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第二十三話「死の街」
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翌日のネオゴッデス……。
「結局二人の子供の内、再びこちらに来たのは一人でした。男の子の方です」
「そうですか……」
「託児所に連れて行きましたよ、今回の連中は子供を狙っていたのでしょうね、シンジが言っていた、聖女の才能を持っている少女を狙う連中とはちょっと違うようです」
「あいつらの持っていたメモはどうでしたか?」
「手がかりになりそうな事は書いてありませんでしたよ」
サヴェリオは引き出しからメモの束を取り出し机の上に置いた。
「どっちにしろ、あんな輩はこの世界に害を及ぼすだけです。狩っていればそのうち本命に当たるでしょう」
サヴェリオはいつものようにニヤリと笑う、背筋に冷たい物が走る暗殺者の笑いだとシンジは思った。
一階のホールに降りると数人の女性がテーブルに座ってお喋りに興じている。開店まではもう少しだった。
アリーチャの姿も見える。シンジも指定席のカウンター奥に座った。
開店して一時間ほどで店内は賑わいを見せ始めた。そんな時……。
荒々しく扉を開け、流れ者風の若い男の三人組が店に入って来た。若いと言ってもシンジよりは年上だ、大きな声で店の女の子たちを冷やかしながら、ホールの真ん中のテーブル席に足を投げ出しだらしなく座る。
「ちっ……」
シンジはチラリと視線を走らせ舌打ちする。見るからに迷惑客だ。他の客も眉を顰めている。
「おーーい、早く女を寄越せよぉ!」
「それより先に酒だ、早く持って来~~い!」
「ジロジロ見てんじゃねえっ!」
三人は胴間声を張り上げて周りの客を威圧する。
「シンジ~~、昨夜は御苦労さま、今夜も仕事よ、忙しいわね~~」
アリーチャが呑気な猫撫で声を出しながら、シンジの横に座ってバーテンにビールを注文する。
「仕事って、あいつらの事か?」
「そう、用心棒の出番って感じじゃない?」
「まだ来て二、三分だろ、これから大人しく飲むかもよ?」
「まっ、さかあ~~」
三人は大声を上げ酒と女を要求している。店の女の子たちもテーブルに近づこうとはしない。
「しょうがない、私が行ってみるわね、変な事されたら、どっ、しよっ、かな~~?」
ビールグラスを片手に、小さなお尻を振りながら三人組のテーブルに付いたアリーチャは、腰を引き寄せられ男の膝上に座らせられた。
「きゃ~~、嫌よ、嫌よ~~、止めて~~」
シンジはその棒読みみたいなセリフを聞いてずっこけた。昨夜、生首が乱れ飛ぶ現場を見て顔色一つ変えなかったあのアリーチャだ。
「くさい演技だなあ……」
状況を見ているバーテンも苦笑いしている。
「助けて~~、用心棒さ~~ん!」
男に腰を抱えられたアリーチャはワザとらしく手足をバタつかせ悲鳴を上げた。
「用心棒? そんなのがこの店にも居るのか?」
「さっさと出て来いよ、用心棒!」
「今夜はこの女一人で充分よ、俺たち三人の相手をしてもらうぜ」
三人組は更に調子に乗って言いたい放題だ。他の客が顔を寄せ合いヒソヒソと話をしている。
「嫌っ、止めてよっ」
アリーチャを膝の上に乗せた男が彼女の胸を揉みしだく、バーテンが苦々しい表情でシンジを見て少しだけ顎をしゃくった。仕事の合図だ。
シンジは立ちあがり三人組のテーブルに向かった。
「あっ、用心棒さ~~ん」
アリーチャはシンジの方を向いた男の手を振りほどいて、シンジの後ろに回り込んだ。
「あ~~あ、怖かった~~」
シンジは内心吹き出したくなるのを堪えて厳しい表情を作る。三人組は剣の二本差しで軽装甲、肘当てなど、それになりに戦う為の装備を身につけていた。
「皆さん、他のお客様にご迷惑なので、帰ってもらえませんか?」
シンジは抑揚の無い声で事務的に告げた。
「ふえっ、こんなのが用心棒? ありえね~~」
「ガキは引っ込んでろ、よっ!」
「御大層な剣を下げて、調子こいてんじゃねえぞ、ゴラア!」
一応、剣の良し悪しは分かるようだが、能力を見る目は無いらしい、シンジは次のセリフを考えた。
「そうだな、表に出るか?」
三人は顔を見合わせて爆笑した。
「いいね、いいねえ、おまえを倒してこの店を乗っ取ってやるよ、経営者転生だっ!」
「わろた、店の女も全員いただきよ、ハーレムってやつだな」
「俺たち、最強無双だし~~、つえええええ」
三人また爆笑した。
シンジは外に向かって歩きながら頭を抱えたくなった。こいつらがこの世界に来て間もない事は理解できるが、もしかして本当に夢を見ているだけと思っているのか? まさか? よほどの馬鹿でも、ここか現実とは別の本物の世界だと少しは考えるだろう。
店の前にある広場の中心に立つと、三人組みは剣を抜きシンジを取り囲んだ。
なるほどなと思いつつシンジも剣を抜く、一応作戦は考えているようだ。
「どんなに強い剣士もなあ、背中に目は無いんだよ、三方向から同時に切りつけられたら防げないだろうがっ!」
「ひょ~~っ!」
「ひゃっは~~はあっ!」
正面の男の話に続き、後ろの二人が意味不明な奇声を上げる。なるほど、相手の注意をそらす為だ。死角からの声は誰だって気になるなものだ。ただ三方向から同時に、などと、作戦をいちいち説明したのは間違いだ。
正面の男が動かなければ、後ろの二人も動かない。作戦をバラさなければ、それなりのプレッシャーにはなっていたはずだ。
「やっぱり、こいつらは馬鹿だ……」
もっとも、シンジは殺気や気配を読めるので、どちらにしても意味は無かったが……、視界の隅に、店の前でこちらを見守る大勢の客と女の子たちの姿が見える。
アリーチャは両手を胸の前で組み、眼を潤ませ心配そうにーー、を装いながらこちらを見ていた。
客の御婦人が彼女の肩を抱き何か話しかけると、アリーチャは眼をつぶって顔を左右に振り、目から涙が飛び散る。演技だった。
シンジは剣を両手で横にかまえて少し腰を落とす。問題はどうやって勝つかだ。
これだけギャラリーが見ている中で殺すのはいかにもまずい、首を飛ばすなんてもってのほかだ。流血も良くない、見ている客が喜ぶようにやらなければ、と頭の中で考えをまとめた。
「さあ、かかって来いよっ!」
しばらくの沈黙の後、正面の男が動く、死角の気配にも動きを感じた。
スローモーションのように見える相手の切っ先との間合いを計りながら、シンジは少し腰を捻り、ギリギリのタイミングで体ごと剣を水平に回転させると、ほぼ同時に弾かれた三人の剣がコマのように回転しながら中を舞い、砕け折れる。
三人共その場で尻もちをついて後退った。
「予備の剣を抜けよ、もう一度やるか? 次は首を飛ばすぞ!」
三人は互いに目配せしながら立ちあがり、一目散に街道に向かって走り出す。負けた後の作戦まで考えていたのかとシンジは感心した。
剣を鞘に納めると客の間から、どよめきと歓声、拍手が沸き起こった。仕事は上手くいったようだ。
アリーチャが駆け寄って来てシンジに抱きつく。
「おっ、おい」
「しっ、演出よ、合わせて……」
アリーチャは小声でささやくと、殊更に大きな声で叫ぶ
「良かった、良かったあ~~、心配したよ~~」
そう言いながらシンジにキスをする。
「早く、私を抱きしめなさいよ」
促されるままに二人は抱き合い、もう一度長いキスをすると、歓声と拍手はいっそう大きく響渡った。
二階の窓に目をやると、サヴェリオとフードを目深にかぶった昨夜の聖女がこちらを見ていた。サヴェリオが小さく拍手をしている。仕事は上手くいったようだ。
客が戻った店内は多いに盛り上がっている。これがサヴェリオの言うオペラなのだろうか? バカバカしいと思いつつビールを啜っていると、アリーチャが隣の席に座った。
「仕事しなくていいのか?」
「お客さんが用心棒さんの所へ行けって言うの、よくお礼を言いなさいってね」
「しかし、こんな田舎芝居でホントに客は喜んでいるのかなあ?」
「もちろん、多少の演出も理解しつつ楽しんでいるのよ、芝居に台本があるからって怒る人もいないでしょう」
「そんなもんかねえ、あの三人組も仕込みなのか?」
「まさか、それは無いわよ、あいつらは本物の勘違いさんね」
客が引け閉店した後、シンジと着替えたアリーチャは二人で店を出る。サヴェリオは珍しく下には降りて来なかった。
夜の街を二人で歩きながら先ほどの田舎芝居の話をする。
「あんなのが毎日来たらめんどくさいけど、たまになら余興としては面白いかもなあ」
「そうそう、オペラよ、この世界には劇場も映画館も無いしね、テレビだって無いんだから」
「そんな期待も込めて客も来ているって事かな……」
「そうだ、私たち、今夜は恋人同士なんだから」
アリーチャがシンジの腕を取って胸に押し付ける。
「しかし、キスまでするかあ~~」
「キスなんてお客さんと、しょっちゅうしてるんだし、気にしないでよ」
「そうか……」
シンジは一瞬、アリーチャが客の男と絡み合っている姿を思い浮かべた。
「それじゃ、今夜は御苦労様でした。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
アリーチャは部屋までの階段を駆け上がって行った。
その日の深夜、何件も店を飲み歩き、街の酒場で顰蹙を買いまくった若い三人組の男たちが闇に紛れて殺された。この街には暗殺者が居るらしい。
ここは死の街とも呼ばれる第二都、アーディーだ。
「結局二人の子供の内、再びこちらに来たのは一人でした。男の子の方です」
「そうですか……」
「託児所に連れて行きましたよ、今回の連中は子供を狙っていたのでしょうね、シンジが言っていた、聖女の才能を持っている少女を狙う連中とはちょっと違うようです」
「あいつらの持っていたメモはどうでしたか?」
「手がかりになりそうな事は書いてありませんでしたよ」
サヴェリオは引き出しからメモの束を取り出し机の上に置いた。
「どっちにしろ、あんな輩はこの世界に害を及ぼすだけです。狩っていればそのうち本命に当たるでしょう」
サヴェリオはいつものようにニヤリと笑う、背筋に冷たい物が走る暗殺者の笑いだとシンジは思った。
一階のホールに降りると数人の女性がテーブルに座ってお喋りに興じている。開店まではもう少しだった。
アリーチャの姿も見える。シンジも指定席のカウンター奥に座った。
開店して一時間ほどで店内は賑わいを見せ始めた。そんな時……。
荒々しく扉を開け、流れ者風の若い男の三人組が店に入って来た。若いと言ってもシンジよりは年上だ、大きな声で店の女の子たちを冷やかしながら、ホールの真ん中のテーブル席に足を投げ出しだらしなく座る。
「ちっ……」
シンジはチラリと視線を走らせ舌打ちする。見るからに迷惑客だ。他の客も眉を顰めている。
「おーーい、早く女を寄越せよぉ!」
「それより先に酒だ、早く持って来~~い!」
「ジロジロ見てんじゃねえっ!」
三人は胴間声を張り上げて周りの客を威圧する。
「シンジ~~、昨夜は御苦労さま、今夜も仕事よ、忙しいわね~~」
アリーチャが呑気な猫撫で声を出しながら、シンジの横に座ってバーテンにビールを注文する。
「仕事って、あいつらの事か?」
「そう、用心棒の出番って感じじゃない?」
「まだ来て二、三分だろ、これから大人しく飲むかもよ?」
「まっ、さかあ~~」
三人は大声を上げ酒と女を要求している。店の女の子たちもテーブルに近づこうとはしない。
「しょうがない、私が行ってみるわね、変な事されたら、どっ、しよっ、かな~~?」
ビールグラスを片手に、小さなお尻を振りながら三人組のテーブルに付いたアリーチャは、腰を引き寄せられ男の膝上に座らせられた。
「きゃ~~、嫌よ、嫌よ~~、止めて~~」
シンジはその棒読みみたいなセリフを聞いてずっこけた。昨夜、生首が乱れ飛ぶ現場を見て顔色一つ変えなかったあのアリーチャだ。
「くさい演技だなあ……」
状況を見ているバーテンも苦笑いしている。
「助けて~~、用心棒さ~~ん!」
男に腰を抱えられたアリーチャはワザとらしく手足をバタつかせ悲鳴を上げた。
「用心棒? そんなのがこの店にも居るのか?」
「さっさと出て来いよ、用心棒!」
「今夜はこの女一人で充分よ、俺たち三人の相手をしてもらうぜ」
三人組は更に調子に乗って言いたい放題だ。他の客が顔を寄せ合いヒソヒソと話をしている。
「嫌っ、止めてよっ」
アリーチャを膝の上に乗せた男が彼女の胸を揉みしだく、バーテンが苦々しい表情でシンジを見て少しだけ顎をしゃくった。仕事の合図だ。
シンジは立ちあがり三人組のテーブルに向かった。
「あっ、用心棒さ~~ん」
アリーチャはシンジの方を向いた男の手を振りほどいて、シンジの後ろに回り込んだ。
「あ~~あ、怖かった~~」
シンジは内心吹き出したくなるのを堪えて厳しい表情を作る。三人組は剣の二本差しで軽装甲、肘当てなど、それになりに戦う為の装備を身につけていた。
「皆さん、他のお客様にご迷惑なので、帰ってもらえませんか?」
シンジは抑揚の無い声で事務的に告げた。
「ふえっ、こんなのが用心棒? ありえね~~」
「ガキは引っ込んでろ、よっ!」
「御大層な剣を下げて、調子こいてんじゃねえぞ、ゴラア!」
一応、剣の良し悪しは分かるようだが、能力を見る目は無いらしい、シンジは次のセリフを考えた。
「そうだな、表に出るか?」
三人は顔を見合わせて爆笑した。
「いいね、いいねえ、おまえを倒してこの店を乗っ取ってやるよ、経営者転生だっ!」
「わろた、店の女も全員いただきよ、ハーレムってやつだな」
「俺たち、最強無双だし~~、つえええええ」
三人また爆笑した。
シンジは外に向かって歩きながら頭を抱えたくなった。こいつらがこの世界に来て間もない事は理解できるが、もしかして本当に夢を見ているだけと思っているのか? まさか? よほどの馬鹿でも、ここか現実とは別の本物の世界だと少しは考えるだろう。
店の前にある広場の中心に立つと、三人組みは剣を抜きシンジを取り囲んだ。
なるほどなと思いつつシンジも剣を抜く、一応作戦は考えているようだ。
「どんなに強い剣士もなあ、背中に目は無いんだよ、三方向から同時に切りつけられたら防げないだろうがっ!」
「ひょ~~っ!」
「ひゃっは~~はあっ!」
正面の男の話に続き、後ろの二人が意味不明な奇声を上げる。なるほど、相手の注意をそらす為だ。死角からの声は誰だって気になるなものだ。ただ三方向から同時に、などと、作戦をいちいち説明したのは間違いだ。
正面の男が動かなければ、後ろの二人も動かない。作戦をバラさなければ、それなりのプレッシャーにはなっていたはずだ。
「やっぱり、こいつらは馬鹿だ……」
もっとも、シンジは殺気や気配を読めるので、どちらにしても意味は無かったが……、視界の隅に、店の前でこちらを見守る大勢の客と女の子たちの姿が見える。
アリーチャは両手を胸の前で組み、眼を潤ませ心配そうにーー、を装いながらこちらを見ていた。
客の御婦人が彼女の肩を抱き何か話しかけると、アリーチャは眼をつぶって顔を左右に振り、目から涙が飛び散る。演技だった。
シンジは剣を両手で横にかまえて少し腰を落とす。問題はどうやって勝つかだ。
これだけギャラリーが見ている中で殺すのはいかにもまずい、首を飛ばすなんてもってのほかだ。流血も良くない、見ている客が喜ぶようにやらなければ、と頭の中で考えをまとめた。
「さあ、かかって来いよっ!」
しばらくの沈黙の後、正面の男が動く、死角の気配にも動きを感じた。
スローモーションのように見える相手の切っ先との間合いを計りながら、シンジは少し腰を捻り、ギリギリのタイミングで体ごと剣を水平に回転させると、ほぼ同時に弾かれた三人の剣がコマのように回転しながら中を舞い、砕け折れる。
三人共その場で尻もちをついて後退った。
「予備の剣を抜けよ、もう一度やるか? 次は首を飛ばすぞ!」
三人は互いに目配せしながら立ちあがり、一目散に街道に向かって走り出す。負けた後の作戦まで考えていたのかとシンジは感心した。
剣を鞘に納めると客の間から、どよめきと歓声、拍手が沸き起こった。仕事は上手くいったようだ。
アリーチャが駆け寄って来てシンジに抱きつく。
「おっ、おい」
「しっ、演出よ、合わせて……」
アリーチャは小声でささやくと、殊更に大きな声で叫ぶ
「良かった、良かったあ~~、心配したよ~~」
そう言いながらシンジにキスをする。
「早く、私を抱きしめなさいよ」
促されるままに二人は抱き合い、もう一度長いキスをすると、歓声と拍手はいっそう大きく響渡った。
二階の窓に目をやると、サヴェリオとフードを目深にかぶった昨夜の聖女がこちらを見ていた。サヴェリオが小さく拍手をしている。仕事は上手くいったようだ。
客が戻った店内は多いに盛り上がっている。これがサヴェリオの言うオペラなのだろうか? バカバカしいと思いつつビールを啜っていると、アリーチャが隣の席に座った。
「仕事しなくていいのか?」
「お客さんが用心棒さんの所へ行けって言うの、よくお礼を言いなさいってね」
「しかし、こんな田舎芝居でホントに客は喜んでいるのかなあ?」
「もちろん、多少の演出も理解しつつ楽しんでいるのよ、芝居に台本があるからって怒る人もいないでしょう」
「そんなもんかねえ、あの三人組も仕込みなのか?」
「まさか、それは無いわよ、あいつらは本物の勘違いさんね」
客が引け閉店した後、シンジと着替えたアリーチャは二人で店を出る。サヴェリオは珍しく下には降りて来なかった。
夜の街を二人で歩きながら先ほどの田舎芝居の話をする。
「あんなのが毎日来たらめんどくさいけど、たまになら余興としては面白いかもなあ」
「そうそう、オペラよ、この世界には劇場も映画館も無いしね、テレビだって無いんだから」
「そんな期待も込めて客も来ているって事かな……」
「そうだ、私たち、今夜は恋人同士なんだから」
アリーチャがシンジの腕を取って胸に押し付ける。
「しかし、キスまでするかあ~~」
「キスなんてお客さんと、しょっちゅうしてるんだし、気にしないでよ」
「そうか……」
シンジは一瞬、アリーチャが客の男と絡み合っている姿を思い浮かべた。
「それじゃ、今夜は御苦労様でした。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
アリーチャは部屋までの階段を駆け上がって行った。
その日の深夜、何件も店を飲み歩き、街の酒場で顰蹙を買いまくった若い三人組の男たちが闇に紛れて殺された。この街には暗殺者が居るらしい。
ここは死の街とも呼ばれる第二都、アーディーだ。
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