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No04 次期君主も飼ってるからには山猫に愛されたい

046 繋がらない思いと誤解の果てに

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 下町の出店街でシャンマオが語った決意表明の所為で、情緒不安定に陥ったジエン。シャンマオは、領主に一族を滅ぼされた者であるのに関わらず、その息子であるジエンを愛すると言える理由、シャンマオの志に根付く償いの意識に興味を示すジアンとゴン。シャンマオの兄を人違いで宦官にした負い目を持ち…、シャンマオの姉がした事を知り、何故、シャンマオがジエンに償うのかを理解できなくても知った上で…、あの時、自分もジエンの様に拒絶していれば…と憤りを感じるドウン……。彼等は、それぞれの住処に戻り、その日、眠れぬ夜を過ごした。

 その夜のシャンマオは(失敗したな…)と思いながらも、子供の様にシャンマオの所有権を主張し、求めて来るジエンを黙って抱き締める事で受け止めていた。でも、それだけでは足りず「如何すれば、完全に俺の物になる?」とジエンが言い「俺の子でも孕めば、その考えは変わるのか?」と、最後までする気になったジエンの夜伽の相手をシャンマオはさせられる事に成る。

 ジエンの[その言葉]に動揺を見せたシャンマオは組み敷かれたまま両手をジエンが着ていた服の下帯で拘束され「直接より、布越しの方が良い反応をするな…」と、何時もより強く強引に秘部を嬲られ…、声が枯れる程に鳴かされた後…、着ていた物を剥がれ、足を大きく広げられ、押さえ付けられ、濡れ小さく痙攣する入り口に押し込まれる異物感を感じて「今のジエンの相手をするのは嫌だ!」と身を捩り、下半身に力を入れ、それ以上の侵入を拒み、抵抗した末に力尽き…、シャンマオの意思関係なく、身体はジエンを受け入れた……。
一度受け入れた身体の方は、シャンマオの意思に反するかの様に、少し掠れた声で[痛い・嫌だ]と言いながらも、放さないかの様にジエンのモノを銜え込み、時に「駄目!止めて」と言いながら、搾り取る様にジエンのモノを飲み込んだ……。

 一連の出来事が終わった後、身体だけ満たされたジエンは、何を話し掛けても答えないシャンマオに憤り「俺以外の物になる事は許さないからな!」とシャンマオの左胸に、手近にあったナイフで大きく深く、自分の名を刻み込む。そして、ジエンは出血と痛みで意識を飛ばしたシャンマオと、刻んだ文字から流れ出る大量の血を見て正気に戻り、失血で青ざめたシャンマオより、ジエンは青い顔をして、後宮の医局へとシャンマオを担ぎ込んだ。

 そのシャンマオが一時的に意識を取り戻したのは翌日の夕方の事。ジエンの部屋に置かれていた果物の籠に添えられていたナイフに毒が塗られており…、ジエンがそれで、シャンマオの肌に自分の名を刻んだ事から…、傷から来る熱だけでは済まず、シャンマオは毒の為に少しばかり生死の淵を彷徨っていたらしい……。
その時、後宮の医局長であるジルイが意識の戻ったシャンマオに対し、怒りを露わに「これは、復讐かい?」と質問し「坊ちゃんを精神的に追い詰める為に起した結果がコレなら復讐は成功だ。」と告げ、シャンマオの話を聞かず「これ以上、ジエン坊ちゃんを傷付けないで欲しい。出来ないのならば、傷が癒え次第、後宮を出て、この地から去って貰えないか?君の荷物は出来るだけ纏めてある」と、シャンマオ愛用の背負って運べる薬棚を指した。
まだ意識が朦朧としていたシャンマオは、ジルイの[出て行って欲しい]と言う願いだけを汲み取り、認識して…、ジルイが呼び出しを受け、医局から離れたのを出て行く合図と思い……。包帯の上から晒を巻き、何時もの着慣れた服に着替え、怪我で背負う事の出来ない薬棚を残し、一振りの剣と旅費だけ持って後宮から出て行く事にした。

 そして、ジルイが領主の元に呼び出されジエンと話し…、事前に耳にしたジエンが跡継ぎを辞退したい…その理由を知り、シャンマオに対する誤解を口にしたジルイは…、領主の側に使えていた仔猫、シャンマオの兄から[シャンマオにとって、ジエンに復讐する理由が無い事]を教えられ…、何を誤解していたか?と、自分の失態に気付いたジルイが急いで医局に戻った時には…、シャンマオが今、何処に居るのかが分からなくなっていた……。

 嫌な予感がして、ジルイと一緒にシャンマオが居る筈の後宮にある医局へ向かったジエンとシャンマオの兄は、シャンマオが居なくなった事で半狂乱に成り、2人でジルイを責める。
責められたジルイは深呼吸し冷静に考え「解毒も不完全、失血と深さのある傷、食事も丸一日取っていない状況で、そう遠くには行ける筈が無いのだけど…」と言う。ジエンとシャンマオの兄は、ジルイの言葉を考慮し…、シャンマオの死を思い浮かべてしまいながら…、ジエンは軍部へ…シャンマオの兄は領主へ助けを求めたが…、夜陰に紛れ何処かへ行ってしまったシャンマオの…この夜の消息は掴めなかった……。
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