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第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ
国債を発行しよう(その2)
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(9) 国債を発行しよう <続き>
調査の結果、分かったことが一つある。
犯人がいない・・・。
仕方ないので調査を中止するしかない。
これで事件は終了だ。
独断で調査を打ち切るのはどうかと思ったので、俺は内部調査部の他のメンバーの意見も聞くことにした。
メンバーを会議室に招集して俺は言った。
「調査の結果、劣後社債の利払遅延は偶然発生したものだ。犯人はいない。そして、劣後社債の利息支払いの遅延によって、パニック売りが発生した。これが事実だ。」
「そうね。犯人がいなかったね。」とルイーズが言った。
「だから、この件はこれで終わりにしようか?」と俺はメンバーに聞いた。
「ちょっと待って下さい。今は投資家のパニックは収まっていますけど、いつ取付け騒ぎが再燃するか分かりません。このままにするんですか?」とポールが言った。
「だって、今回は事件じゃないからね。内部調査部の調査対象じゃない。」
「そうですけど・・・」
「じゃあ、もし取り付け騒ぎが起きたら、具体的に問題になることがある?」と俺はメンバーに聞いた。
「そうですねー。証券会社と運用会社の評判が悪くなりますね。」とミゲルが言った。
「そうだね。でも、劣後社債を発行して販売したから仕方ないじゃない。他にもある?」
「劣後社債の保有者の数が多いから、マスコミが騒ぎ立てます。ワイドショーの恰好のネタですから。社債保有者へのインタビューがテレビで放映されて、『退職金を運用しようと思って劣後社債を買ったのに・・・。これからどうやって生きていけばいいのですか?』みたいな映像が流れると視聴率は稼げそうです。」とロイ。
「確かに、高齢者が多いからマスコミが好きそうなネタだ。報道規制でも内務省に依頼した方がいいか。他は?」と俺は言った。
「借金しているIFAが破産する。可哀そうじゃない?」とルイーズ。
「可哀そうだと思うよ。でも俺たちにはどうにもできない。他には?」
「劣後社債に問題が発生することで、普通社債に投資している機関投資家にも、悪影響はありそうです。」とポール。
「普通社債は償還されるから損失はない。それは大した問題じゃないと思うよ。他には?」
「住宅ローン債権が外部に売却されると、金融マーケットで吸収しきれない可能性があります。そうすると、市場金利が上がります。」とスミス。
「劣後社債の残高が1,000億JD、普通社債は2,500億JDだから、確かにインパクトは大きい。仮に3,500億JDの住宅ローン債権が売却されたら、金融市場が大混乱する可能性はある。これは何とか対策を立てた方がいいか。」と俺は言った。
「そう思います。犯人がいないから調査しなくてもいいとはいえ、放置するとジャービス王国の金融マーケットがクラッシュしかねません。」とスミスは言った。
「そうだよなぁ・・・。このまま放置するのは良くない。でも金融市場は内務省の管轄だから、内部調査部が対応する問題じゃないと思うんだけど。」
「内務省?チャールズが真面目に対応すると思う?」とルイーズが言った。
「だよな。あいつ、絶対に責任逃れしてくるよな。」
「チャールズが責任を押し付けるのは?」
「途中まで関わった俺たち、だろうな。」
「私たちも対応策を考えておいた方が良くない?」とルイーズは俺に言った。
「確かに・・・。どういう対策が有効だと思う?」と俺は改めてメンバーに聞いた。
「運用会社にファンドが保有する資産の一部売却を依頼して、一部の社債を早期償還してもらうのはどうでしょう?」とポールが言った。
「ファンドが資産を売却するときには、運用会社は新しく売却資産を購入するファンドを組成しないといけないよね。劣後社債の利払いが遅延している状況で、劣後社債を購入してくれる個人投資家がいると思う?」と俺はポールに聞いた。
「以前よりは少ないかもしれません。でも、購入する投資家は探せると思います。フォーレンダム証券の販売網だけでは不安だったら、ホラント証券にも販売を依頼すればいいんじゃないでしょうか。」
「フォーレンダム証券とホラント証券が劣後社債を販売してくれれば、完売できるかもしれないね。でも、またIFAが劣後社債の買取請求をしてきたらどうする?ホラント証券が販売した顧客の利払いがストップするかもしれないよ。ホラント証券は自社の顧客に劣後社債を販売するのは嫌がらないかな?」と俺はポールに聞いた。
「IFAの動きが読めないのか・・・。確かに、買取請求をコントロールできないから、僕だったら自社の顧客に販売したくないですね。」
「だよね。でも、ホラント証券にも劣後社債の販売を委託するのはいい考えだと思う。」と俺はポールに言った。
<続く>
調査の結果、分かったことが一つある。
犯人がいない・・・。
仕方ないので調査を中止するしかない。
これで事件は終了だ。
独断で調査を打ち切るのはどうかと思ったので、俺は内部調査部の他のメンバーの意見も聞くことにした。
メンバーを会議室に招集して俺は言った。
「調査の結果、劣後社債の利払遅延は偶然発生したものだ。犯人はいない。そして、劣後社債の利息支払いの遅延によって、パニック売りが発生した。これが事実だ。」
「そうね。犯人がいなかったね。」とルイーズが言った。
「だから、この件はこれで終わりにしようか?」と俺はメンバーに聞いた。
「ちょっと待って下さい。今は投資家のパニックは収まっていますけど、いつ取付け騒ぎが再燃するか分かりません。このままにするんですか?」とポールが言った。
「だって、今回は事件じゃないからね。内部調査部の調査対象じゃない。」
「そうですけど・・・」
「じゃあ、もし取り付け騒ぎが起きたら、具体的に問題になることがある?」と俺はメンバーに聞いた。
「そうですねー。証券会社と運用会社の評判が悪くなりますね。」とミゲルが言った。
「そうだね。でも、劣後社債を発行して販売したから仕方ないじゃない。他にもある?」
「劣後社債の保有者の数が多いから、マスコミが騒ぎ立てます。ワイドショーの恰好のネタですから。社債保有者へのインタビューがテレビで放映されて、『退職金を運用しようと思って劣後社債を買ったのに・・・。これからどうやって生きていけばいいのですか?』みたいな映像が流れると視聴率は稼げそうです。」とロイ。
「確かに、高齢者が多いからマスコミが好きそうなネタだ。報道規制でも内務省に依頼した方がいいか。他は?」と俺は言った。
「借金しているIFAが破産する。可哀そうじゃない?」とルイーズ。
「可哀そうだと思うよ。でも俺たちにはどうにもできない。他には?」
「劣後社債に問題が発生することで、普通社債に投資している機関投資家にも、悪影響はありそうです。」とポール。
「普通社債は償還されるから損失はない。それは大した問題じゃないと思うよ。他には?」
「住宅ローン債権が外部に売却されると、金融マーケットで吸収しきれない可能性があります。そうすると、市場金利が上がります。」とスミス。
「劣後社債の残高が1,000億JD、普通社債は2,500億JDだから、確かにインパクトは大きい。仮に3,500億JDの住宅ローン債権が売却されたら、金融市場が大混乱する可能性はある。これは何とか対策を立てた方がいいか。」と俺は言った。
「そう思います。犯人がいないから調査しなくてもいいとはいえ、放置するとジャービス王国の金融マーケットがクラッシュしかねません。」とスミスは言った。
「そうだよなぁ・・・。このまま放置するのは良くない。でも金融市場は内務省の管轄だから、内部調査部が対応する問題じゃないと思うんだけど。」
「内務省?チャールズが真面目に対応すると思う?」とルイーズが言った。
「だよな。あいつ、絶対に責任逃れしてくるよな。」
「チャールズが責任を押し付けるのは?」
「途中まで関わった俺たち、だろうな。」
「私たちも対応策を考えておいた方が良くない?」とルイーズは俺に言った。
「確かに・・・。どういう対策が有効だと思う?」と俺は改めてメンバーに聞いた。
「運用会社にファンドが保有する資産の一部売却を依頼して、一部の社債を早期償還してもらうのはどうでしょう?」とポールが言った。
「ファンドが資産を売却するときには、運用会社は新しく売却資産を購入するファンドを組成しないといけないよね。劣後社債の利払いが遅延している状況で、劣後社債を購入してくれる個人投資家がいると思う?」と俺はポールに聞いた。
「以前よりは少ないかもしれません。でも、購入する投資家は探せると思います。フォーレンダム証券の販売網だけでは不安だったら、ホラント証券にも販売を依頼すればいいんじゃないでしょうか。」
「フォーレンダム証券とホラント証券が劣後社債を販売してくれれば、完売できるかもしれないね。でも、またIFAが劣後社債の買取請求をしてきたらどうする?ホラント証券が販売した顧客の利払いがストップするかもしれないよ。ホラント証券は自社の顧客に劣後社債を販売するのは嫌がらないかな?」と俺はポールに聞いた。
「IFAの動きが読めないのか・・・。確かに、買取請求をコントロールできないから、僕だったら自社の顧客に販売したくないですね。」
「だよね。でも、ホラント証券にも劣後社債の販売を委託するのはいい考えだと思う。」と俺はポールに言った。
<続く>
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