新創生戦記「休学ニートのチートでハーレムな異世界ファンタジー」

川嶋マサヒロ

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第九話「世界の中心で」

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 部屋に戻ってケープを渡すと、二人は笑顔でそれを羽織った。ベッドの上に地図を広げて四人で覗き込む。

「ここが今居る街だ。そしてここ目的地の街」

 シンジは地図を指差しながら説明した。西には皇都ブレナークが有りその更に西は西部荒野と標記されている。ここがこの世界の極西のようだった。
 南には海が広がり北には山が表記されている。いつもの見慣れた、山頂に雪を頂く山脈だ。東に延びる街道を追うと、中心から離れるにつれて街の印は小さくなっていた。
 目的地の第二都、アーディーとここ、メンヒスは地図全体の中心部に有り、世界の中心だからこそ発展した。いや、ここからこの世界の人間社会が始まった事を思わせた。

「この世界は随分大きいのですね」

 四人が出会ったテオムの村と、ここメンヒスは地図上ではほんの少ししか離れていない。

「うん、車や電車が無い世界だからね、地図で見るより実際は広いだろうね」

 そう言ってシンジは立ちあがる。

「ちょっと組合に行って明日、何か仕事が有るかどうか探してみるよ」

「仕事ですか?」

「うん、魔雑魚退治でもやってみようかと思う、多少この世界の事情も分かるだろうしね」

 シンジは三人を置いてもう一度戦士組合を訪れた。掲示板を見ながら仕事を物色していると、先ほど対応してくれた若い男性スタッフが後ろから声を掛けてきた。

「魔人退治の依頼がありますが受けますか?」

「ええ、助かります。でも俺で構わないのですか?」

「お隣さんの御推薦ですからね、信頼に足る腕前の持ち主なのでしょう、どうぞこちらへ」

促されてシンジは受付のカウンター席に着いた。

「内容は魔人の退治ですね、相手は数体、場所はここです」

 シンジに周辺の土地勘は無かったが、指差された地図の場所は街の中心から随分離れているように感じて首をかしげた。

「今回は聖女様の補助が付きます。彼女とペアを組み竜騎兵に同乗して移動してもらいます。馬では目的地まで時間が掛かり過ぎますからね」

「竜騎兵? さっき来た、あの竜に乗れるのですか?」

 シンジは基本的には、誰かと組む気は毛頭なかったが、竜騎兵に同乗出来る好奇心と、聖女ならこの世界の今の事情にも詳しいだろうと考えた。

「分かりました、魔人相手は久し振りだけど大丈夫ですよ」

 その後、幾つかの打合せをしてから戦士組合を出てホテルに戻り、受付に居る初老の紳士に礼を言った。

「御推薦を頂いたそうで、ありがとうございました。おかげで仕事にありつけましたよ」

「いえいえ、人出不足で困っているのはここの組合ですから」


 部屋に戻り 仕事の事を三人に話した。

「それは良かったですね」

「明日は朝からたぶん一日出かけるけど、調子が良ければ皆は街を歩いてみればいいよ」

「はい、色々なお店が有るので歩いてみます」

 レイチェルは笑顔を見せた。エミリーとリリィもさっきのケープの件か、レイチェルから街の賑わいを聞いたのか、満更でもない表情だ、良い気晴らしになるだろう。

「どうしよう、食事にでも行く? 酒場ばかりじゃなんだし、俺たちでも入れるレストランがあるか受付で聞いてみようか」

「いえ、今日は一日歩きましたら、部屋で休みましょうか」

「うん、そうだね、俺も明日は早いし」


 レイチェルは昨夜と同じ事をエミリーとリリィに繰り返す。今日は昨日ほど辛くは無いようだった。シンジは上半身を起こしレイチェルの方を向いた。

「今夜の調子は良いのか?」

「はい、昨夜よりは……」

「こっちに来るか?」

 レイチェルが顔を上げる。

「いいのですか?」

「ああ、構わないよ……」

「はい……」

 レイチェルは毛布の中からゆっくりと立ちあがった。薄いカーテン越しに、窓から差し込む月明かりの様な透明な光が、白い裸身の半分を照らしている。
 表情の半分を隠していた鈍く光る金色の髪をかき上げ、はにかみながら下を向く、シンジは体を覆っていた毛布をはだけさせ、自分の元へ来るように促した。
 レイチェルがベッドに腰掛け横になるとシンジはその身体を毛布で覆う、申し合わせたように二人は昨夜と同じような形で抱き合った。

「昨日より良いみたいだ」

「はい……」

「本当は逆なんだよ、分かるかい?」

「はい、なんとなく……」

「魔との戦いで傷ついた戦士を聖女が助けるんだ、こうやってね」

「勝手ばかりで……、エミリーとリリィの二人にも同じようにしてあげてくれませんか? 苦しむ二人を見続けるのは辛いです。私にはあの二人を救えないようです」

「あの娘たちさえ了解しているなら、構わないよ」

「御免なさい……、私に出来る事なら何でもしますから」

「今の君は何も出来ない、ただの女の子さ」

 シンジの胸にレイチェルの熱い涙の感触が広がった。
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