【本編完結】リップサービス

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続•リップサービス【高垣視点】

近下の気持ち【第二章 完結】

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ようやく店を回りだした俺たちは、まず近下のクラスの喫茶店に行った。
その後別のクラスの出店で飲み物買って、体育館でやってるライブに行く流れになった。
けど人混みや騒がしさで近下は体力の限界だったのか疲れが顔に出てたから、人気がない教室で休憩することにした。

「ごめん、高垣……」
「俺は近下と過ごせればそれでいいんだよ。」
「……」

近下が嬉しいのを誤魔化すように唇を尖らせた。

「ふふっ」

そしたら次は俺を見て無邪気に笑った。

「なに?」
「一年の時の俺が知ったらビックリすると思う……」
「?」
「高垣と二人っきりで過ごせるなんて……思ってもみなかったから。」
「そんな前から俺のこと好きなの?」
「……っ!!」

近下がしまったって表情でまた顔を赤くした。

「ねぇどうして俺のこと好きになったの?」
「は、恥ずかしいから言わない!」
「ダメ。この間は俺が近下の好きな所言ったでしょ。」
「……」
「ねぇ、教えて。」

近下に効果てきめんな『お願いの表情』を浮かべた。
そしたら近下が渋々俺のお願いに応えてくれた。

「……どうして好きになったとかわかんないよ。」
「……」
「でも、合宿でリップ貸してもらった時にドキドキしちゃって……」

(日浦より先にリップ貸しててよかったぁ……!!!!)

「高垣、かっこいいし、優しいし、一緒にいて楽しいし、好きにならない方が無理あるって……!!」
「そんなに褒められるとさすがに照れる……」

俺がニヤニヤしてると近下がほっぺを優しくつまんできた。

(こんなスキンシップ、前はしてくれなかったよな……)

「近下、キスして。」
「え……」
「お願いごと聞いてくれる約束でしょ?」
「うん……でも……」
「俺頑張ってポーズとったでしょ?」
「もぉ……わかったよ!!やるから目瞑って!!」
「ふふふ……はーい!」
「目開けたら、キス……しないからね。」
「わかった、絶対瞑ってる。」
「よし……」

近下からしてもらうのは初めてだ。
めちゃくちゃ嬉しい!!

「……す、するよ?」
「うん。」

近下が両手で俺の顔を包みこんだ。
手が震えてる。

そんなこと思ってると唇がちょっとだけくっついてすぐ離れていった。

「……っ!!」

一瞬の出来事だった。
それでも近下からキスしてもらえたのが嬉しくて俺はすごくすごく幸せな気持ちになった。

「下手くそでごめん……気持ち悪くなかった?」
「そんなわけないでしょ。」

抱きしめて背中を撫でた。

「近下、ありがとう。」
「俺の方こそ……夢叶えてくれてありがとう。」
「近下の夢叶えたのは俺じゃなくて近下自身でしょ。」
「ロマンチックなこと言うね。」
「惚れた?」
「……もう十分惚れてる。」


(幸せだ……)


去年よりケンカしちゃうことも増えたけど、すれ違ってた時より幸せなことたくさん増えた。


(近下も幸せ感じてくれてたらいいのにな。)


近下をぎゅっと強く抱きしめたら、苦しいって背中をバンバン叩かれた。



第二章 end.


_______________________



本作品をお読みいただきありがとうございました。

近況ボードに『リップサービス』の今後の更新について書きました。
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