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第一章 祓い師
【伍】ー2
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――九七一年。
東北にある活火山が噴火した。
「丁度百年振りですか。予想していたよりも邪気が多く瘴気も濃い。この京もただでは済まないでしょう……さて、どうしたものか」
言う割に腰を上げず悠長に構えている齢五十には到底見えない若い姿の男を十二の影が取り囲み口々に意見を述べる。
「どうするもこうするも無いだろう。事前に分かっていたことだ。既に結界も張って、迎え撃つ手筈も整ってる」
「玄武の言う通りです。我々が四方に散って京をお守りします」
「それとも、他に何か気になる事でもあるの?」
「まさかとは思うけど……アレを当てにしてはいないだろうね?」
「あんな奴の力なんて要らないわ! 度々此処へ来てはあなたを誑かして……そもそも野良妖を招き入れること自体許されないことなのよっ?」
誑かされた覚えはない。向こうが時間を持て余し、こっちも暇だったから相手をしてやっているのだ。
――と言い張ったところで彼等は聞く耳持たないだろう。
「晴明にはわたくしたちがいます」
「そうだぜ。性悪狐がなんぼのもんよ! のこのこ来やがったら纏めて消し炭にしてやる」
「これこれ……」
なんと血の気の多い式鬼神たちか。忠誠心があらぬ方向へ行っている。
やれやれと漸く腰を上げた時、耳心地の良い声が自分を呼んだ――。
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