次期君主は山猫を飼い慣らしたいらしい

mitokami

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No02 次期君主は山猫を飼いたいらしい

005 花街の通い猫

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 村から消えた一族の者に再会する望みは早々に打ち砕かれた。鳥葬の禁止令と、鳥葬を生業としていた一族が全員処刑された事が告知されたからだ。
シャンマオは、あの日の出来事が本当にあった事なのか知る統べ無く…何も語らない、喋る事の無い…肉食の鳥達と、それなりに共存しながら生きている……。

・・・この後時世…、偉い人間に逆らったら一族皆殺しw求められた人間を差し出さなかったら、村でも何でも滅ぼされたって仕方が無いwwそれが、唯一の跡取りだって問答無用www結構、私が生きている世界は、思っていたより、殺伐とした世界だったみたいだ……。最初…、自分以外の人間が誰も居なくなった村で一人…、取り残されてしまった事に気付いた時は、本当にどうしたら良いのか分からなかったのだけど…、生活基盤さえ、しっかりしていれば、何とでも成るモノなんだなぁ~って…、何年かして、実感するに至った……。・・・

 村に存在する所有者のを失ったモノを上手に運用すれば…、この無法的な時代だと、5歳からでも自立した生活を送れるのだと知ったシャンマオは…、物は言いよう、何処どこかの誰かに雇われている振りして幼少期を生き抜き…、「知力は武器!」と勤勉に励み…、読める様になった文字と見知った器具、一族の秘伝書に書かれていた信者の為に存在していたローズウォーターの製造技術で、薬や香水を作り…、女だと面倒事に巻き込まれやすいので、『パルスィー』西方からの移民と同じく、目鼻立ちのハッキリした一族の顔立ちを利用し…[インドの幻術師やペルシア系の踊り子の子孫]の少年行商として幼少期を過ごす……。
そして、肉食の鳥が繁殖する廃村を一応の拠点にしながら、第二次性徴が始まった頃には、妓楼に出入りし、妓楼で行商として商売しながら、客として妓楼に金を落とす生活をしていた。

 因みに…、妓楼に物を売りに来た行商としてでなく、茶飲みスペースの一角をショバ代を払って貸し切り、売店的な事や質屋としても暗躍していた。
そこをも1つの拠点とし…、趣味を兼ね、色々な技術や知識を商品代金の一部として受け取り、順風満帆な生活を送っていたのだが…、しかし…、今回、その生活に終止符が打たれてしまう事となる……。

 昔、自分の体の成長に戸惑い。妓楼専属の人買い、女衒ぜげんの男との[勘違いと誤解の上に成り立った会話]から『女の事を知りたいなら、妓楼で教えて貰え』と紹介された先の…元芸妓げいぎ専門の妓女[妓楼の老板娘おかみ]の御陰で…、『山猫シャンマオ』一人になって約15年目……。無駄にピンチの時を迎えるのだった。

 事の起こりは、嫌でも毎月やって来る[月の物]の為に山の上の住処に戻れず、月の物が終わるまでの間、引退済みの楼主を買った客として妓楼に滞在していた3日目の出来事。
2日程、生理痛で大人しく、遠くに洗濯物が見える縁側で、西方技術のレース編みをしながら過ごし…、今日、楼主の部屋で風呂に入ってやっとある程度復活w洗濯を済ませて干し終え…毎度の事ながら暇を持て余し…、今日は縁側で、御茶挽き(客の予定の無い妓女)や、水揚げ前の娘、休日の禿かむろに[老板娘や妓楼の寵児から教わった技芸]の一部を披露し、コツを教えていた場に…厄介事の前衛部隊が乱入して来た……。

 それは、遠い昔に目にした事があるかもしれない豪華な制服を着用した兵士達。
入場料を払わず無遠慮ぶえんりょに妓楼の裏側にある洗濯場から入って来た彼等は、シャンマオの顔を見て息を呑み、「同じ西方の者と耳にしていたが婕妤しょうよ様に似ているぞ!」「ソックリだ!」「ちょっと女らしくすれば、弟の仔猫シャオマオに化けられるのでは?」と騒ぎ出し、職務を忘れ「その頭に巻いた布を取って見せてくれ」「その高い襟の服の首元を寛げて、胸元まではだけさせた所を見せて欲しい」「苦笑いするんじゃ無くて、優美に微笑む事は出来ないのか?」等と言って来た。兵士達を追い掛けてきた仕事当番の禿が、「老板娘おかみの紹介で[傷薬]を求めて来たのではないのですか!」と怒鳴られなければ、収拾が付かなくなっていたかもしれない。

(化けられる?弟って言ったのに女らしくすれば?然も、名前も似てんのかよ…)
宿泊中、薬師代理もしているシャンマオは怪訝そうな顔で「漢方の専門家では無いんだけどな…」と言いながら怪我の概要を確認し、薬師留守中の妓楼の薬棚から[阿膠・乾地黄・艾葉止血剤の材料]を分量通りに取り出し「これで後宮の薬師に止血剤を作って貰うと良い」と言って簡単に追い出した。の…だが…、この翌日…、薬を求めて来た筈の兵士達が領主の息子を伴い現れ、シャンマオを所望して来る事を…シャンマオ達は、まだ知らない……。
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