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第二章 沈む身体、揺れる心
🩷8話 そんなに名前を呼ばれたら
しおりを挟む「……玲奈」
名前を呼びながら、ケイはゆっくりと上体を覆いかぶせた。
唇が触れる。
さっきよりも深く、ゆっくりと。
舌先が触れた瞬間、玲奈の呼吸がかすかに震えた。
キスを続けながら、片手は肩口から胸元へ。
ブラの上から形を確かめるようにゆるやかな円を描く。
布越しに伝わる鼓動と、その下で確かに反応している熱を感じ取る。
「ん……っ」
小さく、吐息と混ざった声が零れる。
ケイは唇を離し、その声の余韻を聞くようにわずかに距離を取った。
玲奈の瞳は細く、潤みを帯びている。
指先が肩紐をなぞり、外へ落とす。
左右どちらも落ちたところで、背中へ手を回す。
「……外すよ」
軽い音とともに、ホックが解ける。
カップがわずかに浮き、その下の温もりが解放されるのをケイの手が受け止めた。
「ん……ふっ……」
今度の声は、先ほどより長く、甘さがにじんでいた。
反応するたび、玲奈の肌が微かに震えて、切ないほどに愛おしい。
ブラが脇へと滑り落ち、玲奈の胸元がぼんやりとした照明に浮かび上がる。
ケイはすぐには触れず、視線だけでその輪郭をなぞった。
目で撫でられるたびに、玲奈の肌がかすかに揺れて見えた。
「……そんなに見ないで」
ぽつりと零れた声。
恥ずかしさを含んだ囁きだったけれど、玲奈はすぐに目をそらさなかった。
一度だけ視線を伏せ、それからもう一度、ケイを見返してくる。
「……さわってくれた方が……まだ……」
かすかに震える声。
けれど、そこには、ゆだねるような覚悟もあった。
「玲奈……」
もう一度、名前を呼んでから、ケイはそっと手を伸ばす。
玲奈の胸元に触れた瞬間、柔らかな温もりがじわりと指に広がる。
「っ……ぁ……」
掌の下で、玲奈の鼓動が速くなるのがわかる。
目を閉じたまま、まつげがかすかに震え、唇から押し殺すように小さな声が漏れた。
親指が中心をかすめるたび、玲奈の息「ん……っ」と甘く揺れる。
強気なはずの声が、今は力を失い、どこか切なげにかすれている。
ふいに、玲奈が腕を回してケイを抱き寄せた。
胸元ごと引き寄せられ、上半身同士がぴたりと重なる。
腕の中に閉じ込められたまま、ケイはわずかな隙間を探すように、手を胸元からそっと離していった。
腕の外へ抜け出すのではなく、抱きしめられたまま腰のあたりへ指を滑らせる。
その動きに合わせて、玲奈の身体がほんのわずかに後ろへ傾き、布地の下で隠れていた肌が照明の中に現れていく──
そのまま布越しに、腰の曲線を確かめるように撫でていく。
「……んっ……」
玲奈の喉から、小さく震えを含んだ声がこぼれた。
胸にしがみついたまま、力が抜けるように指先がケイの背へ沈んでいく。
しばらくそうして互いの体温を確かめ合っていたが──やがて、ケイは名残惜しそうに身体をずらした。
「……玲奈、こっちも……」
低く囁き、玲奈の視線を受け止めながら腕を解く。
抱擁から抜け出すのではなく、彼女を寝かせたまま自分の体を下へ移動させていく。
腰のあたりに指を滑らせ、布地をつまむ。
その動きに合わせて玲奈はわずかに腰を浮かせ、応えるように目を閉じた。
指先が布をすくうと、Tバックの頼りない細さにケイの胸がざわめく。
ほんのわずかな黒が腰からするりと抜けていくだけで、隠されていた素肌が一気に照明の下へさらされていく。
「……ん……っ」
空気に触れた玲奈の脚が小さく震え、声がもれた。
太ももの丸みがあらわになり、わずかな呼吸の乱れまでもが際立つ。
布が膝を越え、足首を抜ける。
ケイはそれを片手に残したまま、視線を戻した。
露わになった玲奈の下腹から太ももへ、そのすべてが照明に浮かび、息を呑むほど眩しかった。
完全に脱がすと、彼女の脚は力なくシーツに沈み、わずかに開いた膝からは熱が溢れるように伝わってきた。
ケイは彼女の両膝を軽く開かせ、太ももの内側を指でなぞった。
柔らかな感触と、わずかな熱。
「……っ、ん……ふぁ……」
触れられるたび、玲奈の腰がかすかに揺れ、
吐息に混じって甘い声が漏れる。
指先はまだ中心には触れず、あえて周囲をゆっくりなぞり続ける。
焦らされるほど、玲奈の呼吸は短く速くなっていった。
やがて、指が最も敏感な場所へ近づく。
軽く触れた瞬間、玲奈の背筋がピクリと反る。
「……んっ……ケイ……」
呼ばれたその声には、すでに熱と甘さが溶けていた。
何度も同じ場所をなぞり、圧を変えながら反応を探る。
「……っ、あ……だめ……」
声がかすれて、最後は息にほどける。
腰がわずかに跳ね、逃げるようでいて、指先を求めるように押し返してくる。
太ももの内側が熱を帯び、しっとりとした温かさがケイの指に移っていく。
吐息は甘く乱れ、首筋がかすかに反る。
「ん……あ……そこ……っ」
震える足先がシーツを握り、膝が開いたまま力を失っていく。
潤んだ瞳がゆっくりと細まり、唇の端がかすかに震えた。
指先を離すまいと、腰が吸い寄せられるたび、
胸元からも甘い熱が溢れていくのがわかる。
その震えと湿った温もりが、彼女の限界をはっきりと告げていた。
やがて、長く乱れた息を吐きながら、玲奈がそっとケイの手首を握る。
濡れた睫毛の奥から見上げ、唇が熱を含んだままゆっくりと形をつくる。
「……ケイ……もう、だめ……」
名前を呼ぶその声は、揺れて、溶けて、甘くて。
何かを求めるように、彼女の体が微かに前に出る。
「……ずるい……」
震える吐息のなか、玲奈がそっとケイを見上げる。
「私だって……触れたいのに」
熱をまとったまま、ゆっくりと身を起こし、彼を押し倒していった──
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