65歳定年後に色々と思い出したので、魔法と異世界で最期の自由を楽しもうと思う。

mitokami

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 一呼吸の後、埃っぽい臭いがする気がした。いや違う、空気が変わった。周囲がひんやり冷たく感じられる。目を開けても真っ暗で何も見えない。出発地点とは違う何処かには転移したっぽいが、大きな欠伸が出た。自分自身の魔力が少なくなってしまっているのだろう。
「失敗したなぁ…、しっかり休養してから試せばよかった……」と言っても後の祭りである。魔力を無駄にしたくは無かったが、光をイメージして右手で[ソウェイル]を描き「ラムペ」と唱えて、掌の上にビー玉サイズの光る珠を出した。

 周囲がLEDみたいな魔力の灯り、無機質な青白い光りで照らし出され、埃っぽいが見知った場所に到着した事を知る事が出来た。立ち上がる事も出来ない狭い円柱型の空間だ。足元と頭の上に、先程作った転移用の陣と同じモノが存在し、狭い周囲の壁には、書いたり消したりした見知ったメモ書きが無数に残されている。それは、足元に配置された[オシラ]と言うルーン文字の下の宝石に残された魔力量と、キーアイテムの残りの魔力量が書き残されたメモである。
それは、満タンにした後の書き込みが無い事、足元の宝石に魔力が殆ど残っていない事、この陣は私の隠れ家の奥に隠されていて私しか存在を知らないと言う事、電池やバッテリーの中の電力と一緒で魔法も時間の経過で少しづつ少しづつではあるが放出されてしまう事から、相当の長い時間が[この世界の]この場所でも経過している事を示していた。でも、1回分は残っていて利用出来た事から「私の年齢分、こちらの世界でも時間が経過してるって事かな?」と推測できたのだけど、限界が来た。

「あかん…眠い…眠いが過ぎる…、一回寝てから考えよ……」
私は指輪を無くさないように台座を内側にし…、念の為の邪気払い狙いで右手の中指の第一関節と第二関節の間にファランジリングとして…と言えば聞こえが良いが…その位置までしか入らなかったのでその位置にして…、魔法の光を消してそのまま、私は何も考えずに仮眠を取った訳ではあるが、ここは隠れ家と言う名の古い、古くなった洞窟の中。この場所の外が、もし、万が一、何かしらの理由で崩れて埋まっていたり、天井が崩落して[この場所が]密封され、完全な閉鎖空間に成っていたら、この場で私が窒息死していたかもしれないと言う案件である。

 因みにその日は仮眠を取って、ある程度回復した魔力で足元の宝石に魔力を充填。移転陣が使えるか否かが知りたかっただけなので、そのまま速攻で移転して帰ってから、自宅の移転陣の左右に荷物を収納、風呂に入って御飯を作って食べて寝た。

 残念な事に、翌朝からは仕事。自宅の転移陣と指輪の魔力球に魔力を充填。指輪は入っていた箱に片付け、朝御飯を食べながら洗濯して、掃除して、買い物に行って、昼御飯を食べて、まだ時間があると思っていたら、会社からの電話で大忙し。早出して無難に仕事を済ませて夜に家に帰っての日常。
休みでも仕事でも、午前中は会社からのアンケートの類が来る可能性から携帯電話スマホを手放せず。仕事の有る日の昼からの時間も出勤するまで安心できない。休日の昼からは安心してゆっくりできるかと思いきや、何処がしかの日の出勤は早く来てくれ的な携帯電話スマホのアプリでの連絡を取り零すと不味いので安心できない。そんな職場に私は勤めている。

 その頃から、休みの日の午前中も午後も普通に安心して過ごせる休みを取りたいと思った。出勤前の時間も携帯電話スマホのアプリで拘束されるのが嫌に成って来た。働かなきゃ生きてはいけないけど…、そこまで権利を搾取され続けるのは如何なモノか?と思う様に成った……。若しかしたら、これは、個人個人が持っている私物の携帯電話スマホを利用して、会社から束縛される事の無かった前世。異世界の記憶が成せる業なのかもしれない。

 そこへ、65歳に成ると年収が半減する仕様の給料形態。会社からは「65歳以上に成っても働かせてやっているんだ!有難く思え!」と言う態度と圧力。日数が減り、1日の出勤時間も減って自由時間は増えたかの様相だが、会社からの強制参加のアンケートの類、事前連絡がある場合と無い場合の有るメールの所為で台無し。休日でも出勤前でも関係無く、即返せ!直ぐ返信しろ!と言われ部署に寄って返信期限は2時間以内。気付かなかったり返信が遅れたら電話やメール攻撃を受ける事と成り、次の出勤時には必ず、どれだけ忙しかろうと怒鳴られ御説教される。予告有り無しに係わらずメールに気付かなかったりメールの返信が遅れただけで評価が駄々下がりして給料に響く仕様。それが許されるから、出勤前でも、こちらに用事があっても御構い無し、出てきて欲しい時に連絡が付かなかったら怒鳴られ御説教&給金に響く査定をされる。それが普通の会社。

 然も、労働組合は意味を成さず。パートナーシップがある故にパートでも学生アルバイトでも労働組合費とその他諸々の組合費を理由を付けてガッツリ給料から強制天引き、更に「労働組合を辞めたら退社させて良いって法律があるから」と脅される始末。その状態で、同じ働く場所にいる労働組合の偉い人に訴え掛け、有給の権利を主張すれば「愛社精神を持って権利を返上すべき」と回答され。「会社も労働組合も、個人個人の為に存在する訳じゃない」とも言われた。
それに、年2回の契約更新で働く内容も更新されるから、最初にこちらから出した希望は無かった事に成るらしい。それ・・は、独自の契約形態なので、契約社員に関する法律をも無視して良いそうだ。入社時での契約も無視して良いと言う凄い言い分だ。労働組合って会社の為のモノだっけ?

 そもそも、何時もひけらかす労働組合の功績ってのが微妙。新規で入って来る人の給料は勤務地に寄って上昇%も間違いじゃないけど、労働組合の御蔭で時給が上がった?蓋を開ければ、それが[最低時給]なのですが?その為に人件費を削る?本末転倒、人員不足で公休の希望が通らないんですけど?法律で最低限決められた5日間以外の有給の権利も奪われ続けているのですが?それで、働く者の人権を守っていると言っちゃうの?言えちゃうの?65歳以上は働く時間を制限するのに、副業禁止だよ?それで多様性を口にするの?凄いね。

 この事を「ちょっと、ウチの会社酷くね?」って雑談で話していた所、「会社に不利益を齎したら損害賠償を請求する」と言われた。この時に「それが気に入らないのなら退社すべき」とも言われたので、私は会社を退社する事を決め、宣言したのは言うまでもない。丁度、ニュースでパワハラの話題が取り上げられていた為、それが通ってしまったのも、1ヶ月前に退社したいと申し出て有耶無耶にされた人に「辞めたら次が無くて後悔するよ」と言われたのも、今と成っては笑い話だ。私は65歳を超える前に辞めるべきだったのだから。

 因みにその話・・・が会社の不利益に成る話と言うのならば[改善すべき点]ではなかろうか?と、私は思う。「間違った事をしていない」「従業員への当たり前の要求をしているだけ」「我が社はブラック企業ではない」と言い張るなら、あの事・・・を公言しても何にも間違った事はしていない・・・・・・・・・・・と主張し、堂々としていて欲しいモノだね。と、予断を挟み…本題へ……。

 唐突な話だが、有給は2年で消失の上に昨年のは20日間までしか繰り越しできないのが国の方針。今現在、65歳に成る前の長時間労働分の有給が減らされ消える前の時期。今まで年間5日間しか使えなかった有給は全部残っており、1日の日給も65歳に成る前の状態の筈。減る前で良かった。と、思う。
但し、雇用保険の方は支払い損。貰えるのは65歳未満までだったらしい。身を削って働いてきた分、後悔しかない。噂では雇用保険に寄っては60歳までの場合もあるので、50代後半に成ったら自分の会社が掛けている雇用保険が、どの雇用保険なのか?を確認するべきである事をオススメしておこう。と言う御話。
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