新創生戦記「休学ニートのチートでハーレムな異世界ファンタジー」

川嶋マサヒロ

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第二話「強襲、三本の剣」

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 シンジの蹴りで扉は蝶番から外れ、大きな音をたて部屋の中に吹き飛ぶ。シンジは左手を剣の鞘に掛け大股で中へと進んだ。
 部屋の中に居る、ざっと二十人ほどの男たちがシンジに視線を向ける。部屋の右隅に何人かの少女がうずくまっていた。さらわれた人のようだ。

「おいっ、ガキッ、ここを何処だと……」

 凄みながら近づいて来る男を、シンジは右手で剣を下から上に抜き振るい切り捨てた。男は絶命し、外れた扉の上に倒れ込む。

「てっ、てめえ!」

「何を?!」

「ふざけんなっ、こら、ぶっ殺してやる」

 他の男たちが一斉に剣を抜く。シンジは冷めた視線を動かし、人数と配置を頭に入れながら呟いた。

「ごちゃ、ごちゃ言ってないで、かかって来いよ……」

 同時に切りかかってくる男たちにシンジは右腕を思いきり伸ばしながら飛び込む。体を横にして剣を右から左に振ると、剣を振り上げた男たちに三条の赤い線が引かれ血しぶきが舞う、剣を両手で持ち右に振ると剣圧が飛び三人の男が胸をえぐられ、壁まで飛ばされながら血を吐き出し絶命した。

「? この剣は切っ先が三つ有る?」

 そのまま剣を返して左に振ると、またしても三人、いや、巻き添え食って、まとめて五人の男が倒れた。

「すごいぞ! こいつは三本の剣なんだ」

 仲間が殺られて腰が引け始めた男たちに、間合いの外から剣を何度も振るうと、彼らの肉体がズタズタに引き裂かれ断末魔の悲鳴が合唱のように上がった。

「剣圧も三つある……」

 悲鳴を聞きつけた二階の男たちが慌てて降りて来て、剣を抜き戦いに加わる。左右からの同時攻撃に、まず右を受け、左に剣を向けようとした刹那、左の男の剣が吹き飛んだ。

「剣圧が残存しているのか?」

 余裕を持って左右の男たちを殺し、剣を突き出しながら攻撃をためらっている男たちに飛び込む、真ん中の男の喉に剣を突き立ててから体を一回転させると、周囲にあった首が五、六個、胴体から離れて中を舞った。
 一瞬、部屋の隅で抱き合う三人の娘の姿が目に入った。二人は目を堅く閉じ、長い金髪の一人はその二人を庇うかのように抱きかかえ、目を見開きこちらを見ていた。
 叫びながら剣を振り上げ突っ込んでくる男の、首と両腕が勝手に胴体と離れる。さきほどの残存剣圧に勝手に突っ込み自滅したのだ。
 シンジは戦意を失い体を硬直させている、残りの連中の首を、剣を振るいながら飛ばしていく、辺りを見回すと立っている野盗は誰もいなかった。倒れて呻き声を上げている男の首に剣で止めを刺し、他の死体も念の為生死を確認する。
 二階に上がりクローゼットの中も見て回るが、生き残りはいなかった。

「ふう、こんなもんか……」

 自分の体を見るが剣の力なのか、血しぶきは着いていなかった。改めて剣を見てみる。片面に一人の聖母、もう片面に二人の聖母、この剣には彼女たち三人の力が宿っているのだ。

「驚いたな……、こんな剣が有ったのか!」


 野盗たち全員始末したシンジが一階に下りると、三人の娘はさっきと同じ部屋の隅で震えていた。シンジは剣を持ったままその三人に歩み寄る。

「それ以上近づかないで下さい!」

 きつく抱き合いながら座り込む二人を背中に抱えて、金髪の少女が同じように座り、両手を広げていた。シンジは剣を鞘に納める。
 それでも、まだ、その少女は蒼白の白い肌に、きつく結んだピンク色の唇を震わせ、涙をためた両目でシンジを見据えていた。

「俺は野盗のたぐいじゃあないよ、ここの村人に頼まれてあいつらを倒しに来たのさ、君たちはもう開放されたんだ」

「そうなん……ですか?」

「ああ、もう奴隷として売られる事も無いし、誰かの慰み物になる事も無い……」

 三人はほっとした表情で顔を見合わせる。元は美しいドレスだったのだろうか、今は見る影もないほどボロボロに引き裂かれ、薄汚れた布切れと化した洋服に埃まみれのバサバサの髪、金髪の少女の裂けたスカートから覗いた足は擦り傷だらけだった。いったい何日監禁さてれていたのだろうか。

「さあ、行こう」

 シンジは踵を返すと部屋の出口に向かった。

「ちょっ、ちょっと待って下さい!」

「歩けないなら介助かいじょするけど、そうなのか?」

「皆、大丈夫? 立てるよね、……行きましょう」

 金髪の少女が他の二人を抱えるように立ち上がると、足かせに繋がっている鎖と重りがガチャリと音をたてた。シンジはもう一度剣を抜くと少女たちに歩み寄り、足元に剣を向けた。三人は一瞬、体を硬直させる。

「大丈夫、動かないで」

 剣の先が鉄製の足枷あしかせに触れるとそれはバラバラに砕け散る。シンジは他二人のかせも続けて砕いた。

「さあ、行こう」

「はい……」

 四人は山荘から外に出た。

「ちっ……」

 少女たちのボロきれのようになった、あられもない服の胸元から薄い胸が見えた時、シンジは思わず舌打ちした。

「繰り返すけど、村人たちに頼まれてあいつらを退治したんだ、彼らは捕まっている君たちの事も心配していた、大丈夫、村は歓迎してくれるよ、落ち着いたらこれからの事を考えればいいさ」

「ありがとうございます」

 相変わらず話をするのは金髪の少女で、栗色の髪の少女は無表情でうつむいたままだ、彼女の肩を抱えている銀髪の少女が初めて、絞り出すように声を出す。

「……ありがとう……ございます……」

「さあ、村に帰ろう」

 三人は切り裂かれて、肌が見え隠れしている服装のままでシンジの後に続いた。

 森の道を歩いて行くとシンジが昨日歩いた道に合流した。森が開けてくると遠くに酒場のマスターの姿が見える。こちらに気が付いたのか手を振っていた。

「おおっ、無事だったのか、奴らはどうした」

「全員始末したよ、一人残らずね」

「そうか、捕えられていたのはこの三人か?」

「ああ」

「宿に運ぼう、俺の店に食い物も用意した、宿の部屋はあんたの分も含めて用意いてあるから」

 村に帰ると村の女性たちが三人を毛布にくるみ、抱えるように宿の部屋に連れて行った。風呂と着替えが用意してあるらしい。

「さあ、中に入ってくれ、一杯やろう」

 シンジとマスターは酒場の中に入った。テーブルに用意された幾つかの料理が並んでいる。

「おおーーっ、本当に無事に帰ってきたぞ」

 集まっていた村人たちが歓声を上げた。

「野盗のやつらも、全員やっつけたそうだ」

「すごいな、本当に戦士だったのか」

 シンジは昨晩と同じカウンター席に座り、大体の状況を説明する。ざっと三十人は倒した事、助け出した人間は少女が三人だけだった事、剣が強力だった等々……。

「三十人なら全滅って感じだが、捕えられてた人間が三人とは少なくないか?」

「ああ、森の中で遠巻きに見かけて、五~六人は居たって言ってた奴もいたな……」

「シンジ、ちょっと娘たちの様子を見て来るよ」

 マスターはそう言って店を出て行った。


 女の子たちの様子を見に行って戻って来たマスターがシンジの隣に座る。

「面倒を見ている女たちの話だと、あの三人、そうとう参っているようだな、無理もないか」

「金髪の娘はしっかりしていたけど、気が張っていただけだったのかな?」

「ああ、全員寝込んでいるそうだ、二、三日、いや、一週間かそれ以上でもいい、ゆっくりして、これからの事を考えるんだな、あんたも含めて」

「なんだか悪いね」

「いや、野盗の生き残りがまだ居るんじゃないかって、不安がっている村の女もいるしな」

「なるほど、分かった。また、あの山荘に何回かいってみるよ、たまたま外に出ていて助かった奴が、戻っているかもしれないしね」

「助かるよ、ビール、お代わりだな」

 マスターは空になったグラスを下げ、冷えたビールが注がれたグラスを持ってくる。シンジはカウンターに並べられた料理の幾つかに手をつけた。この世界で人は空腹を感じない、飲食は単なる嗜好の問題だった。

「昼もやっているから娘たちを連れて、コーヒーで飲みに来いよ」

「ありがとう、彼女たちの調子が良ければね」


 夜も更けてきたので、シンジは宿に帰り受付で自分の部屋を確認すると、昨夜と同じと言われた。あの女の子たちは隣の部屋だそうだ。
 自室に入って剣を外すと扉がノックされた。ドアを開けるとあの金髪の娘が立っていた。

「あの……、少しよろしいですか」

「ああ、どうぞ入って、適当に座ってよ」

 シンジはベットに腰掛け少女は隣に座った。バサバサだった金色の髪は後ろで束ねられ、ボロボロの服は清潔でゆったりとしたワンピースに変わり、少しだけ石鹸の香りがした。

「今日は、助けていただいてありがとうございました」

「いや、お礼なら村人たちに言ってよ、酒場のマスターが二、三日か一週間でもゆっくりしろってさ、問題はその後だな」

「はい……」

 無理もない、こちらに来たばかりで訳も分からず拉致されて、この世界の事を考える間もなく、思考停止状態に追い込まれたのだ。これからの事を聞かれても答えられないとシンジは思った。

「俺は昨日、森に転移したんだ、村に来る途中、野盗の三人に絡まれてさ、酒場で君たちの事を聞いた」

「はい……」

「そうだ、手を出して」

「えっ……、手を……ですか?」

 シンジは躊躇している彼女の手を強引につかむ。

「あっ、あのっ……」

 本能的に手を引く少女をシンジは制した。

「少しじっとしていて、うん、手ぐらいじゃ感じないか……」

 シンジは少女の腕を引き寄せそのまま彼女の体を強く抱きしめる。

「いっ、いやですう……、もう、もう、許して下さい、許して下さい……、お願いします……」

 少女は体を硬直させガタガタと震えだし、開かれた瞳からは涙があふれ出た。シンジは耳元でささやく。

「何もしないよ、体の力を抜いて、目を閉じて、俺の中に何か感じないかい」

「べっ、別に……、いっ、いえ感じます。何か青い光のような炎のような何かが……、なんだか不思議な感じです……」

「そう……」

 シンジはしばらくそのままで彼女を抱きしめてから、両肩をつかんで引き離した。

「力があるね、君は聖女としてこの世界に呼ばれたんだ、あの二人を抱きしめてやるといい、救われるよ」

「もうやりました。眠っています。二人からは白い光が見えました。あの、聖女とは……?」

「そうか、白い光か、それにしても三人とも聖女とはすごい偶然だね」

「最初は十人以上いましたけど、ひどい事をされ続けて……、こちらの世界に来る人が少しずつ減って、結局、私たち三人だけが残ったのです」

「ああ、ショックを受けると、こちらに来る能力が無くなる場合があるからね、それにしても聖女なら、そうはならないものなのか?」

 一瞬シンジの脳裏にある仮説が閃く、それはあってはならない事のように思えた。

「あいつら~~、もしかして聖女だけを選別して狩っていたのか、聖女の奴隷を買い集める奴が居るって事か!」

 魔女、唐突に魔女という言葉を久しぶりに思い出した。

「失敗したな、聖女ばかりを集めていったい何を企んでいたんだ……、失敗したよ、誰が何のためにそんな事を……、一人ぐらい口を割らせてから殺せばよかったんだ。失敗したっ! くそっ!」

 気が付くと少女はシンジの胸に両手を当て体に寄り添っていた。

「怖い顔です……」

 シンジは我に帰ってもう一度少女を引き離す。

「もう寝ると良い、少し考える事があるから、話の続きは明日にしよう」

「はい、少しだけでも話せて良かったです。おやすみなさい」

 少女は部屋から出て行きシンジは一人になった。娘の白い光の中に何か黒いもやのような物が見えた。あれは魔ではないかと思ったが、それはあり得ないとも思う、心の傷があのようなイメージに見えたのかと考えた。
 ベッドの上に横になって思った。以前は三人プラス一の巨乳展開で、今回の三人は全員貧乳だった。

「しかし見事にぺったんこだったなあ、今回の夢の世の中も上手く行かないんだな……」

 明日はあの三人とよく話し合ってみようと考えながらシンジは眠りに落ちた。
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