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3章瓶 僕と彼女のすれ違い
25杯目 過ち(1)
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「おい。あれ誰だよ」
「え? 知らない」
「何あの人! 超かっこいい!」
同じ学科の同級生達が、何やら騒がしい。私は、同級生達のみている方を向く。講義室の窓際、一番奥。いつもの彼の特等席。そこにいた人物の容姿を見て、私は驚きを隠せなかった。
「…………陰雄……くん……?」
そう。そこに座っていた人物は、あのバーで見た髪の毛をかき上げて、メガネを外した彼だった。
彼とは、1週間ちょっと連絡を取れていない。あの後何度も、謝罪のメッセージを送ったが、返信が来ることはなかった。連絡取れないなら直接……とも思ったが、大学自体昨日まで休んでいたので会う機会すらなかった。
久しぶりに見た彼の表情は、どこか寂しげだった。私は、そんな彼にやっと会えたから謝罪をと思い、彼の方へ向かって歩を進める。
やがて彼の前に着き、頭を下げながら言う。
「陰雄くん。あの時は本当に、その…………ごめんね……」
「えっと…………すみませんが誰ですか?」
「…………えっ?」
彼は、ふざけてる訳でもなく普通に、私が誰かわからないようだった。私が彼に謝罪しているのを見て、周りは「陰雄って誰だ?」とかざわついている。私はそんな周りを一切気にする事なく、恐る恐る聞いてみる。
「……えっと、君は根暗陰雄くんでいいんだよね?」
「はい。ただ、なんで俺が大学に居るのか分からないんですよね。今日は普通に高校に登校しようと思っていたら、足が勝手にここに俺を運んでしまって……」
私の問いに対する彼の答えは、予想だにしないものだった。今日が高校の入学式? なんでそんな…………と思ったが、一つ思い当たる事があった。
私は、それを確認するために彼に問う。
「……えっ? ちょっと聞くけど、カレンダーとか見た?」
「カレンダー……ですか? 見てないですね。ちょっと見てみます」
彼はそう言うと、ポケットからスマホを取り出し日付を見る。そして彼は言う。
「えっ? 今って2019年じゃないんですか?」
「今は、2023年だよ」
「えっ……?」
彼の言ったことを聞き、私は確信する……
彼は、過去に恋愛関係で色々とトラウマになることがあったらしい。詳しくは話してくれてないので知らないけど……
そんな彼が、再び人を……私を好きになる事ができたのに、私があんな言葉を言ったせいで…………
────彼は、記憶喪失に…………
私は講義室に居れなくなって思わず飛び出してしまう。
その日私は、そのまま家に帰った……
◇◇◇
朝起きると、知らない天井だった。
俺はとりあえず、ベッドから起きて顔を洗いに洗面所へと向かう。すると、洗面所の鏡に映し出された自分に、俺は目を疑った。
気持ち悪い程伸びた前髪。洗面台の上には、伊達と思われるメガネが置いてある。思わず俺は心の底からの声が漏れる。
「なんだこの長い前髪……こんなんじゃ俺の青春高校ライフが……」
とりあえず、長い前髪をかき上げて、ワックスで固めた。その後部屋に戻り、着替えを始める。
俺の記憶だと、今日は高校の登校日なはずなのだが……高校の制服が見当たらない。仕方なく、適当な洋服を着て家を出た。
高校まで行くつもりだったのだが、俺がたどり着いた場所……
────それは、大学だった。
うん、一個飛ばしてない? 俺の高校青春ライフは? などと考えていると、またもや足が勝手に何処かへと向かった。
講義室らしき一室。その部屋の、窓際最後列。気づけばそこに着席していた。俺は、なんでこんな所にいるのか考える。考えれば考える程どこか不思議な感じで、記憶の一部が抜けている気がしてくる。
抜けてる様な気がする記憶を必死に思い出そうとした。その途端、猛烈な吐き気に襲われて考えるのをやめた。そこで周りが何やら騒がしいことに気づく。
皆、俺を見て何か言ってる気がする。それはそうだよね。大学に高校生(?)がいるんだもん。それは騒ぎになるよ。と、人ごとの様に考えていると、一人超絶綺麗な女性が、俺の前に来て頭を下げて謝ってきた。
ん? 俺、こんな女性に謝られることしたかな? しかも俺のこと知ってるみたいだし……あれ、なんだろう。初めて会う女性なはずなのに、この人の事考えた途端頭痛がしてきた。
俺は頭の痛みを我慢しながら、彼女に言う。
「えっと…………すみませんが誰ですか?」
その言葉を聞いた彼女は、とても動揺してみえた。そんな彼女は、動揺しながらもカレンダーを見たか俺に問う。俺は、そういえば見てないな。と思い、ポケットからスマホを取り出し確認する。俺の記憶では、今は2019年なはずなのだが…………
スマホのカレンダーには『2023年』と表示されていた。
そして俺は気づく。自分が何故か4年分の記憶を失っていることに…………
「え? 知らない」
「何あの人! 超かっこいい!」
同じ学科の同級生達が、何やら騒がしい。私は、同級生達のみている方を向く。講義室の窓際、一番奥。いつもの彼の特等席。そこにいた人物の容姿を見て、私は驚きを隠せなかった。
「…………陰雄……くん……?」
そう。そこに座っていた人物は、あのバーで見た髪の毛をかき上げて、メガネを外した彼だった。
彼とは、1週間ちょっと連絡を取れていない。あの後何度も、謝罪のメッセージを送ったが、返信が来ることはなかった。連絡取れないなら直接……とも思ったが、大学自体昨日まで休んでいたので会う機会すらなかった。
久しぶりに見た彼の表情は、どこか寂しげだった。私は、そんな彼にやっと会えたから謝罪をと思い、彼の方へ向かって歩を進める。
やがて彼の前に着き、頭を下げながら言う。
「陰雄くん。あの時は本当に、その…………ごめんね……」
「えっと…………すみませんが誰ですか?」
「…………えっ?」
彼は、ふざけてる訳でもなく普通に、私が誰かわからないようだった。私が彼に謝罪しているのを見て、周りは「陰雄って誰だ?」とかざわついている。私はそんな周りを一切気にする事なく、恐る恐る聞いてみる。
「……えっと、君は根暗陰雄くんでいいんだよね?」
「はい。ただ、なんで俺が大学に居るのか分からないんですよね。今日は普通に高校に登校しようと思っていたら、足が勝手にここに俺を運んでしまって……」
私の問いに対する彼の答えは、予想だにしないものだった。今日が高校の入学式? なんでそんな…………と思ったが、一つ思い当たる事があった。
私は、それを確認するために彼に問う。
「……えっ? ちょっと聞くけど、カレンダーとか見た?」
「カレンダー……ですか? 見てないですね。ちょっと見てみます」
彼はそう言うと、ポケットからスマホを取り出し日付を見る。そして彼は言う。
「えっ? 今って2019年じゃないんですか?」
「今は、2023年だよ」
「えっ……?」
彼の言ったことを聞き、私は確信する……
彼は、過去に恋愛関係で色々とトラウマになることがあったらしい。詳しくは話してくれてないので知らないけど……
そんな彼が、再び人を……私を好きになる事ができたのに、私があんな言葉を言ったせいで…………
────彼は、記憶喪失に…………
私は講義室に居れなくなって思わず飛び出してしまう。
その日私は、そのまま家に帰った……
◇◇◇
朝起きると、知らない天井だった。
俺はとりあえず、ベッドから起きて顔を洗いに洗面所へと向かう。すると、洗面所の鏡に映し出された自分に、俺は目を疑った。
気持ち悪い程伸びた前髪。洗面台の上には、伊達と思われるメガネが置いてある。思わず俺は心の底からの声が漏れる。
「なんだこの長い前髪……こんなんじゃ俺の青春高校ライフが……」
とりあえず、長い前髪をかき上げて、ワックスで固めた。その後部屋に戻り、着替えを始める。
俺の記憶だと、今日は高校の登校日なはずなのだが……高校の制服が見当たらない。仕方なく、適当な洋服を着て家を出た。
高校まで行くつもりだったのだが、俺がたどり着いた場所……
────それは、大学だった。
うん、一個飛ばしてない? 俺の高校青春ライフは? などと考えていると、またもや足が勝手に何処かへと向かった。
講義室らしき一室。その部屋の、窓際最後列。気づけばそこに着席していた。俺は、なんでこんな所にいるのか考える。考えれば考える程どこか不思議な感じで、記憶の一部が抜けている気がしてくる。
抜けてる様な気がする記憶を必死に思い出そうとした。その途端、猛烈な吐き気に襲われて考えるのをやめた。そこで周りが何やら騒がしいことに気づく。
皆、俺を見て何か言ってる気がする。それはそうだよね。大学に高校生(?)がいるんだもん。それは騒ぎになるよ。と、人ごとの様に考えていると、一人超絶綺麗な女性が、俺の前に来て頭を下げて謝ってきた。
ん? 俺、こんな女性に謝られることしたかな? しかも俺のこと知ってるみたいだし……あれ、なんだろう。初めて会う女性なはずなのに、この人の事考えた途端頭痛がしてきた。
俺は頭の痛みを我慢しながら、彼女に言う。
「えっと…………すみませんが誰ですか?」
その言葉を聞いた彼女は、とても動揺してみえた。そんな彼女は、動揺しながらもカレンダーを見たか俺に問う。俺は、そういえば見てないな。と思い、ポケットからスマホを取り出し確認する。俺の記憶では、今は2019年なはずなのだが…………
スマホのカレンダーには『2023年』と表示されていた。
そして俺は気づく。自分が何故か4年分の記憶を失っていることに…………
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