新創生戦記「休学ニートのチートでハーレムな異世界ファンタジー」

川嶋マサヒロ

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第十四話「乗馬」

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 翌朝、先に目が覚めたシンジは、傍らで寝息をたてているレイチェルを見て仰天した。胸の大きさが昨夜の大きさとは、まったく変わっていたからだ。エミリーとリリィに変化はなかった。
 確かに容姿や髪型、色などが現実と夢の世界で、変化しているのはシンジも知ってはいた。そうでなくては青や真っ赤な髪の色は説明がつかない。
 それにしてもレイチェルは、本当は以前の胸が理想だったのに、シンジはまるで強要したようで少し後悔した。

 コーヒーを入れ、ダイニングテーブルに座って飲んでいると三人が目覚めたので、シンジは服を着る間、彼女たちに背中を向けた。

「ふーーっう……」

 なぜか息を止めていたシンジは、肺の中に溜まっていた息を吐き出す。エミリーとリリィがレイチェルの胸を冷やかしている声が聞こえるが、シンジは努めて冷静を装いコーヒーをすする。
 リリィが三人のコーヒーを入れ始めたのでシンジはお代わりを頼んだ。

「今日は何をしようか? 俺は馬を習いにいってみるよ、乗れれば便利だし」

「誰かに教わるの?」

 リリィがコーヒーカップをシンジに差し出す。

「うん、教室は予約制、今日空きがあればいいんだけど、借りるだけなら予約はいらないそうだ」

「なら私が教えてあげようか?」

 リリィがこともなげに言う、レイチェルとエミリーも頷いていた。

「三人は馬に乗れるの?」

 三人は共に現実の世界で乗馬の経験が有り、回答は……。

レイチェル「家が牧場で子供のころから、馬は友達でした」

エミリー「乗馬の成績は良い方よ、障害が得意ね」

リリィ「競技者としてオリンピックを目指してみれば、と両親に言われているの」

シンジ「そうなのか、乗れないのは俺だけか……」

 そう言うシンジを三人は得意げな顔で見つめる。

 本日の予定は、午前中は全員で乗馬倶楽部、午後、シンジは一人で馬の練習、三人は戦士組合で仕事の相談と決まった。

 乗馬倶楽部は歩いて三十分ほどの場所、街道沿いにあり、街の人や旅人などに貸し出しも行っていると受付で説明を受けた。登録カードを示し必要なポイントを支払って、三頭の馬を借りた。
 練習用の馬場は広く、障害も幾つか設置されていた。

「ちょっと走って来るから」

 リリィはそう言って走り出し、エミリーは、私も、と言って続いた。

「さて、私たちは練習ですね、後ろに乗って下さい」

 レイチェルが颯爽と騎乗し、シンジも不格好にそれに続く。

「これから基本的な動作をしますから、よく見ていて下さい、手と足の動きで馬がどう動くかですね」

 レイチェルは説明しながら馬場で、一通りの動作をやってみせる。

「どうです? 何となくでも分かりましたか?」

「うん、何となくならね」

「それじゃあ交代しましょう、とても素直な馬ですから、大丈夫です」

 シンジは少々不安であったが習うより慣れろ、とばかりに交代し手綱を握った。
 レイチェルはシンジの背中に抱きつき、時折アドバイスをする。馬が揺れる度に大きな胸が背中に強く押しつけられた。

 お昼になって、三人は仕事の相談の為に組合に行き、シンジは乗馬倶楽部で居残り特訓だ。
二、三時間ほど練習すると、シンジはコツか分かってきたような気がした。
 乗馬倶楽部の受付で馬の返却手続をして、幾つか質問をする。

「はい、借りた馬は、隣り街の乗馬倶楽部に返却が可能です。皆そのように移動しています」

 便利なシステムだとシンジは思った。
 それから、この世界の馬は現実の馬がこちらに来ているのではなくて、人々が創造した意思の産物との事だった。

「だからこれだけ素直な馬なのです。ただ微妙に見解は分かれます。上手い乗り手なら時々、馬の本能が目覚めるらしいですね、現実の馬が乗り移ったような感覚だそうです」

「急に暴走したりするのでしょうか? 暴れ馬になるとか……」

「はははっ、現実で馬と会話ができるとか、そんなレベルの乗り手の場合です、私だって無理ですね」

 初心者のレベルでは、心配する必要はなさそうだった。シンジは礼を行って倶楽部を出た。

 組合の事務所に着くと、待合の長椅子にエミリーが座っていた。

「どうだった?」

「うん、週に何日か来て欲しいって、少し子供たちのお世話もしたけど楽しいわ、ポイントもちょっとはもらえるんだって」

「そう、良かった、他の二人は?」

「リリィは近くのお店に面接に行ってる。多分大丈夫だって、レイチェルは奥の部屋に居るわ」

「ここで面接?」

「うん、街に何カ所か組合の出張事務所があって、そこで働かせてもらえるか面接中なの、ちょうど出張事務所の人が、来てたからって」

「そうか、空きがあるなら大丈夫だろう」

 少ししてリリィが戻って来て、合格したと告げた。レイチェルも奥の部屋から出て来る。採用との事だ。

「よし、これからリリィがこれから働く店に行こうか、何か新しい皆の洋服を買おう、いくらなんでも仕事をするのに服が一着では足りないよ」

「でも、そこはポイントが必要な服もあるよ」

「大丈夫、就職祝いだよ」

 衣料品店に行き、皆の服を二着ずつ選び若干のポイントを支払った。

 部屋に帰ると、三人は新しい服に着替え、レイチェルはあの村でもらった三人のワンピースを丁寧に畳んでクローゼットにしまった。

「思い出の服ですからね、こちらも大事に着ます」

 レイチェルはシンジの耳元に口元を寄せ。ささやいた。

「お昼に話しをしたのですが、明日は二人の胸も大きくなっていると思いますよ、シンジが好きだって言っておきましたから」

「ふーん、そうかい?」

 シンジは努めて冷静を装いつつ心の中でガッツポーズをしていた。

 夜、いつものようにシンジとレイチェルはベッドの中で二人きりになった。

「いいかな?」

「はい?」

 シンジは片手で大きな塊をもてあそぶと、二つは軽くぶつかり合い音をたてた。

「やっ、止めて下さい……」

「嫌? 駄目かな?」

「大丈夫です……」

 レイチェルは両手で顔を覆う、シンジはその手をつかんで離した。

「顔もよく見せて……」

「恥ずかしい」

 レイチェルはシンジの手を振りほどき、上になって顔を胸に埋めた。

「駄目だよ……」

 胸を両手でつかみ持ち上げレイチェルの表情を目の前に持ってくる。

「これなら良く見える……」

「近づけば見えません……」

 重力に引き寄せられたレイチェルの表情が、ゆっくりとシンジの上に落ちて来る。二人は何かを確かめ合うように長い時を費やしてから、シンジが体を入れ替えて彼女の体の上に乗っかった。
 レイチェルはシンジを感じて、震えながら吐息を吸い込み、二人は感情のおもむくままに、互いに自制していた心のタガを解放し合った。

 翌日の朝、レイチェルの言った通り、部屋の中は三人の巨乳で満たされ、シンジは朝のコーヒーを飲みつつ、なんだか少し部屋が狭くなったように感じた。

「ポイントも稼げそうだし、もっと大きな部屋に引っ越そうか?」

「えっ、突然何を? まだここで暮らし始めたばかりですよ?」

「あっ、そうか、そうだよね」

 レイチェルは声を上げ驚き、シンジは前言を撤回した。


 皆の仕事も始まり、シンジは組合の仕事依頼を受けて馬で街の端から端まで掛け周り、魔雑魚を退治して回った。
 この街の事情がシンジにも少しずつ分かってきた。
 かつて居た戦士と剣士数名は相変わらず皇都に引き抜かれて戻って来ない、皇都は三年前の戦いに勝利はしたが、その後も散発的に魔人の攻撃を受けている。魔人が攻撃を諦めないのは当然だとシンジも思った。
 今、この街は交代で戻って来るわずかな戦士と剣士数名が守っていた。そして近隣の街に助っ人に行く事も多い、聖女の事情も似たり寄ったりで、聖母となるともう数年不在のままだった。
 率直な感想として、かなり綱渡り的な運営だとシンジは思った。
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