たんぽぽ 信一・維士

みー

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維士 盛岡

2011年 5月 木曜日 信一 仕事

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2011年 5月木曜日 信一

 信一は、朝10時に事務所に寄った。
社長が直ぐ、

「信一、あなたの彼氏、TV局に、狙われいるね、今朝TVに出ていたわ、色男と一緒よ」

「何、言ってるんだ、何の事だ」と、おれは少し声を荒げた。

「この2カ月、TV局、東京駅で待ち伏せしてたのよ、朝8時から8時30分、朝のワイドショーのスクープに生で入れたくて、今朝2人が仲良く現れTVに生中継になった」

「イシと、この前も映った、一緒のヤツか」

「そう」

イシに電話をしたが出ない、メールを送るが返信が来ない。
何があったんだ、わからない、ここ数日仕事が遅いのもあったが、これからの事、考える時間が足りず、メールを疎かにしていた。
写真撮りに行く時間だ、

一日中、連絡取れない。(寝る)の、メールも来ない。ヤツと、何処に行ったんだ、
おれには、探しようがない、ヤツにはチューリップがあるから、直ぐ帰って来るとは思うが、なんで、なんだ。またどこかで、間違えたのか、それさえも、わからない、
アルコールの量が、母さんに会った日の夜から日に日に増えていく、なにかが気にいらない、イライラする。

 次の日、朝8時、事務所に寄ったら、社長がTVの前で、おれを呼んで「見て、フランス映画のワンシーンねぇ」と、夜のホテルの前で、イシとヤツが、最高の笑顔でじゃれあっている動画だ。視聴者スクープらしい。

「一般人、許可なく流してもいいか、昨日もだよな」と、聞いた。「ホテルの前の、遅咲き八重桜がメインで、たまたま映った通りかかった2人、らしい、、少し無理があるけどね、昨日のは、探し人コーナーだって、うぅん無理あるよね」と、社長が苦笑いした。

「信一、何も、知らなかったようね」

「ああ、余計なお世話だ、良いんだよ、おれらは、仲良しだから」と、適当におれは言った。

腹の中は、煮えくりかえっていた、最高に楽しそうな2人だった、ヤツが羨ましい、おれはイシを笑顔に出来ない、笑って貰えるには、どうしたらいいのか、今は、わからなかった。

 朝から、見たくなかった、知りたくなかった。

「現場に行く」と、おれは言いながら、イシにメールを送った。

 昼にイシからメールが来た、
(連絡くれたのに、返せなくてごめん。
お母さんに会いに行って来た。携帯、家に忘れたんだ。さっき帰って来たところだよ。
何か、用あるの、  イシ)

(そうか、よかったな  用はない  信一)と、返信したが、返した文を読み返し、簡略しすぎだなぁと思った。

 事務所と2カ月も未契約期間なのに、写真集の写真撮りで夜遅くまで仕事だ。おれも下火になってきた。写されながら、写真集出して、見苦しい、考えたのは誰なんだ、出して売れるのか、宣伝で赤字になるのに、方向性違うな、出た途端、おれは引退していたいよ、イシとはどうなる、、次々頭に浮かんだ。

 事務所との話合いは、まだ日時さえ未定だ。
未契約だから休みたいと、社長にメールした。
写真撮り3週間予定、その後話合い、と返ってきた。そんなに時間かかるのかあと、ガッツリしたが、現場の大勢のスタッフを見ていると、仕方がないかぁと思った。

イシから
(寝る  おやすみ)と、メールが来ていた
(おやすみ)と、3時間後に返す。

 4日、会ってないだけで、遠く感じる、おれの知らないイシが、いるようだ。
あの2人の楽しそうな最高の笑顔、頭にこびり付いて離れない、相手はおれじゃない、何故わからない、
おれ達、手を取り合った、つもり、だった、たぶん。

 濃い霧の中にいるようだ、
そのまま手探りでトンネルを探し、道を進みたい、トンネルの先の出口で、イシが笑顔でおれを待っている。今のおれには、トンネルが、探せない、
おれの足元だなぁ、おれが今迄してきた事に、おれが、気づいてしまった、どうしたらいいんだ。
 小さい頃は、好きだった、小3あたりで嫌いになった、原因は、なんだった、、おはようも、ウザイ、全てが面倒くさくなった、反抗期かあ、みんな、こんなもんだろう、違うのか。
 
 違うんだろうな、おれは少し前迄は、一生母さんとは、会う事ないと、これが普通だと思っていた。
 
 ばあちゃんには、母さんを忘れないで、とお願いされた。ばあちゃんのお願いも、何か変だ。なんで、はっきり、誰も教えてくれないんだ、言っても無駄な人間には、誰も教えてくれないよなあ。
疲れた、また明日にしよう。

(信ちゃんは、なにも悪くないよ、全部母さんが悪いの、ごめんね)
母さんなら、言うであろう言葉が聞こえた。
(そんなの聞きたくねェ)と、返してた、反抗期の中学生だった。
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