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しおりを挟む「橙貝(とうかい)の国の姫君が伴侶を探してる。小さいながらも、海に面した、穏やかで豊かな国だ。そこの王になるのも、悪い話ではあるまい。
だが、私としては、お前を手放すのは惜しいのだがな」
「…父上のお許しがあれば、今しばらくはこのままでいさせていただきとう存じます。真名は未だに、この国の仕組みを半分も理解しておりませんので、今暫く、私の結婚の話は、先送りとさせていただきとう存じます」
「うむ。そなたには迷惑をかけるな」
「いえ、私には身に余る光栄なことと思っております」
王は笑顔で頷いた。
あたしは少し離れた場所で、二人を眺める。
親子なのに、どうしてああも、他人行儀なんだろうって、不思議に思いながら。
青羅の結婚話に、胸が苦しくなる。
ざわめく胸の中は、嵐が吹き荒れた。
橙貝国の生まれながらお姫様。
写真なんてものはないから絵姿だという肖像画は、小柄で可愛い感じの人だった。
普通の男の人なら、守ってやらなくちゃと思えるような。
政略結婚かもしれないけれど、一緒にいれば普通に恋愛感情が芽生えるかもしれない。
今は断ったけれど、あたしに教え終わったら、橙貝国じゃなくても、別のどこかの国へと行ってしまうのかもしれない。
勉強が長引けば、青羅が傍にいる時間は増える?
そう考えて、それはバカな話だって気づく。
真面目に教えてくれる青羅をバカにした話だから。
彼は愛想を尽かすだろう。
教え終わらなくても、適当な所で切り上げてしまうかもしれない。
あたしは自分の浅はかな考えに、落ち込んだ。
自分のことしか考えられないなんて。
あたしって、ホント、嫌な子だと……。
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