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第7章 ヤーベ、王都に向かって出立する!

第78話 王都までの行程中に準備する内容を吟味しよう

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朝、バリエッタの街を出てコルーナ辺境伯家の馬車で王都を目指す。
昨日指示を出したローガ達はダークパイソンの討伐に成功して戻って来ていた。
尤も夜の間はバリエッタの町に入れないので、出発予定の東門近くに待機してもらっていたのだが。
 
ヒヨコたちの報告により、バハーナ村でのローガ達の奮闘ぶりを確認できた。
ローナという夫を亡くして、娘2人を一生懸命育てている家族を助けてやりたいとのことで、巨大ダークパイソンを朝一で冒険者ギルドに持ち込み、買い取り依頼を出して来た。
 
ちなみにダークパイソン以外にも、ローガ達が出張ボスと呼んでいる俺様の分離ボディで亜空間圧縮収納に様々な狩りの獲物を受け取っているのだ。それらもいくつかチョイスして一日で処理できる分だけ買い取ってもらった。
 
バリエッタの冒険者ギルドではバハーナ村のダークパイソン討伐依頼を処理中だったので、それをキャンセルしてもらい(受注したということで討伐報奨金とギルドの貢献ポイントを追加するとのことだったが、もちろん辞退した)牙や頭部、皮などは非常にいい金になった。肉は全て保存の利く加工品と長期保存が可能な干し肉にしてもらい、それら全てをローガとその部下たち10頭に括りつけて持たせた。
干し肉は時間がかかるのかと思ったが、加工品にしろ、干し肉にしろ、便利な魔法があるようで、数時間で完了するとのことだったので、特急料金で仕上げてもらったのだ。
 
ローガ曰く、バハーナ村の村長は人間的にあまり信用が置けないとのことで、自警団長のロドリゴとローナ宛に手紙を書いた。ローナには2人の娘と一生安定して暮らせるだけの金貨を分けて、加工品と干し肉もある程度分けた。その残り全てをロドリゴ宛に送る。手紙にはローナの一家にお礼を包んでいるので、村のみんなで分けて欲しいと書いた。ああいう手合いは自分の名前を出しておかないとヘソを曲げたり、自分の都合で勝手な事をしかねないから、ちゃんと名前を出して「長」としての立場を尊重してやらないとな。でも直接渡すと懐に入れられかねないから、ロドリゴに目録付きで手渡すことにしたのだ。
 
ヒヨコ隊長にも部下を厳選して何匹かローガ達と一緒にバハーナ村へ行ってもらった。
手紙をヒヨコたちに持って行ってもらうためだ。ハバーナ村に行っていたヒヨコなら、ローナやロドリゴの顔を覚えているだろう。
 
ちゃんとローガの主、ヤーベよりという事で俺の名前で手紙を書いておいた。
何でもローナという人物はローガが使役獣であることに気がついたという。
なかなか見る目がある人物のようだ。
大体、俺が名前を出さないと狼が手紙を書いていることになってしまうしな。
 
 
 
 
 
さて、ローガ達はローガを含め11頭がバハーナ村へ向かっているため、現在は残りの50頭が馬車の後ろからついて来ている。ローガの他、風牙、雷牙、氷牙の四天王3頭もローガについて行っているため、残る四天王のガルボが俺の随員(狼)グループのトップを預かっている。
ヒヨコたちもバハーナ村組、王都調査組、そしてこの馬車周り警戒組に分かれて対応している。そのうち3分の2は王都に派遣している。
 
・・・ヒヨコから出ている大量の救助要請をどうするかはさて置くとして、新しい情報も欲しい。特に俺が王都に呼ばれていることに対する反応がどうかといった情報が欲しい。
王が気まぐれに呼んでいるだけなのか、それとももっと裏に何かあるのか、俺に対する肯定派と否定派はどんな感じなのか。
・・・エゴサーチじゃないよ? 呼ばれている理由を知るのは大事な事なんだからね? 自分の評価を気にしているわけじゃないから。大事な事だから二度言おう。
 
・・・そういや、変な連中もいそうなんだよな。
悪魔王ガルアードの復活を企んでいた連中、何か適当にひと暴れさせて破壊する事だけが目的みたいな感じで、かなり厄介だ。
 
俺は頭の中で情報整理を行う。
 
王都への道程は、このまま一日移動で街道にある村に到着、一泊してさらに移動、三つの村を過ぎると王都を結ぶ街道の中では最大の町バーレールがある。できればこの町でいろいろと普段手に入らない物を買いたいものだ。溜まりに溜まった狩りの魔物を現金化する事も進めねば。
 
バーレールの町を過ぎれば二つの村を経て、王都バーロンへと到着する。
大体、王家直轄領に入って一週間の行程だ。
 
この一週間は非常に大事だ。
多分、王都についてからも王への謁見は時間調整があるはずだ。早くても三日、遅ければ一週間以上王都で滞在する必要があるだろう。
 
だが、王都に敵が多い場合はゆっくりとイリーナの実家に挨拶に行っている場合ではないかもしれない。対策に追われる可能性だってあるのだ。
逆に敵勢力が少ない、もしくは俺の王都訪問が大して話題になっていない場合は非常にラッキーだ。ヒヨコたちの救援依頼をこなしながら王都の店を回って買い物、冒険者ギルドで王都では珍しい魔物を買い取ってもらえばいい金になるはずだ。イリーナの実家に挨拶も行けるだろう。予定ではバーレールに到着した夜、王都の情報をヒヨコ隊長から最後の情報報告を受ける予定だ。
 
「その内容をじっくり吟味する必要があるな・・・」
 
「どうした? ヤーベ」
 
俺の呟きに反応したイリーナが心配して声を掛けてくる。

「ん? ああ、王都まで約一週間の行程だからね。その間にいろいろと準備する事を考えているのさ」
 
「準備・・・?」
 
「うん、(王様への)挨拶の言葉とか、(謁見の時の)服装とかも気を使わないといけないだろうしね。イリーナにも頑張って(王様に)挨拶してもらわないとね」
 
俺は何気なく回答したのだが。
 
「ふえっ!? (自分の両親への)挨拶の言葉・・・(自宅訪問時の)服装・・・、ウン、気を使ってくれてうれしいら。私も(自分の両親への挨拶というか説得)がんばりゅ」
 
顔を真っ赤にしてイリーナが呟いている。どうかしたのかな?
 
こうして若干? のズレを生じながら一行は王都へ向かって旅を続けた。

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