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No01 プロローグ 天葬の一族の最期
004 天葬の一族の最期
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その日の朝は、空気澄み渡る快晴の青空。シャンマオは微熱残る双子の兄シーツーの為に夜明け前から野生の小さな果実を集め…、一部をジエンの為に布で包み「薬、もう少し分けて貰えないか頼みに行ってくる」と言い…、「今日は珍しく素直だな…、何時もなら何か言い訳するのに……」とシーツーに言われて照れた風に頬を染めた……。
シーツーは苦笑いを浮かべ、少し寂しそうに「行っても良いけど…、浮気するなよ……。」と言って送り出す。シャンマオは普通に笑って「何だよそれw私の唯一無二は、シーツーだけだろ?ちゃんと帰ってくるから、今夜また、熱が上がらない様に体を休めておいてくれよww」と言って、保護区の山を村までの下山した。それから警備兵に遭遇しない様に注意しながら歩き出す。
後少しで山並みから村への目印となる沈黙の塔が見える位置まで来ると、何時も遠くから聞こえて来る筈の鳥の声が無く、妙に静まり返り、微かな木々の騒めきだけがシャンマオを迎えてくれた。妙に嫌な予感がして、村を見渡せる高い樹木のある場所まで走ると、その途中で、小高い丘の上にある二基一対の沈黙の塔から、噴火する火山の如くに煙が立ち昇っているのが見えた。
「は?何これ?!有り得ないんですけど!!」
沈黙の塔は、火気厳禁。乾燥した人だったモノの油分、それを食べた鳥の乾燥した糞は、思った以上に燃えやすいからだ。
シャンマオ達は、鳥葬できない御遺体を天葬する時の経験から…、乾燥させた御遺体と同じく、それ等も怖いくらい燃える事を皆が知っていて…、静電気や何かの自然発火にも気を配り、火気には神経質で、村の住人の消防活動には怒号が飛び交うのが当たり前だった……。なのに今回、その怒号すらも聞こえて来ない。静か過ぎる。村に異変があったであろう事は確実だった。
シャンマオは情報を得る為、手近な木に登り、木を渡り、村を見渡せる高い樹木の上へ登って村を見下ろす。都会育ちであろう豪華な制服を着用した警備兵達からシャンマオの姿を確認する事は出来ないだろうが…山育ちのシャンマオには、そこに存在する光景が余す事無く良く見える……。村人を紐で繋いだ警備兵の口の動きから推測するに、領主様の命令で動いている御様子だ。
(シーが危ないかもしれない。)
シャンマオは、体調の悪い双子の兄シーツーを人里離れた山中の保護区まで歩かせた父親の部下である神官の顔と、自分達の居場所を知るジエンの事を思い出し…、どちらかが口を滑らせる可能性を危惧して、枝を渡りながら木を降り、来た道を急いで引き返す……。
そして、保護区に戻った時には、紐で縛られたシーツーが馬車に積み込まれている所だった。シャンマオに気付いたシーツーは首を横に軽くゆっくり振り、その後、目と視線で『逃げろ』と合図する。
・・・この後、幸か不幸か私は…、シーツーを拉致した馬車を追い掛け、取り返そうとしていた為に、難を逃れ…、孤児とはなったが、一人、生き延びてしまった……。・・・
何の手段も無く、馬車を追うだけ追って…、追い付けなくて、馬車を見失って…、シャンマオは、まだ日の高い内に村へと戻る事になった……。その時には、朝、快晴だった空は、[沈黙の塔から昇った煙]に呼ばれ来た雨雲に覆い尽くされ、この地では珍しく雨を降らせていた。
乾燥の激しい山間部の辺境の地と言う立地の為に家は石造り…、燃える物が少なくて、村は殆ど焼かれずに残り…、雨の所為で積み上げられた首無し死体も、少し焦げている部分もあるが、殆ど焼かれずに、そのままその場に置かれている……。
シャンマオは暫く、その場に立ち尽くしていた。
その内に死体を前にしたシャンマオに対し、肉食の鳥達が「歌わないのか?」と声を掛けてきた。(これは、幻聴だろうか?)「雨で歌い辛いなら、傘になってやろうw」5歳のシャンマオより大きな鳥達が、大きな黒い翼でシャンマオを雨から護ってくれる。(ヤバイ…幻も見えてるかもしれない。)こうして歌を催促されたシャンマオは(まぁ~、夢でも幻覚でも、やるべき仕事は一緒か…)鳥達に促され、一族に伝わる鎮魂歌を歌い始めた。
歌を聞き付け、村に残っていたらしき兵士が、金品を物色する為の手を止め、シャンマオを捕獲しようと縄を持ってやって来る。その時も、鳥達はシャンマオを護ってくれた。
(何て、リアルにスプラッターな夢なんだろう…、目が覚めたらシーに話して見ようかな?いや、でもこれ…無駄に心配させる事になるか?黙っていた方が良いかも?)
生きたまま首無し死体と一緒に天葬される男達の悲鳴は、暫く山中に轟いていた。シャンマオは、鳥達総出の天葬が終わるまで歌い続け、鳥達に自宅へ送って貰って、その日は、何も考えず眠りに付く。
(あの出来事は、夢だったのだろうか?)翌朝、焼け焦げた沈黙の塔、家捜しされた後の少し焦げた家は存在したが…、雨で流されてしまったのか?何処かの誰かの死を意味する血の跡も、その死の痕跡すらも村には存在しなかった。
一つだけ確かな事は…、シャンマオが村に一人だけ取り残されてしまったと言う現実だけだったのだ……。
シーツーは苦笑いを浮かべ、少し寂しそうに「行っても良いけど…、浮気するなよ……。」と言って送り出す。シャンマオは普通に笑って「何だよそれw私の唯一無二は、シーツーだけだろ?ちゃんと帰ってくるから、今夜また、熱が上がらない様に体を休めておいてくれよww」と言って、保護区の山を村までの下山した。それから警備兵に遭遇しない様に注意しながら歩き出す。
後少しで山並みから村への目印となる沈黙の塔が見える位置まで来ると、何時も遠くから聞こえて来る筈の鳥の声が無く、妙に静まり返り、微かな木々の騒めきだけがシャンマオを迎えてくれた。妙に嫌な予感がして、村を見渡せる高い樹木のある場所まで走ると、その途中で、小高い丘の上にある二基一対の沈黙の塔から、噴火する火山の如くに煙が立ち昇っているのが見えた。
「は?何これ?!有り得ないんですけど!!」
沈黙の塔は、火気厳禁。乾燥した人だったモノの油分、それを食べた鳥の乾燥した糞は、思った以上に燃えやすいからだ。
シャンマオ達は、鳥葬できない御遺体を天葬する時の経験から…、乾燥させた御遺体と同じく、それ等も怖いくらい燃える事を皆が知っていて…、静電気や何かの自然発火にも気を配り、火気には神経質で、村の住人の消防活動には怒号が飛び交うのが当たり前だった……。なのに今回、その怒号すらも聞こえて来ない。静か過ぎる。村に異変があったであろう事は確実だった。
シャンマオは情報を得る為、手近な木に登り、木を渡り、村を見渡せる高い樹木の上へ登って村を見下ろす。都会育ちであろう豪華な制服を着用した警備兵達からシャンマオの姿を確認する事は出来ないだろうが…山育ちのシャンマオには、そこに存在する光景が余す事無く良く見える……。村人を紐で繋いだ警備兵の口の動きから推測するに、領主様の命令で動いている御様子だ。
(シーが危ないかもしれない。)
シャンマオは、体調の悪い双子の兄シーツーを人里離れた山中の保護区まで歩かせた父親の部下である神官の顔と、自分達の居場所を知るジエンの事を思い出し…、どちらかが口を滑らせる可能性を危惧して、枝を渡りながら木を降り、来た道を急いで引き返す……。
そして、保護区に戻った時には、紐で縛られたシーツーが馬車に積み込まれている所だった。シャンマオに気付いたシーツーは首を横に軽くゆっくり振り、その後、目と視線で『逃げろ』と合図する。
・・・この後、幸か不幸か私は…、シーツーを拉致した馬車を追い掛け、取り返そうとしていた為に、難を逃れ…、孤児とはなったが、一人、生き延びてしまった……。・・・
何の手段も無く、馬車を追うだけ追って…、追い付けなくて、馬車を見失って…、シャンマオは、まだ日の高い内に村へと戻る事になった……。その時には、朝、快晴だった空は、[沈黙の塔から昇った煙]に呼ばれ来た雨雲に覆い尽くされ、この地では珍しく雨を降らせていた。
乾燥の激しい山間部の辺境の地と言う立地の為に家は石造り…、燃える物が少なくて、村は殆ど焼かれずに残り…、雨の所為で積み上げられた首無し死体も、少し焦げている部分もあるが、殆ど焼かれずに、そのままその場に置かれている……。
シャンマオは暫く、その場に立ち尽くしていた。
その内に死体を前にしたシャンマオに対し、肉食の鳥達が「歌わないのか?」と声を掛けてきた。(これは、幻聴だろうか?)「雨で歌い辛いなら、傘になってやろうw」5歳のシャンマオより大きな鳥達が、大きな黒い翼でシャンマオを雨から護ってくれる。(ヤバイ…幻も見えてるかもしれない。)こうして歌を催促されたシャンマオは(まぁ~、夢でも幻覚でも、やるべき仕事は一緒か…)鳥達に促され、一族に伝わる鎮魂歌を歌い始めた。
歌を聞き付け、村に残っていたらしき兵士が、金品を物色する為の手を止め、シャンマオを捕獲しようと縄を持ってやって来る。その時も、鳥達はシャンマオを護ってくれた。
(何て、リアルにスプラッターな夢なんだろう…、目が覚めたらシーに話して見ようかな?いや、でもこれ…無駄に心配させる事になるか?黙っていた方が良いかも?)
生きたまま首無し死体と一緒に天葬される男達の悲鳴は、暫く山中に轟いていた。シャンマオは、鳥達総出の天葬が終わるまで歌い続け、鳥達に自宅へ送って貰って、その日は、何も考えず眠りに付く。
(あの出来事は、夢だったのだろうか?)翌朝、焼け焦げた沈黙の塔、家捜しされた後の少し焦げた家は存在したが…、雨で流されてしまったのか?何処かの誰かの死を意味する血の跡も、その死の痕跡すらも村には存在しなかった。
一つだけ確かな事は…、シャンマオが村に一人だけ取り残されてしまったと言う現実だけだったのだ……。
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