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第一章 祓い師
【肆】ー4
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いよいよ雨足が強くなってきたところに貴人が戻ってきた。電波状況が悪く、少し坂を下った先で宿に電話で予約を入れていたのだろう。
雨の中の足取りにしては軽いので良い宿が取れたのかもしれない。
「――ではまたな、晴明」
男の声に振り向くと淡い黄葉色の何かがふわりと視界を覆った。
それを咄嗟に掴んで見ると、皺も無く手触りの良い上質な羽織りだと分かった。
晴明を頭からすっぽり隠して雨を凌いでくれている。
ハッとして視線を巡らせるが男の姿は既に無く……。名前を聞きそびれたことに小さく息を吐いた。
「良い宿取れたわよ。……アイツは?」
名乗らずに消えた男を貴人は最初から毛嫌いしていた。
現に今も晴明が肩に掛けている羽織りに鼻先を近付けては苦い顔をしている。
「ちょっと晴明……この羽織りアイツのでしょっ! ケダモノ臭がするわ。早く脱ぎなさい!」
それは一体どんなニオイなのか。晴明もスンと嗅いでみる。
「香の匂いですね……そうキツくもないですし、大丈夫です」
――寧ろどこか安心する匂いだ。
「そういう問題じゃないわよ! 晴明はアイツが――っ」
「何です? 貴人、とりあえず宿へ案内してください」
寒さに眠りかけている騰蛇を撫でながら、やけにムキになる貴人を促す。
車の助手席で終始機嫌の悪い貴人にナビをしてもらい、予約した宿に到着して早々、騰蛇は敷いた布団の中で蜷局を巻いて眠りに落ちた。
温泉にでも浸かればイライラも収まるのではないかと貴人をそっちへ押しやって、晴明は窓際の椅子に腰かけて紙の束に筆ペンを走らせていく。追加の霊符だ。
あそこでは何が起こるか分からない為、この段階から強めに霊力を注ぎ込んでおく必要があった。
雨の中の足取りにしては軽いので良い宿が取れたのかもしれない。
「――ではまたな、晴明」
男の声に振り向くと淡い黄葉色の何かがふわりと視界を覆った。
それを咄嗟に掴んで見ると、皺も無く手触りの良い上質な羽織りだと分かった。
晴明を頭からすっぽり隠して雨を凌いでくれている。
ハッとして視線を巡らせるが男の姿は既に無く……。名前を聞きそびれたことに小さく息を吐いた。
「良い宿取れたわよ。……アイツは?」
名乗らずに消えた男を貴人は最初から毛嫌いしていた。
現に今も晴明が肩に掛けている羽織りに鼻先を近付けては苦い顔をしている。
「ちょっと晴明……この羽織りアイツのでしょっ! ケダモノ臭がするわ。早く脱ぎなさい!」
それは一体どんなニオイなのか。晴明もスンと嗅いでみる。
「香の匂いですね……そうキツくもないですし、大丈夫です」
――寧ろどこか安心する匂いだ。
「そういう問題じゃないわよ! 晴明はアイツが――っ」
「何です? 貴人、とりあえず宿へ案内してください」
寒さに眠りかけている騰蛇を撫でながら、やけにムキになる貴人を促す。
車の助手席で終始機嫌の悪い貴人にナビをしてもらい、予約した宿に到着して早々、騰蛇は敷いた布団の中で蜷局を巻いて眠りに落ちた。
温泉にでも浸かればイライラも収まるのではないかと貴人をそっちへ押しやって、晴明は窓際の椅子に腰かけて紙の束に筆ペンを走らせていく。追加の霊符だ。
あそこでは何が起こるか分からない為、この段階から強めに霊力を注ぎ込んでおく必要があった。
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