ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風

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ミスリル発見!

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獣深森に入ってから六日が過ぎた。

そして、ついに俺達は目的の物を発見した。

「ジェフ見ろ、ミスリル鉱石だ!」

仮設テントの中で、兵士の手によって持ち運ばれた鉱石を眺めて、思わず叫んでしまう。

ミスリルは魔力を流すと淡く緑色に発光する特徴を持っている。

興奮で震える手を抑えつつ、ジェフに鉱石を渡す。受け取ったジェフが、試しに魔力を流してみると、黒色の岩のところどころが光を放つ。岩を注視すれば、わずかに緑色のミスリルの原石がこびりついている。


「まさか本当に存在するとは……いえ、ルドルフ様のことは信じておりましたが、こうも簡単に見つかるなんて想像してませんでした」

ミスリル鉱石をなめまわすようにジェフが眺めてそう告げる。ミスリルが発掘されたとあって、外にいる兵士達も似たような反応を示して大騒ぎだ。

「うぉぉぉぉ本当にミスリルだぁ!」
「ルドルフ様すげえ!」
「天才かよ、なんで知ってたんだ!?」
「きゃー、くふふ、これだけあればわたしも億万長者だわ!」

兵士達の興奮の声がテント内まで聞こえてくる。
ミスリルがゲームと同じ場所に実在すると分かり、俺も肩の荷がおりた気分だ。
俺達は巨大な山脈の麓にベースキャンプを建てて、それからミスリルがでる鉱山をひたすらツルハシで掘っていた。

「全然ミスリルが出なくて一時はどうなるかと思ったぞ」

最初の一個が見つかるまで、内心冷や汗が止まらなかった。俺のゲーム知識が間違っていたのかと何度も疑った。

「むしろ、炭鉱夫でもない我々が一日で発掘できたのです。ここは喜ぶところでしょう」

それもそうかと、俺はジェフに同意して頷く。

「たしかにその通りだな。この調子で掘り続ければ大量にミスリルが手に入るだろう。この場所なら競合相手もいないし、独占し放題だ」

「大量の魔獣が生息する森に入るのは、酔狂な人ルドルフ様くらいです。これだけのミスリルがあれば、軍の強化も容易でしょう」

「ああ、時間はかかるが、ミスリルの装備さえ揃えればそこらの敵など恐れるに足らんだろう」

ミスリルは魔力伝導率が他の金属とは比べ物にない程優秀で、これで武器を製造すれば魔法の威力は増幅する。防具につかってもいい。魔法耐性を付与に優れた最高の鎧がつくれるだろう。

これさえあれば、魔人は別としても、暴走した貴族共の軍から領民を守るのに非常に有利になる。

前世の記憶をとりもどしてから、つまずくことばかりであったが、ようやく俺にも運がまわってきたということか。

その後、最初のミスリル鉱石が発掘されてから続々と追加の鉱石が発見つかり、仮設テントに鉱石が山のように積みあがった。

俺は作業を中断させて、兵士達に休息を命じた後、ヴァリアンツ領に帰還する旨を伝えた。

大勢の兵士とキアンは、金に目がくらんでもっと採掘するまで帰りたくないと駄々をこねたが、次回はもっと大規模な編成で本格的な採掘を実施すると伝えると、しぶしぶといった感じで引き下がった。

しかし、兵士達は獣深森の中層後半までついてきて、頑張ってくれたのだ。帰ったらボーナスくらいださないとな。

「お前ら報酬は期待しておけ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

歓声が鳴り響く。

「ボーナスで新しい馬を買うぞ!」
「いや、俺は腹いっぱいうまいもん食ってやる」
「俺は投資するぞぉ! 近所に絶対増える投資術を売ってる羽振りの良い奴がいるんだ」
「馬鹿かお前。賢者はギャンブルに全額つっこんでさらに倍に増やすだよ」
「よっしゃー、俺は生きて帰えれたら指輪を買うぞ! 帰ったら彼女にプロポーズするんだ!」

兵士達が各々ボーナスの使い道を想像して興奮している。
若干怪しい発言をしてる奴も数名いるが多分大丈夫だろう。

こうして、俺達は獣深森から撤退した。
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