【本編完結】リップサービス

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リップサービス【高垣視点】

恋人はいい奴

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クラスメイトの近下は俺の恋人。

近下は大人しい子ってイメージを持たれてるけど、話すと会話は弾むし、実は感情的で想像力豊かで面白い奴だ。
たまに近下の想像の話を聞かせてくれたりする。
自分の世界を持ってて何だかそこも好感が持てた。

入学式で出会って以来、校内で鉢合わせると自分のこと目で追ってくれたり意識を向けてくれたりする近下はなんだか初で可愛かった。

リップを貸した時も男同士なのに間接キスを気にしてて、リップ塗る時も顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしてた。
その姿を見て「可愛らしい反応するな」って思った。
後日お返しに新しいリップ買ってきてくれたのは申し訳なかったけど、律儀な近下に好感を持った。

そして二年で同じクラスになった。
出席番号も前後だ。

(近下も喜んでくれてるかな?)

「近下っ!」
「?!」

声をかけると驚いた顔をしていた。

「おはよ!」
「……お、おはよ」
「今日から毎日会えるな!」
「うん……っ」

顔真っ赤にしてる近下はやっぱり可愛く見えた。
すると不意に近下が、

「高垣、かっこいいな……」

って溢した。

(え?)

「なんで?」

俺はワクワクして身を乗り出して聞いてしまった。

「へ、え?」
「俺のことなんでかっこいいって思ったの?」
「え?!え、俺口に出てた?!?!」
「出てたよ。ねぇ、なんで?」
「え、いや……」
「隠すなよ~。」
「……そのままの意味だけど。」

近下が誤魔化そうとするから食いついてしまった。

「ちゃんと説明して。じゃないと近下の好きな子に俺と間接キスしたことバラしちゃお!」
「へ?」

俺がこんなふうに人をからかうのは珍しい気がする。

「……高垣のこと、かっこいいって言ったのは、」

(あ……やっぱ好きな人にバラされたくないんだ……)

(ていうか、近下って好きな人いるんだ……)

(どんな人が好きなんだろ?)

(え~?誰なんだろ好きな人って……)

意識を近下の好きな人に持っていかれてたけど近下の言葉で引き戻された。


「俺が言うの恥ずかしかったこと高垣がさらっと言ったから……っ、」


あれ?それって、


「じゃあ近下も毎日俺に会えるって思ってくれたの?」
「……っ!!」
「ははっ嬉しい!」


すんごい恥ずかしそうに心の内を話してくれた。
俺はなんだか嬉しくてたまらなかった。
近下ってどこにでもいる男子と変わらない気がするんだけど、二人で話してて顔を赤くしたり、たまにすごく幸せそうな顔するから可愛いなって思うんだ。
関わり合うほどそう思う機会はどんどん増えた。


だから告白された時は恋人同士が何するかとかあんまり考えず、近下と出かけたりもっと親しくなりたいと思って交際することに決めた。

それに近下とならいい関係が育めると思った。

俺は今まで彼女に「友達ばっかり優先する」ってフラれることが多かった。
恋人も友達も優劣つけられないしどっちも大事だから優先できないこともある。
だから近下とならちゃんと関係を築けるんじゃないかって思った。

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