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第3回活動報告:投資詐欺から高齢者を守れ
国債を発行しよう(その3)
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(9) 国債を発行しよう <続き>
「それと、トルネアセットマネジメント(運用会社)のメインの顧客は機関投資家です。普通社債を早期償還して機関投資家に迷惑を掛けるのは避けたいはずです。」とスミスが続けて言った。
「トルネアセットマネジメントは早期償還したくないよね。」と俺はスミスに返した。
「例えば、IFAが保有している社債を、ホラント証券の顧客に再販してもらうのはどうですか?ディスカウントして販売すれば、購入する個人投資家はいるんじゃないでしょうか?」と今度はミゲルが言った。
「いいアイデアだ。でも、劣後社債を再販する前に、利払いが遅延している状況を解決する必要があるよね。」と俺はミゲルに言った。
「そうだとしたら、一時的に劣後社債を買取るしかない。劣後社債の利払いを復活させるためには、IFAの買取請求を減らさないといけないから。」とルイーズが言った。
「でも、誰が買取るの?」と俺はルイーズに聞く。
「証券会社は?」とルイーズが言った。
「証券会社は難しいと思います。自己資本比率規制がありますから。投資適格の社債であれば引取るかもしれません。でも、外部格付のない劣後社債は自己資本比率が大きく低下するから引取ってくれないと思います。」とポールが言った。
「じゃあ、運用会社は?」とルイーズが別の候補を出した。
「既にファンドの出資金を出しているから難しいでしょう。契約上も買取る必要がありません。」とスミスが言った。
「それなら、うちで買取ったら?銅のときと同じように。」とルイーズは言った。
「私もそう思います。一時的に買取るだけなら、問題ないのではないでしょうか?」とミゲルが言う。
「他社に買取り依頼しても意思決定に時間が掛かります。劣後社債の買取りを急ぐのであれば、私もうちで買取る方がいいと思います。」とスミスは同意する。
「僕もそう思います。」とポールも言った。
面倒なことに、内部調査部のメンバーの意見は一致した。
内部調査部で買い取ればいいと思っている。
銅取引の時は儲かったし、今回も劣後社債を買取ればいいと思っているのだ。
確かに、劣後社債を買取れば儲かるだろう。
でも、買取資金を確保するためには、また俺が国王や兄たちに頭を下げないといけない。
俺が嫌がる理由はそこだ。
でも、この状況で俺には『嫌だ。やりたくない。』と言う勇気はない。
儲かりそうだし、メンバーがやる気になっているから、俺は仕方なく劣後社債を買取る方向で進めることにした。
「分かった。みんながそこまで言うなら、劣後社債の利払いができるところまで、一時的に買取ろう。ただ、事前準備が必要だ。」と俺は言った。
「具体的にどうすればいいですか?」とポールが聞いてきた。
「まず、買取価格は額面の70%にしようと思う。70%より低いとIFAは運用会社に買取請求する。一方で、運用会社よりも高く買う必要はない。」
「そうですね。」とポールは言った。
「次に、ファンドが買取りできる劣後社債を俺たちが買う必要はない。不必要な劣後社債の購入を避けるために、劣後社債の利息支払いをするのに必要な買取り対象を、運用会社から定期的に連絡してもらおう。」
「運用会社との連携は必要ね。」とルイーズが言った。
「それじゃあ、スミスとロイに運用会社への説明と情報連携の依頼をお願いしたい。2人はこれからトルネアセットマネジメントを訪問して、説明してきてくれないかな?」
「分かりました。」とスミスが言った。
「俺たちが買取った劣後社債を直ぐに転売すると、個人投資家が混乱すると思う。だから、混乱を避けるために、1年間は保有した後、少しずつ投資家に売却していきたい。
個人投資家への売却は、フォーレンダム証券を利用したいと思う。フォーレンダム証券のIFAが額面で劣後社債を販売しているから、売却先は気を付ける必要があるだろう。今後の劣後社債の販売やIFAとの関係もあるから、フォーレンダム証券と事前に打ち合わせをしておいてほしい。これは、ミゲルとポールにお願いしたい。いいかな?」
「分かりました。」とミゲルは答えた。
「ルイーズとガブリエルには、IFAの3人に会って事情を説明してほしい。いいかな?」
「いいわよ。」とルイーズは答えた。
「3人には、うちでIFAから劣後社債を70%で買取るつもりであることを伝えて、買取取引をスムーズに進められるように協力を依頼してほしい。
今回の劣後社債の買取りは、個人投資家のパニック売りを防ぐためだから、俺たちが劣後社債を購入していることを、IFAが広めてくれれば直ぐに収まるだろう。」
「分かった。」とルイーズが言った。
「あとは俺か。劣後社債の購入資金を確保するために、内務省に行ってくる。100億JDもあれば充分だと思うけど、チャールズに頼むのは気が重いな・・・。」
方針が固まったので、俺たちは各自に課せられた任務に向かった。
毎度のことだが、今回も内部調査部の業務とは関係のない任務だ・・・。
<続く>
「それと、トルネアセットマネジメント(運用会社)のメインの顧客は機関投資家です。普通社債を早期償還して機関投資家に迷惑を掛けるのは避けたいはずです。」とスミスが続けて言った。
「トルネアセットマネジメントは早期償還したくないよね。」と俺はスミスに返した。
「例えば、IFAが保有している社債を、ホラント証券の顧客に再販してもらうのはどうですか?ディスカウントして販売すれば、購入する個人投資家はいるんじゃないでしょうか?」と今度はミゲルが言った。
「いいアイデアだ。でも、劣後社債を再販する前に、利払いが遅延している状況を解決する必要があるよね。」と俺はミゲルに言った。
「そうだとしたら、一時的に劣後社債を買取るしかない。劣後社債の利払いを復活させるためには、IFAの買取請求を減らさないといけないから。」とルイーズが言った。
「でも、誰が買取るの?」と俺はルイーズに聞く。
「証券会社は?」とルイーズが言った。
「証券会社は難しいと思います。自己資本比率規制がありますから。投資適格の社債であれば引取るかもしれません。でも、外部格付のない劣後社債は自己資本比率が大きく低下するから引取ってくれないと思います。」とポールが言った。
「じゃあ、運用会社は?」とルイーズが別の候補を出した。
「既にファンドの出資金を出しているから難しいでしょう。契約上も買取る必要がありません。」とスミスが言った。
「それなら、うちで買取ったら?銅のときと同じように。」とルイーズは言った。
「私もそう思います。一時的に買取るだけなら、問題ないのではないでしょうか?」とミゲルが言う。
「他社に買取り依頼しても意思決定に時間が掛かります。劣後社債の買取りを急ぐのであれば、私もうちで買取る方がいいと思います。」とスミスは同意する。
「僕もそう思います。」とポールも言った。
面倒なことに、内部調査部のメンバーの意見は一致した。
内部調査部で買い取ればいいと思っている。
銅取引の時は儲かったし、今回も劣後社債を買取ればいいと思っているのだ。
確かに、劣後社債を買取れば儲かるだろう。
でも、買取資金を確保するためには、また俺が国王や兄たちに頭を下げないといけない。
俺が嫌がる理由はそこだ。
でも、この状況で俺には『嫌だ。やりたくない。』と言う勇気はない。
儲かりそうだし、メンバーがやる気になっているから、俺は仕方なく劣後社債を買取る方向で進めることにした。
「分かった。みんながそこまで言うなら、劣後社債の利払いができるところまで、一時的に買取ろう。ただ、事前準備が必要だ。」と俺は言った。
「具体的にどうすればいいですか?」とポールが聞いてきた。
「まず、買取価格は額面の70%にしようと思う。70%より低いとIFAは運用会社に買取請求する。一方で、運用会社よりも高く買う必要はない。」
「そうですね。」とポールは言った。
「次に、ファンドが買取りできる劣後社債を俺たちが買う必要はない。不必要な劣後社債の購入を避けるために、劣後社債の利息支払いをするのに必要な買取り対象を、運用会社から定期的に連絡してもらおう。」
「運用会社との連携は必要ね。」とルイーズが言った。
「それじゃあ、スミスとロイに運用会社への説明と情報連携の依頼をお願いしたい。2人はこれからトルネアセットマネジメントを訪問して、説明してきてくれないかな?」
「分かりました。」とスミスが言った。
「俺たちが買取った劣後社債を直ぐに転売すると、個人投資家が混乱すると思う。だから、混乱を避けるために、1年間は保有した後、少しずつ投資家に売却していきたい。
個人投資家への売却は、フォーレンダム証券を利用したいと思う。フォーレンダム証券のIFAが額面で劣後社債を販売しているから、売却先は気を付ける必要があるだろう。今後の劣後社債の販売やIFAとの関係もあるから、フォーレンダム証券と事前に打ち合わせをしておいてほしい。これは、ミゲルとポールにお願いしたい。いいかな?」
「分かりました。」とミゲルは答えた。
「ルイーズとガブリエルには、IFAの3人に会って事情を説明してほしい。いいかな?」
「いいわよ。」とルイーズは答えた。
「3人には、うちでIFAから劣後社債を70%で買取るつもりであることを伝えて、買取取引をスムーズに進められるように協力を依頼してほしい。
今回の劣後社債の買取りは、個人投資家のパニック売りを防ぐためだから、俺たちが劣後社債を購入していることを、IFAが広めてくれれば直ぐに収まるだろう。」
「分かった。」とルイーズが言った。
「あとは俺か。劣後社債の購入資金を確保するために、内務省に行ってくる。100億JDもあれば充分だと思うけど、チャールズに頼むのは気が重いな・・・。」
方針が固まったので、俺たちは各自に課せられた任務に向かった。
毎度のことだが、今回も内部調査部の業務とは関係のない任務だ・・・。
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