙しいらしい。
「でも可愛い息子たちの顔が見られて良かったわーっ。何より、カッコ良く育ってくれててお母さん嬉しい!」
上の二人と比べ、悠璃は成長期だ。一年振りとなれば目に見えて変化が分かるのだろう。
カレーを頬張りながら相見一家を眺める。
李煌さんも嬉しそうに談笑している。
可愛らしく、天然なところは母親似だなと笑みが零れた。
悠璃は変わらずリビングのソファーで笑いながらテレビを観ている。
そして兄貴はというと……。
(この時間に一緒に夕飯とか……。親には逆らえないってことか)
とはいえ、感情をあまり顔に出さないのは変わらずで、ここに居ても我関せずといった様子で雑誌を眺めていた。
(しかもクロスワードパズルって……。まぁ、俺も一時ハマったことあったけど)
注がれた水を一気に飲み干す。
カタ、とグラスを置いて一息ついてから僅かに目を眇めた。
(……気になるのは、えんぴつも持たずに眺めてるだけってことだ。解いたところを埋めていかないと混乱するんじゃないのか?)
パタっ――。
不意にその雑誌が閉じられた。
兄貴が顔を上げ、眼鏡がキラリと光る。
「何を見ている?」
「……いや、兄貴もそういうのやるんだなと思って」
答えると、兄貴は雑誌をパサッとテーブルに放った。
「これか? お前のことだ、別に意外とは思っていないだろ。例え思っていたとしても他のことを考えていたんだろうな」
「……書き込まなくて出来るわけ? それ」
「愚問だな。それじゃあ面白くもなんともない」
「じゃあ全部暗記? そんなことでき――」
言いかけて口を閉じる。
その質問こそ愚問だと思ったからだ。
「できるからやってるんだ。百歩譲ってできなかったとしても書き込むなんて真似するわけないだろう」
(はいそうですね。いちいち突っかかる言い方してくるよな……この人)
まあそんなことはもう慣れたから、どうとも思わないが。
「みんな待ってるから早く下りてきてね」
「分かった。――みんな?」
下から聞こえた李煌さんの声に首を傾げた。
(悠璃はいるだろうけど、複数ってことは兄貴も…? この時間に部屋から出てるなんて滅多にないよな)
俺はベッドに脱ぎ置いていた部屋着に着替えて、自室の扉を静かに閉めた。
リビングに入ると、驚きに目を丸くした。
「と、義父さんに義母さん!?」
海外にいるはずの両親が目の前で優雅にカレーを食べている。
滅多なことじゃ驚かない自信はあるが、今回ばかりは平静を装えなかった。
「やったわ! ビックリ大成功ね♪」
「あはは、そうだね。それを言うならドッキリだけど、まあビックリでもいいかな」
椅子から腰を上げて大喜びする義母さんと、それを楽しそうに見守る義父さん。
(この二人、相変わらずだな……)
ビックリも治まったところで俺も席に着く。
そして李煌さんからカレーを受け取りながら尋ねた。
「で? 突然どうしたの。連絡も寄こさないで帰国なんて」
「ほら、年末に帰れなかったじゃない?だから今月中に一度くらいは帰ろうってことになって」
と義母。
「仕事は大丈夫なのか?」
「もちろん順調だよ。まあ三日後には戻らないといけないんだけどね」
と義父。
なんだかんだ忙しいらしい。
「でも可愛い息子たちの顔が見られて良かったわーっ。何より、カッコ良く育ってくれててお母さん嬉しい!」
上の二人と比べ、悠璃は成長期だ。一年振りとなれば目に見えて変化が分かるのだろう。
カレーを頬張りながら相見一家を眺める。
李煌さんも嬉しそうに談笑している。
可愛らしく、天然なところは母親似だなと笑みが零れた。
悠璃は変わらずリビングのソファーで笑いながらテレビを観ている。
そして兄貴はというと……。
(この時間に一緒に夕飯とか……。親には逆らえないってことか)
とはいえ、感情をあまり顔に出さないのは変わらずで、ここに居ても我関せずといった様子で雑誌を眺めていた。
(しかもクロスワードパズルって……。まぁ、俺も一時ハマったことあったけど)
注がれた水を一気に飲み干す。
カタ、とグラスを置いて一息ついてから僅かに目を眇めた。
(……気になるのは、えんぴつも持たずに眺めてるだけってことだ。解いたところを埋めていかないと混乱するんじゃないのか?)
パタっ――。
不意にその雑誌が閉じられた。
兄貴が顔を上げ、眼鏡がキラリと光る。
「何を見ている?」
「……いや、兄貴もそういうのやるんだなと思って」
答えると、兄貴は雑誌をパサッとテーブルに放った。
「これか? お前のことだ、別に意外とは思っていないだろ。例え思っていたとしても他のことを考えていたんだろうな」
「……書き込まなくて出来るわけ? それ」
「愚問だな。それじゃあ面白くもなんともない」
「じゃあ全部暗記? そんなことでき――」
言いかけて口を閉じる。
その質問こそ愚問だと思ったからだ。
「できるからやってるんだ。百歩譲ってできなかったとしても書き込むなんて真似するわけないだろう」
(はいそうですね。いちいち突っかかる言い方してくるよな……この人)
まあそんなことはもう慣れたから、どうとも思わないが。
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