嘘から出た実?って、いや、それ寧ろ本当の事が嘘に成ってて…

mitokami

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 本当は私が本物の行方不明中の姫なんだとは思うんだけども、何か不都合な事があったら偽物として問答無用で切り捨てられるであろう立場に置かれ、御姫様ってヤツが必要最低限知っていなければイケナイと言う知識を付け焼刃、過剰な詰込みスピードで伝授される今日この頃。

 体感系で覚える方は、基礎が私の記憶の何処かに潜んでいたらしく、習い始めた一瞬だけ褒められた。が、しかし、レヨンの姿のブランが男性の礼儀作法は勿論、女性の礼儀作法も一瞬見ただけで簡単に模倣してしまってくれた御蔭で、私の方にとばっちり発生。私は何も悪い事をしていないのに、私の普段使ってない筋肉が悲鳴を上げるレベルの軍隊の訓練のよ~なスパルタ教育を私が受けさせられる事と成り、私を苛めた。習った事を完璧に熟さなければ筋トレまで追加でさせられる事に成るので、空き時間にレヨンな姿のブランに教えて貰うって努力が必要に成った。

 レヨンの姿のブランにも頼れない記憶力頼りの御貴族様の基礎知識の方の教育。
何某かを生産し何某かで稼ぐ何処かの地域にある何処かの領地の何とやら家の何とやら様はこの肖像画の人とかは、私の記憶力が乏しくてカンニングペーパーに頼るしかない状態と成った。けど、メモ書きに使って良いと支給された紙もペンもインクも超高級品仕様で、メモ紙として使うには気疲れが絶えない事と成る。

 テーブルマナーすら苦痛だけど、マナーを教えてくれる担当者曰く御褒美(?)で豪華な食事は食器も豪華絢爛で、軽食を食べるにも御茶を飲むのにも、ちょっとした事で食器を傷付けてしまいそうで肝が冷えるし、料理も無駄に高級な調味料や香辛料をふんだんに使うが故に、甘過ぎたり塩辛過ぎたり激辛だったりして、嫌がらせを疑う程の代物。嫌でも上品に口にしなければ…と伸ばした手が震える程にホント…、口に合わない……。然も、全てに置いて上品な態度で何でもない振りをしなきゃいけないのが苦痛。本物の救いは、御茶やコーヒーだけは美味しかったって事だろうか?

 そんな、冗談抜きで逃げ出しくて堪らない日々に続く某日某所。近衛隊長様に引き連れられ、必要最低限まで人払いがされた中、国王様と后妃様に謁見させられた。但し、殆どの視線はレヨンな姿のブランに注がれている。
因みに、扉が開いて遠目に見た国王は国王然としたド派手な衣装に身を包む冴えない初老のオッサンで、近付き、国王に「面を上げよ」と言われて直視した国王も、血筋的に顔立ちは整っているのだけど、地味でイケメンとは言い難い残念系の御尊顔だった。見覚えは、無くはない。がもしかしたら…な…、私の実父かも?の人だと思うと…、少し感慨深いモノが…無くはない…と…思ったのに……。

 そう思ったのに、私の保護者として私の隣で一緒に壇上に向かって跪いているレヨンの姿のブランを見詰めて国王は「エクレールに生き写し…、もしや、我とエクレールの間に生まれた子は娘ではなく息子だったのか?」と、寝ぼけた事を言いやがった。色々と台無しである。それは、私の姿をベースに人様の理想を踏まえて具現化し人間の男に化けたウェアウルフです。100%国王オマエの息子じゃね~よ!寝言は寝てる時だけにして欲しい。と、私は思う。
后妃様の方は、国王が言ったで、表情を一瞬だけ…悪鬼かな?レベルの…ものごっつうヤベェおっそろしい表情をしてらっしゃったんですけど…、ホント…冗談抜きで…こっわいわぁ~……。ブランも私も、何かの拍子に后妃様に撲殺されるんじゃねぇか?って思うに至る。ほんの一瞬の出来事に私は冷や汗を掻いていた。

 正直な御話。
私とレヨンの姿のブランを連れて、国王と后妃の前に出ていた近衛隊長様が「申し訳ありませんが、この二人は陛下の御子ではございません!エクレール様の甥と姪にございます」と言わなければ、本当にその場で殺されていたのではなかろうか?って思わずにはいられない雰囲気だった。その一瞬の出来事で、正直、もう、普通に御家に帰りたい。

 続きまして、后妃様が扇子を閉じ、自分に注目を集める為にパシンッと掌に扇子を打ち付けて大きな音を鳴らし「身代わりを連れてきた事は理解しました」と言い「エクレールと、その子供が死んだ証拠は何処ですか?」と言った。
その為に近衛隊長が行方不明に成った(エクレールが偽証したであろう)経緯と(エクレールが偽証したであろう)死んだと判断される状況を説明すると、后妃様は綺麗な御顔に不快感を露わにし「まず、本当に亡くなったのなら、妾であってもそれに準じた御墓に入れて上げなければいけません死を偽装して、あの女と子供がのうのうと生きているかもしれないでしょ?、遺髪や遺骨、本人であると確証が持てる遺留品の一つでも、持ち帰って来るべきではありませんか?」と何やら怖い副音声が聞こえて来そうな言葉を発しなすった。ホント、もう無理!怖過ぎるし、そろそろ帰って良いだろうか?って私は思うが、その願いは叶わない。

 后妃様がある程度納得するまで説明と言う名の言い訳が続き、皆が厭き、私の足が痺れた頃にやっと話が進む。長かった。本当に嫌がらせなんじゃないか?と思ってしまうくらいに長かった。そんな無駄な時間の末に、私は立ちあがる事を許されたが、レヨンな姿のブランの手を借りないと立ち上がれなく成っていた。
そこで、私の様子に気付いたレヨンの姿なブランの手を借りて立ちあがると、何処からともなく舌打ちが聞こえて来たよ~な気がしないでもない。聞こえてきた方向を伏し目がちに確認すると、后妃似だけど、少しばかり地味顔な若い王女がカーテンの陰に隠れて立っていた。&レヨンの姿のブランを見る目は、アレだ。惚れている系のアレのソレっぽい。正体はウェアウルフのシェイプシフター、俗に言う魔獣ですけど良いですか?と言いたい。でも、取り敢えず。知らぬが仏って言うし、現実問題、黙って置く他無いので放置する。けど、あの王女、性格も后妃様似なら、陰湿だろうなぁ~…、確実に地味に嫌がらせされる事に成りそうだし…、帰らせて下さい!と…冗談抜きで言いたい……。だけど、やっぱり帰らせて貰えない現実が世知辛くて辛い。

 そんな日の後半。
この日、父親であろう相手国王とは再会したが…、相手国王や、昔…幼少期の私が会った事があるのではないか?と思う国王の側近の誰一人もが私の正体に気付く事無く…、国王が、后妃様が駄々を捏ねる間にちょいちょい人間の男に化けたウェアウルフに対して自分の息子かも知れないと主張を繰り返し…、后妃の機嫌を更に損ねて話を長引かせ…、国王と同年代くらいであろう宰相様が国王の足を踏み付け…「あの娘が、リュエール・デ・ゼトワール姫の身代わりと言う事で宜しいですね?」と締め括り…私達は謁見の場から解放されたのであった……。

 開放されて見たら、謁見は昼過ぎからだったのに日がすっかり完全に暮れていた。どれ程の時間、私達は拘束されていたのだろうか?
そこに来て、后妃様への説明で声が枯れた近衛隊長様が、后妃が何かしてくるかも?と、私とレヨン姿のブランを労う序に近衛隊の宿舎に招待し、美味しい夕食とデザート+そこで宿泊する部屋を提供してくれた。久し振りに御飯が美味しかった。泊まらせて貰った部屋や借りた服は質素だったけど、そっちの方が自分には合っていて落ち着いて過ごせた。更に言えば、近衛隊の宿舎の寮母のオバちゃんメッチャ良い人!御飯が美味し過ぎて「私!ここん家の子に成る!」って冗談で言ったら、ブランレヨンも同意。近衛隊の皆々様の前で「僕とサンティエをここん家の子供にして下さい」って寮母さんの手を握り、至近距離に詰め寄って口説いて、近衛隊の人達を笑わせていた。

 な、ブランレヨンと一緒に近衛隊の宿舎の二人部屋に一泊させて貰った翌日。
本来の宿泊先である私が割り当てられた部屋と、私に付けられた気位が高くて嫌味なメイドさん達が大量の虫を送り込まれると言う名の嫌がらせの被害に遭っていたらしい。多分は、虫の中に咬まれたら死んだり刺されたら傷が残ったりする毒の虫も含まれていたしで、后妃似の王女様の仕業であろう。と思われる。
だから多分、提供する品々のグレードを下げるよう指示が出されていた。と言う方がきっと、后妃様の仕業であろう。だから「嫌がらせが嫌だから御家に帰っても良いだろうか?」って、近衛隊長様に言ったら、「それはできないから」と、近衛隊の宿舎を内緒で拠点とする許可を無償でくれた。序だから、近衛隊の朝の訓練にも参加して、脳筋的に代謝を上げて筋肉痛解消する事にした。近衛兵は御貴族様出身者しかいなくて、訓練も緩いので女の私でも問題は無かった。但し、ブランレヨンが優秀過ぎてアカン事に成っている。

 ウェアウルフの特性なのだろうか?基本、上司然として礼儀正しい御手本の様な目上の者に対してだけは従順で礼儀正しく、下と判断すれば従わないと言う習性が上手く働き、からかってきた雑兵を実力で黙らせ、目上でも上司失格な者には下剋上精神旺盛で、実力を他で示した上で「僕…いえ…私の実力を気になさるのでしたら、御手合せを願がっても?」と、実力で潰して進ぜよう的なノリで確固たる立ち位置を構成しやがりました。
って言うか、何時の間にか平民出って言うかウェアウルフ魔獣なのに、近衛隊長様から近衛隊の制服を貰って着込み、私の立ち位置(本当は本物だけど偽物の)【リュエール・デ・ゼトワール姫】の(本当は飼い犬だけど)兄(設定)付きの専属近衛兵って地位をブランレヨンが貰ってました。
「兄?従兄設定にする筈だったのでは?」って隊長に訊いたら「誰が勘違いして漏らしたのか、既にサンティエがリュエール・デ・ゼトワールで、レヨンが父親違いの兄だって話が垂れ流しに成って周知されていた」って、近衛隊長様達が思う突拍子も無い話が出回り浸透していたのだそうだ。多分、私の兄設定に執着しているブランレヨンが犯人であろう。けど、ブランがレヨン以外にも化けて噂を流した可能性も否定できないので黙って置く事にした。
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