世界を救った勇者のパーティーに所属していたシーフです…

mitokami

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 閉じ込められて見て見ぬ振りをするしかなかった者、脅され、脅迫され、強制されてイジメに参加させられた類いの被害者に類する者達に向けて、僕は[逃げて!ホント、如何にかして逃げてくれ!]と心の中で叫んでいた。
そこに、そんな場面に現れた救いの神は、偶然、見回り業務で通りがかった兵士、嘗ての魔王討伐の旅に一緒に同行していた[大盾さん]だった。コレは何かしらの神が起こした奇跡と言うヤツなのだろうか?

 因みに「そこで何をしている!」と声を掛けて来た大盾さん所属の御一行様に対し、魔法使いは気安く「あ!警備御苦労様です♪って、大盾さんも居るじゃん♪久し振りぃ~♪」と声を掛け、手を振っていた。この時の僕の心境を推して知って欲しい。
見付かっちゃイケナイと思っての気苦労。見付かってしまってでの驚きと動揺。本当に心臓が痛くなる程、冗談抜きで心臓に悪いレベルでドキドキした。んだけど、手を振ってアピールて、ホント、コレ、魔法使いの対応って大丈夫なの?

 御一行様の方と言えば、想定外の魔法使いの反応に動揺してか?一瞬、沈黙する。の、だが「…その声と…、腰に下げた杖…、魔法使いか?」と大盾が素顔を晒した格好の魔法使いを魔法使いだと認識してくれたので、魔法使いと僕は、怪しいヤツとして捕まらずに済んだ。
僕も、その杖で魔法使いを魔法使いだと判断したが、今回、魔法使いが頑なに装備の変更を拒んで持ち続けたその杖に感謝する事にする。きっと杖が無ければ、大盾も魔法使いだと気付かなかったかもしれない。と言う事があった後の御話。

 何かを勘違いした大盾が「宮廷魔導士が変装して、また下町通いか?程々にしとけよ」と言い掛け「って、逆か?見るからに逆だな?顔色悪いぞ?飲み過ぎか?」と勘違いの連打で、僕に対しても「そこの従者!従うだけが従者じゃないぞ?飲み過ぎる前になだめて連れ帰るのも従者の仕事だ」等と色々、僕の正体に気付く事も無くなのか?ガチ寄りのガチで御説教して来る。
魔法使いは魔法使いで、残留した薬の効果でボンヤリしていて何かしら勘違いしたのか?「飲み過ぎじゃないしぃ~」と反論するも、大盾は問答無用で「これだから酔っぱらいは…」と溜息交じり、魔法使いを荷物の様に担ぎ上げ、担がれ吐きそうになる魔法使いに「吐くなよ?我慢しろ!」と声を掛けてから、部下らしき兵士達に引き続きの警備の仕事を任せて、有無を言わさず大盾は「送って行く」と宣言。魔法使いと僕は、宮廷魔導士としての魔法使いに与えられた王宮の部屋へと送り届けられる事に成ってしまった。

 そんな御蔭の産物で、魔法使いは後宮を氷漬けにする事無く、意識を手放し眠っている。又は気絶している。とも言う。

 僕の方は、一難去ってまた一難、大盾さんを前に如何して良いか分からなく成る。魔法使いが部屋までの道中に意識不明と成り、部屋までの案内が必要に成ったら如何しよう。と思い。動悸が激しく成る。それが必要でない事を知って安堵し、魔法使いの部屋の前で大盾に鍵を開けるように言われ、また動悸に襲われ、一応、鍵を何処へやってしまったか分からなくなった振りをして準備し、鍵を使って開錠した様に見せ掛けて扉を開けたのだが、そこで少しばかり、どうしても不自然に成ってしまっていたかもしれないと不安に襲われている所、扉を閉めた途端に大盾は「盗賊シーフ君だよね?」と僕に向かって声を掛けて来た。正体がバレてしまった!と、ここで[絶体絶命]と思ったのは、束の間の御話。

 僕が緊張してゆっくりと振り返ると、大盾は思ったより近くに居て、僕の頭をポンポンッと優しく叩き「無事で良かった」と言う謎の子供扱いをしてきた。如何言う事なのだろうか?本格的に訳が分からない。
そんな僕を置いてけぼりにして、大盾は天蓋付きのベットに魔法使いをポイッと放り込み、深夜なのに気にせず部屋から使う呼び鈴を鳴らし、眠そうなメイドを呼んで3名分の御茶の準備をさせた。
メイドさんも魔法使いの部屋に大盾が居てびっくりしたのだろう。目が覚めた様子だったが、明らかに見るからに最後まで僕や、寝ている魔法使い、大盾の居る方向をチラチラ見ながら応接セットのテーブルの上に、御茶と茶菓子の準備をしてくれ、追加の茶をカップに注ぎ入れる為に部屋に残ったのだろうが、余りにもソワソワして様子を窺って来るので、気を悪くした様子の大盾に追い出されてしまった。

 気まずいだけの沈黙が場を支配する。僕が魔法使いには早く目を覚まして貰わないと困るな、と思った矢先、天蓋付きのベットの方から「ソファーに座れよ」と、その魔法使いから声を掛けられた。
どうやら、ベットに放り込まれた衝撃で目を覚まし、今の今まで気分が悪くて動けなかっただけらしい。僕は取り敢えず下座に座り、魔法使いは大盾に「私の事は放っといてくれ」と言って抵抗していたが結局、大盾に寄って小脇に抱えられて移動させられ、僕の隣の一人掛けの椅子に座らされる事に成った。
そして王盾は、何故だか偉そうに上座である長椅子に座って「宰相絡みで動いているだろ?話を聞かせて貰おうか?」と言う。

 でも、残念!正解な部分はあるんだろうが、今回のは、殆ど魔法使いの私怨ではなかろうか?と、僕は思っている。
その為、魔法使いの方に目をやると…、乱暴に運ばれた為に、体調不良が悪化して会話する余力は無さそな雰囲気…、僕に説明できる部分は非常に少なくて…仕方無しに話題のネタとして盗って来た書類を大盾に手渡しておいた…、大盾は暫く、書類を読むのと思考するのに時間を取られ…、僕は、御茶と菓子を楽しんだ…、のだが…手渡した書類は大盾さんに見せてはイケナイ資料だったらしい……。

 書類の中身を理解した大盾は書類を握り締め「さてと、宰相の邸宅に行こうか」と言う。僕は常識の範囲を考えて「今、深夜ですが?」と声を上げた。だが、大盾は「昔から多少、後宮への女性の出入りが多い気はしていたが、俺が出掛けている間に平民や下級貴族の少女達が命を落としていたとは聞いていない、詳しい話を宰相親友殿に聞きに行くだけだ!問題は無い!」と言い切った。
大盾に運ばれる度に体調不良が悪化していっている様子の魔法使いは、真っ青な顔で吐き気を堪え乍らも首を傾げ、僕に「ナニがドウしてコウなった?」と聞いて来るが、僕には何て答えて良いかが分からなかった。

 現状、只今、僕が唯一言える事は、宰相と大盾さんが親友同士ってマジですか?それ、大盾さんからの一方通行だったりしないよね?で、ある。
この後「馬車を準備しろ!」「時間が掛かる?夜道を走れる御者が居ない?」「それなら問題は無い!」と、大盾が荷馬車と馬を準備して、僕と魔法使いを荷台へ放り込み、大盾さん主導で宰相様の御家に向かう事に成ってしまったのであった。
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