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第二章 沈む身体、揺れる心
🩷12話 終わりじゃないよね?
しおりを挟む荒く上下していた胸が、ようやく静かに沈みはじめた。
熱と力を出し切った満足感の奥で、どこか不意を突かれるような、ざわつきが胸に残っている。
玲奈は、まだ腕の中にいる。
ゆっくりと体をずらしながら、そっとケイの頬に額を寄せた。
「……ねぇ」
吐息混じりの声が、耳の奥にぬるく流れ込んでくる。
「……もう、満足した?」
小さく笑うその表情に、ケイは思わず唇の端を上げた。
「……玲奈は?」
問い返すと、玲奈はわずかに唇を噛み、それから、濡れた髪をかきあげるように後ろに払った。
「……まだ、かな」
そう言って、ケイの首筋に指を這わせる。
ふいに手がケイの胸を押し、そのままごく自然な動きで体をずらしていく。
けれど、まだ十分に回復しきっていない身体は、わずかに重たく沈んだままだった。
玲奈は一瞬だけ、ケイの様子を見つめる。
その視線の熱が、どこか強引さとは違う、確認のように優しく滲んでいた。
「……まだ、無理?」
低く、囁くような声。
ケイがゆっくりと首を横に振ると、玲奈はふっと吐息を漏らし、シーツの上で身体を少しずつずらしていく。
ぬるんだ肌が触れ合うたびに、火が点いたように感覚が戻っていく。
「じゃあ……」
玲奈がそっと、腰をずらしながらケイをまたいだ。
けれどそれは、すぐに動き出すためではなかった。
ただ、目の前で、もう一度彼を抱きしめるように、自分の胸を押し当てる距離だった。
「……私にさせて?」
囁いたその声は、甘えるような、でもどこか強く訴えるような音を含んでいた。
ケイが頷くと、玲奈はゆっくりと自分の動きで、再び交わりの熱を生み出し始めた。
最初は、浅く。
ただ深く息を吸いながら、彼女自身が確かめるように。
「……あ、っ……」
すぐに指先が震えはじめ、身体が自分のリズムに追いついてくる。
吐息の間隔が狭まり、ケイの下腹に触れるたびに、玲奈の瞳が潤んでいくのがわかった。
けれど、やがてケイの手が玲奈の背をなぞるように持ち上げる。
腰を支え、包むようにして彼女の身体をゆっくりと転がした。
「……交代」
その一言に、玲奈は目を細めて小さく頷く。
ベッドの中央に広がる髪。
額には汗が滲み、肌はほんのりと赤く上気している。
「……入れて……」
玲奈の声が、くすぐったそうに震えた。
ケイは片腕で体を支えながら、ゆっくりと沈んでいく。
奥を押し分けられる感覚に、玲奈の腰がわずかに逃げる。
それでも目は逸らさない。
確かめ合うように抱き合うたび、熱が重なっていく。
「……っ、ん……ケイ……」
声に抑えがきかず、シーツを握る指先が震える。
ケイの動きは次第に深く、速く、一定のリズムで揺れていった。
肌が打ち合う音と、荒くなる息。
それでも玲奈は受け入れ続ける。
言葉はもう、うまく出せなかった。
ただ小さな声と、潤んだ瞳の揺れがすべてを語っていた。
やがて、ケイの動きがわずかに重くなる。
耳元で低くかすれる声。
「……お腹に……いい?」
その一言に、玲奈はまつげを伏せる。
胸の奥に切なさが走った。
奥で受け止めたい衝動と、背徳に揺れる理性がせめぎ合う。
それでも、小さく頷いた。
「……いいよ」
声は震えていた。
同時にケイの身体が大きく震え、奥に深く沈んだまま熱が解き放たれていく。
「……っ、う……っ」
堪えきれずに漏れた声が、玲奈の耳元をかすめた。
ドクドクと脈打つたびに、玲奈の中が熱で満たされていく。
「……あっ、ん……」
声がこぼれ、背中が小さく弓なりに反る。
ケイの腕にしがみつきながら、そのすべてを受け止めていた。
欲しかった熱を抱きしめながらも、胸の奥ではまだどこか、切なさが疼いていた。
しばらく、絡まったまま息を整える。
玲奈がゆっくりとケイの胸から身を離し、ベッドの端に腰を下ろす。
髪をかき上げて、軽く首を傾けた。
そして、少しだけ間を置いて──
ふっと目を細め、ぽつりと呟く。
「……やっぱり、あなたずるい」
笑っているようで、どこか拗ねたような声。
でも、怒ってるわけじゃない。
諦めとも、甘えともつかないその響きに、ケイは何も返せなかった。
沈黙のなか、玲奈がゆっくりと立ち上がる。
そっとシーツを引き寄せて、胸元を隠すように巻く。
「……シャワー、先借りるね」
視線は合わせないまま、けれど背筋はまっすぐに。
浴室へ向かう玲奈の背中を、ケイはしばらく見送っていた。
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