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2章瓶 お酒の力を……
20杯目 俺の名は。
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俺は今、人生初のバーで初めてのカクテルを飲んでいた。カクテルの名は、マンハッタン。
俺は調子にのり、つい飲みすぎてしまう。
後悔することになるとは知らずに……
「オネェさーん! マンハッタンもう一杯!」
「ちょっと陰雄ちゃん? あなた飲み過ぎよ~?」
「大丈夫だよー! いつもこんな感じだし! 俺こう見えてお酒弱いんだぞー!」
「いや、どう見ても弱いでしょあなた。てか陰雄ちゃん、一人称僕じゃなかったかしら?」
「えー? 知らないー!」
「あら。あなた今日はもう飲むのやめたら?」
「まだ飲むぞー!」
「はいはい」
そう。俺は、毎回お酒を飲むたびこんな風に潰れているのである。って言っても、あまり覚えてないのだが。
まあ、こんな風に酔ってくると目元までかかる前髪が邪魔でしょうがない。俺は、鞄からワックスを取り出し髪をかき上げる。メガネも鬱陶しいので外す。伊達メガネだしね。
その様子を見ていたオネェさんは驚いた様に言う。
「あら~! 陰雄ちゃん本当は良い男じゃないの~! メガネまで外して見えるの?」
「あぁ。メガネは伊達だからね!」
「あぁ~! そうだったのね~! で、そうして普段はそんな地味な格好してるの?」
「なに、つまらない話さ。高校時代に色々あって、そこから人と関わるのが嫌になったんだ。だから、かな。誰かを好きになるのも怖くなってしまってね」
「そう、だったのね……じゃあ、今も誰かを好きになるのが怖いの?」
聞いてはいけないことを聞いた。みたいな顔をするオネェさんに、僕は頭を振って言う。
「今は、ちゃんと好きな人いるから! そんな気にしないで!」
「あら。そうなの? なら良かったわ~! でもごめんね。辛いこと聞いちゃって」
「良いって! どうせ酔ってるんだし!」
「そう言ってくれると嬉しいわ~!」
俺はこの後、オネェさんと好きな人について語り明かした。
このバーを気に入った俺は、通うことになると思いオネェさんにワックスを店に置いといてもらうことに。オネェさん優しすぎだろ。なんて思いながら、意識が残る限界までお酒を楽しんだ。
そして次の日の朝、俺は後悔することになるのだが……
まあ、それは明日の根暗陰雄に頑張ってもらうとしよう。
◇◇◇
「あったまいってぇー」
僕は朝起きてベッドの上で呟く。
もう二度と酒飲まない。そう決めた僕だった。
今日大学は、一限からなのだが二日酔いで気持ち悪くなっていた僕は、休むことを決めた。
「たまにはこんな日があっても良いよね……」
と僕は誰もいない部屋で、誰に聞かせるでもない言い訳をする。目が覚めてきた僕は、徐々に昨日のことを思い出していく。
完全に思い出した僕は、恐る恐る財布の中身を確認した。ちなみに、昨日バーに行く前は財布に、三万円程入っていた。
そして財布を開くと……
「残金五百円!? どんだけ飲んでんだよ……僕」
いや、本当に飲み過ぎだろ……金がない……
一応仕送りは貰っているのだが、流石に酒飲みすぎたから仕送り追加で……なんて言える訳もなく。仕方なくバイトをしようと決意したのだった。
大学を休んだ日ってのは、一日の流れが早く感じる。
バイト探しに夢中になっていた僕は、気がつくと夕方になっていた。とりあえず、夕飯の買い出しに行くためにコンビニでお金をおろして、スーパーへと向かう。
そんな時だった……
「あれ? か、陰雄くん?」
急に名前を呼ばれた気がした僕は、振り返る。するとそこには、天使が立っていた。僕がしばらく見惚れていると、彼女は言う。
「今日大学サボったの?」
「いや、二日酔いで死んでて……」
「なんだ……良かった……それにしても良いなぁ。……私は酔えないから」
「そういえば言ってたね。でも二日酔いにいいなぁって、もしかして陽華さんってドえ……」
「違います!! ただ酔いたいなって思っただけ!」
彼女は、僕の言葉を遮って否定した。まだ言い切っていないのに、何を否定することがあるんだろう。なんて思ってると彼女は問う。
「それでー、サボりくんはこれからどこ行くのー?」
「サボりじゃないって! これから夕飯の買い出しに……」
「えら! 自炊してるんだ! 私は料理はその……ちょっとだけ苦手……だから……」
「なんか、意外だね。それでさ……良かったらなんだけど……そ、その、食べにくりゅ……」
あ、噛んだ……大事なところいつも噛むのなんとかしてくれよ……お願いだから気づいてませんように。なんて願った。
けど、僕の願いは届かなかったのか彼女は肩を揺らして。
「…………ふ、ふっふ、あははは! くりゅだって。ふふ。あーおかしっ」
見事に痛いところをついてきたな。僕は顔を顰めて言う。
「……もう! そんなに笑うならいいよ別に……」
「ごめんって! そんなつもりじゃ……ふふ。ないって! とりあえず行くから!」
「また笑ってるじゃん! もう! 罰として嫌いな食べ物入れてあげる。で、嫌いな食べ物って何?」
「教える訳ないじゃん!」
「…………ケチ」
そんなことを言いながら僕たちは買い物を済まして、家へと戻ったのである。
それにしても、勢いで誘ったけど本当に大丈夫なのか?
俺は調子にのり、つい飲みすぎてしまう。
後悔することになるとは知らずに……
「オネェさーん! マンハッタンもう一杯!」
「ちょっと陰雄ちゃん? あなた飲み過ぎよ~?」
「大丈夫だよー! いつもこんな感じだし! 俺こう見えてお酒弱いんだぞー!」
「いや、どう見ても弱いでしょあなた。てか陰雄ちゃん、一人称僕じゃなかったかしら?」
「えー? 知らないー!」
「あら。あなた今日はもう飲むのやめたら?」
「まだ飲むぞー!」
「はいはい」
そう。俺は、毎回お酒を飲むたびこんな風に潰れているのである。って言っても、あまり覚えてないのだが。
まあ、こんな風に酔ってくると目元までかかる前髪が邪魔でしょうがない。俺は、鞄からワックスを取り出し髪をかき上げる。メガネも鬱陶しいので外す。伊達メガネだしね。
その様子を見ていたオネェさんは驚いた様に言う。
「あら~! 陰雄ちゃん本当は良い男じゃないの~! メガネまで外して見えるの?」
「あぁ。メガネは伊達だからね!」
「あぁ~! そうだったのね~! で、そうして普段はそんな地味な格好してるの?」
「なに、つまらない話さ。高校時代に色々あって、そこから人と関わるのが嫌になったんだ。だから、かな。誰かを好きになるのも怖くなってしまってね」
「そう、だったのね……じゃあ、今も誰かを好きになるのが怖いの?」
聞いてはいけないことを聞いた。みたいな顔をするオネェさんに、僕は頭を振って言う。
「今は、ちゃんと好きな人いるから! そんな気にしないで!」
「あら。そうなの? なら良かったわ~! でもごめんね。辛いこと聞いちゃって」
「良いって! どうせ酔ってるんだし!」
「そう言ってくれると嬉しいわ~!」
俺はこの後、オネェさんと好きな人について語り明かした。
このバーを気に入った俺は、通うことになると思いオネェさんにワックスを店に置いといてもらうことに。オネェさん優しすぎだろ。なんて思いながら、意識が残る限界までお酒を楽しんだ。
そして次の日の朝、俺は後悔することになるのだが……
まあ、それは明日の根暗陰雄に頑張ってもらうとしよう。
◇◇◇
「あったまいってぇー」
僕は朝起きてベッドの上で呟く。
もう二度と酒飲まない。そう決めた僕だった。
今日大学は、一限からなのだが二日酔いで気持ち悪くなっていた僕は、休むことを決めた。
「たまにはこんな日があっても良いよね……」
と僕は誰もいない部屋で、誰に聞かせるでもない言い訳をする。目が覚めてきた僕は、徐々に昨日のことを思い出していく。
完全に思い出した僕は、恐る恐る財布の中身を確認した。ちなみに、昨日バーに行く前は財布に、三万円程入っていた。
そして財布を開くと……
「残金五百円!? どんだけ飲んでんだよ……僕」
いや、本当に飲み過ぎだろ……金がない……
一応仕送りは貰っているのだが、流石に酒飲みすぎたから仕送り追加で……なんて言える訳もなく。仕方なくバイトをしようと決意したのだった。
大学を休んだ日ってのは、一日の流れが早く感じる。
バイト探しに夢中になっていた僕は、気がつくと夕方になっていた。とりあえず、夕飯の買い出しに行くためにコンビニでお金をおろして、スーパーへと向かう。
そんな時だった……
「あれ? か、陰雄くん?」
急に名前を呼ばれた気がした僕は、振り返る。するとそこには、天使が立っていた。僕がしばらく見惚れていると、彼女は言う。
「今日大学サボったの?」
「いや、二日酔いで死んでて……」
「なんだ……良かった……それにしても良いなぁ。……私は酔えないから」
「そういえば言ってたね。でも二日酔いにいいなぁって、もしかして陽華さんってドえ……」
「違います!! ただ酔いたいなって思っただけ!」
彼女は、僕の言葉を遮って否定した。まだ言い切っていないのに、何を否定することがあるんだろう。なんて思ってると彼女は問う。
「それでー、サボりくんはこれからどこ行くのー?」
「サボりじゃないって! これから夕飯の買い出しに……」
「えら! 自炊してるんだ! 私は料理はその……ちょっとだけ苦手……だから……」
「なんか、意外だね。それでさ……良かったらなんだけど……そ、その、食べにくりゅ……」
あ、噛んだ……大事なところいつも噛むのなんとかしてくれよ……お願いだから気づいてませんように。なんて願った。
けど、僕の願いは届かなかったのか彼女は肩を揺らして。
「…………ふ、ふっふ、あははは! くりゅだって。ふふ。あーおかしっ」
見事に痛いところをついてきたな。僕は顔を顰めて言う。
「……もう! そんなに笑うならいいよ別に……」
「ごめんって! そんなつもりじゃ……ふふ。ないって! とりあえず行くから!」
「また笑ってるじゃん! もう! 罰として嫌いな食べ物入れてあげる。で、嫌いな食べ物って何?」
「教える訳ないじゃん!」
「…………ケチ」
そんなことを言いながら僕たちは買い物を済まして、家へと戻ったのである。
それにしても、勢いで誘ったけど本当に大丈夫なのか?
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