いつもえっちな目に遭う俺を魔法少女♂が助けに来てくれたと思ったら……

多崎リクト

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第七話「魔法少女、キレる」①

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 今までクルトやそのペットたちに酷い目に遭わされてきたが、冷静に考えるとスドーにもだいぶ酷い目に遭わされている気がする。
 だけど、どうしてもあの時スドーの漏らした言葉が気になった。好き、と。たしかに言ったのだ。酔った耕平の聞き間違いでなければ、だけど。


 第七話「魔法少女、キレる」


「あれ、ここ……」

 ぼんやりと考え事をしながら歩いていたからか、いつの間にか迷子になっていたらしい。まだ昼間だというのに真っ暗な世界には見覚えがあるが、クルトやそのペットたちは見当たらない。
 いつもクルトに連れてこられて、気がつけば元の世界に戻っているので、戻り方がわからない。

 きっとそのうちクルトが現れるだろうし、そうでなければスドーが助けに来てくれるだろうけど、その前に出口を見つけられないだろうか。そう思い、歩き出し――とんでもないものを見つけた。


「はなして!はなしてよ!」

 緑色の蔦が一人の女性に巻きついている。ただ巻きついているだけではなく、衣服の隙間から女性の肌に触れようとしている。
 止めなければ。女性に駆け寄ろうとすると、その傍らに銀髪の男が立っていることに気づく。

「……結界の中に異物が入り込んだか」

 男がそう呟くと、緑の蔦がそれに反応する。

「――ぐっ!」

 手首ほどの太さがある蔦に腹を殴られた。込み上げてきた胃液を何とか飲み込むが、立っていられずにうずくまる。

「私は男が嫌いなんだ」

 ハッキリと向けられる敵意。
 ……もしも、自分がここで殺されたらどうなるのだろう。あの女性はきっと恥ずかしい目に遭わされて、それをスドーに助けられて。

 スドーは耕平の死を悲しむだろうか。あの女性を助けたらその後に耕平にしていたようなことをするのだろうか。耕平のことを好きと言っていたくせに。
 魔法少女の役目は、困っている人を助けることで。世界を守るためで。スドーは耕平だけを守るために存在しているわけじゃない。あの女性も助けられるべきだし、もしも他にも襲われている人がいるなら助けられるべきだ。

「スドー……」

 だというのに、スドーの名前を呼んでしまった。
 助かりたかったし、彼女を蔦に酷い目に遭わされる前に助けてやりたかった。
 スドーはどちらを助けてくれるのだろうか。怖くて、それを確かめたくなくて、だったらこのまま助けに来てくれなくてもいいと思ってしまった。



「アイスクリーム・トルネード!」

 白い物体が飛んできて、蔦に命中する。それだけのことで蔦は女性から離れていった。

「スドー……」
「耕平、大丈夫?」
「ああ」

 助けに来てくれた。それなのに、はたしてスドーは自分とあの女性のどちらを助けに来たのだろう。そんなくだらないことを考えてしまう。
 スドーは耕平に背を向けると、謎の男を睨みつけた。

「……俺の耕平を傷つけるやつは、殺す」

 可愛らしい少女のような姿からは想像できない、地を這うような低い声。
 どうしてスドーがそんなに怒っているのか、耕平にはわからなかった。
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