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第6回活動報告:ハゲタカファンドと戦え
持ち込み企画(その1)
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俺の名前はダニエル。ジャービス王国という小さな国の第4王子だ。
俺はジャービス王国で起こった事件を解決するために、探偵をしている。本当は内部調査部の部長なのだが、探偵の方がやる気が出るから、そういう設定にしている。
(1)持ち込み企画
その日は朝から内部調査部で会議があったので、俺は総務省に出勤するとそのまま内部調査部に直行した。
俺が内部調査部の部屋に入ると、ポールが「少しお時間ありますか?」と話しかけてきた。
この言い方は、嫌な予感しかしない。
ひょっとして転職を考えているのだろうか?
内部調査部の業務もやっと軌道に乗ってきたところなのに・・・。
もしそうだったら、引き留めるべきだろうか?
それとも、本人の意志を尊重すべきだろうか?
俺が女子からの告白を待つ男子のようにドキドキしながら内部調査部の小さな打合せスペースに座ると、ポールは姿勢を正して言った。
「部長はルイーズと付き合っているんですか?」
「は?」
転職の話だと思っていた俺には、ポールが言っている意味が分からない。
「だから、部長とルイーズは恋人なんですか?」
どうやら退職の話ではなさそうだ。
周りを見渡すと、内部調査部のメンバーが息を潜めて聞いている。
部屋にルイーズがまだ来ていないから、このタイミングなのだろう。
よく考えれば、退職の話をこんな場所でするわけがない。
賭け事に負けて『代表して聞いてこい!』ということになったのだろう。
いわゆる罰ゲームだ。きっと。
「別に付き合ってないよ。どうして?」と俺はポールに聞いた。
「いえ。聞いてほしいと頼まれたんです。ちなみに、誰か付き合っている人はいますか?」
「今はいないけど、なんで?」
強がって『今は』と言ってしまったが、正確には『ここ10年くらいずっと』だ。
嘘を付いたわけじゃないから、許してほしい。
「聞いてくれと頼まれたんです。じゃあ、どういう人が好きですか?」
なんだ?この中2のような質問は?
この展開は延々と質問され続けて、性癖まで晒すことになりかねない。
どこかで終わらせなければ。
「難しいな・・・。価値観が合う、バランスが取れた普通の人がいい。ポールは?」
俺はポールの質問が終わらない可能性を考慮して、逆質問作戦に切り替えた。
「僕ですか?うーん、この年になって聞かれると難しいですね。」
「そうだろ。答えるのが難しいだろう。中学生には即答できても、大人には難しい質問だ。そういえば、今日は内部調査部の案件持ち込み会議だったよね。みんな考えてきた?」と俺は強引に話題を変えた。
「もちろんです。」とミゲルが言った。
うまくミゲルが入ってきてくれたから、この話題はこれで終了だ。
「どんな案件?」と俺がミゲルに聞いたタイミングで、「もう始まってる?」と言ってルイーズが部屋に入ってきた。
「まだだよ。ミゲルから提案があるみたいだから、聞こうとしていたところだ。」と俺は答えた。
「そう。じゃあ、ミゲルから始めてもらうとして・・・。案件持ち込み会議を始める前に、これを1つずつ持ってほしい。」ルイーズはそう言って、プレートを内部調査部のメンバー全員に手渡した。
○と×が書いてある、クイズ番組に出てくるあれだ。
使い方の説明はないが、提案に賛成の場合は○、反対の場合は×を挙げろということだろう。
そもそも、内部調査部で今回持ち込み企画を開催することになったのは、企業内での不正はその企業で発見して処理しようという動きが出てきたからだ。
俺たちが不正融資の件を調査したときに、銀行内部で『なぜ先に発見できなかったのだ?』という意見が出た。部外者である内部調査部に不正を発見されるなんて、銀行の恥以外の何でもない。
この懸念(内部調査部に先に不正を発見されてしまうこと)は他の業界にも広がっていき、『内部調査部に不正を発見される前に、社内で不正を発見しよう!』という動きが活発化している。中には、内部告発ホットラインの賞金10万JDよりも高い賞金を出す会社も現れた。
この動きが加速すると、内部告発ホットラインへの相談案件が減るかもしれないから、自分たちで調査対象を持ち寄ろうということになった。
メンバー全員に〇×プレートが行き渡ったところで、案件持ち込み会議が開始した。
<続く>
俺はジャービス王国で起こった事件を解決するために、探偵をしている。本当は内部調査部の部長なのだが、探偵の方がやる気が出るから、そういう設定にしている。
(1)持ち込み企画
その日は朝から内部調査部で会議があったので、俺は総務省に出勤するとそのまま内部調査部に直行した。
俺が内部調査部の部屋に入ると、ポールが「少しお時間ありますか?」と話しかけてきた。
この言い方は、嫌な予感しかしない。
ひょっとして転職を考えているのだろうか?
内部調査部の業務もやっと軌道に乗ってきたところなのに・・・。
もしそうだったら、引き留めるべきだろうか?
それとも、本人の意志を尊重すべきだろうか?
俺が女子からの告白を待つ男子のようにドキドキしながら内部調査部の小さな打合せスペースに座ると、ポールは姿勢を正して言った。
「部長はルイーズと付き合っているんですか?」
「は?」
転職の話だと思っていた俺には、ポールが言っている意味が分からない。
「だから、部長とルイーズは恋人なんですか?」
どうやら退職の話ではなさそうだ。
周りを見渡すと、内部調査部のメンバーが息を潜めて聞いている。
部屋にルイーズがまだ来ていないから、このタイミングなのだろう。
よく考えれば、退職の話をこんな場所でするわけがない。
賭け事に負けて『代表して聞いてこい!』ということになったのだろう。
いわゆる罰ゲームだ。きっと。
「別に付き合ってないよ。どうして?」と俺はポールに聞いた。
「いえ。聞いてほしいと頼まれたんです。ちなみに、誰か付き合っている人はいますか?」
「今はいないけど、なんで?」
強がって『今は』と言ってしまったが、正確には『ここ10年くらいずっと』だ。
嘘を付いたわけじゃないから、許してほしい。
「聞いてくれと頼まれたんです。じゃあ、どういう人が好きですか?」
なんだ?この中2のような質問は?
この展開は延々と質問され続けて、性癖まで晒すことになりかねない。
どこかで終わらせなければ。
「難しいな・・・。価値観が合う、バランスが取れた普通の人がいい。ポールは?」
俺はポールの質問が終わらない可能性を考慮して、逆質問作戦に切り替えた。
「僕ですか?うーん、この年になって聞かれると難しいですね。」
「そうだろ。答えるのが難しいだろう。中学生には即答できても、大人には難しい質問だ。そういえば、今日は内部調査部の案件持ち込み会議だったよね。みんな考えてきた?」と俺は強引に話題を変えた。
「もちろんです。」とミゲルが言った。
うまくミゲルが入ってきてくれたから、この話題はこれで終了だ。
「どんな案件?」と俺がミゲルに聞いたタイミングで、「もう始まってる?」と言ってルイーズが部屋に入ってきた。
「まだだよ。ミゲルから提案があるみたいだから、聞こうとしていたところだ。」と俺は答えた。
「そう。じゃあ、ミゲルから始めてもらうとして・・・。案件持ち込み会議を始める前に、これを1つずつ持ってほしい。」ルイーズはそう言って、プレートを内部調査部のメンバー全員に手渡した。
○と×が書いてある、クイズ番組に出てくるあれだ。
使い方の説明はないが、提案に賛成の場合は○、反対の場合は×を挙げろということだろう。
そもそも、内部調査部で今回持ち込み企画を開催することになったのは、企業内での不正はその企業で発見して処理しようという動きが出てきたからだ。
俺たちが不正融資の件を調査したときに、銀行内部で『なぜ先に発見できなかったのだ?』という意見が出た。部外者である内部調査部に不正を発見されるなんて、銀行の恥以外の何でもない。
この懸念(内部調査部に先に不正を発見されてしまうこと)は他の業界にも広がっていき、『内部調査部に不正を発見される前に、社内で不正を発見しよう!』という動きが活発化している。中には、内部告発ホットラインの賞金10万JDよりも高い賞金を出す会社も現れた。
この動きが加速すると、内部告発ホットラインへの相談案件が減るかもしれないから、自分たちで調査対象を持ち寄ろうということになった。
メンバー全員に〇×プレートが行き渡ったところで、案件持ち込み会議が開始した。
<続く>
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