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24、贔屓ぐらいしますわ。悪役令嬢ですもの。
しおりを挟む女生徒Aは小柄で小動物のようだ。私の庇護欲が否応なく刺激される。
これは……私がどんな手を使ってでも守らねばならない!
「彼女~とっても詩が好きなんです~だから~朗読会に出てほしくて~でも~レイシール様が~やめろって言うんです~」
うっとうしい喋り方だな、おい。いや、でも、いるよな。こういう喋り方する女子。句読点を使えっつーの。
「見たところ、彼女は明らかに嫌がっているようでした。詩が好きだからと言って、人前で詩を読みたいと望むわけではありませんわ」
私はきっぱりと言い放った。
「そんなぁ!彼女は恥ずかしがっているだけですよぉ~だから勇気を出してほしくて~」
「彼女の勇気をなんのために使うかは彼女自身が決めること。貴女が口を出すべきではありませんわ」
やりたくもない朗読のために心身に負担をかけてまで無理をする必要はないだろう。
「そんな言い方ひどいです~学園の行事なんだから、みんなで参加するべきですよ~」
絶妙にイラッとするな。出番を乗っ取る気満々のくせに、よくもそんな心にもないことを言えるもんだ。
「確かに、みんなで楽しく参加するべきだよな」
ニチカの寝言に、真っ先に同意したのはガウェイン・オッサカーだった。
よし、お前は敵だ。
「詩が好きな令嬢ならば、朗読会にふさわしいでしょう」
お前もか、ナディアス・ナワーキオ。
そっちがその気なら、アルベルトともども叩きのめしてあげよう。
「お二方は、去年の朗読会を設定なさったのですよね?」
「ああ」
「もちろんです」
「なるほど」
私は満面の笑顔でこう言った。
「では、去年の朗読会は「詩の好きな生徒だけに負担を押しつけた上に詩に興味のない生徒は何一つ楽しくない苦痛の時間」だったのでしょうね」
オッサカーとナワーキオの顔が凍りついた。
私は笑顔のままさらに続ける。
「お二方のおかげで、今年は朗読に立候補してくれる生徒がいなくて難儀しておりますわ。でも、私とティアナとルイスでなんとか「皆様が楽しめる朗読会」に出来るように頑張っておりますの。「とりあえず詩の好きそうな生徒を登録だけ」して「ただ詩を読ませるだけ」だったお二方から見れば無駄な努力をしているようで歯がゆいかもしれませんが、私達は「より良い学園になるよう努力している」最中ですので、どうぞ何も言わずに見守っていただきたいですわ」
オッサカーとナワーキオの二人に向けて言っているが、これは一年生時に監督生を経験した者すべてに言えることである。
つまり、アルベルトに向けても言っているのだ。
あ、お兄様とジェンスには後でちょっとフォロー入れておこう。
贔屓?上等。だって、お兄様とジェンスは攻略対象じゃないもーん。
「では、私は朗読会のことで忙しいのでこれで失礼しますわ」
私はさりげなく女生徒Aの背中を押して彼らの前から辞した。
けっけっけ。言ってやったぜ。ド正論を。ちょっとはスッキリしたな。
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