新創生戦記「休学ニートのチートでハーレムな異世界ファンタジー」

川嶋マサヒロ

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第二十五話「チーム シンジ」

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 三日後、仕事を終えて戦士組合に戻ると、受付のクレアから東の領地の件は受理と聞かされた。

「とりあえずは予定通りだな、竜騎兵の件は?」

「それはこれからの交渉よ、たまに借りるくらいながら問題無いと思うわ、これが資料ね」

 シンジは一枚の資料を受け取り、読み始めた。

「ふーん、東地区最大の領主か、八代続けてこの世界にやってきている。高い想像力で荒れ地を開拓、現在の地位を手に入れた。か……」

「三人とも連れて行って、あちらにはお抱えの聖女が居るのだけれどね」

「その聖女が竜騎兵を操っている訳だ」

「いつ行ける? 近日中との事だけど早い方が助かるわ、馬は二頭出すから」

「皆の予定を確認してみるけどね、明日か明後日か……、朝出て午後にでも着けば良いだろう」

「それで大丈夫よ」

 シンジは資料を畳みローブの内ポケットに突っ込む、これから三人の職場をまわって連絡をつけねばならなかった。
 まずは西地区にある、組合の出張所で働いているレイチェルの元へ向かった。事前に話をしていたので明日か明後日から四日ほど休む事に問題は無かった。
 それからリリィの洋服屋へ行く、女主人に話すと快諾したくれた。エミリーが働く組合が運営している託児所兼幼稚園に顔を出すと、こちらも了解してくれた。
 この街の人々にとって、魔人退治は何にも増しての最優先事項だったから、当然と言えば当然だ。
 

 皆が部屋に帰って来たので、戦士組合でもらった資料と、明日の手順を一通り説明した。

「それほど難しい仕事じゃないよ、魔人は三体だし、あちらには聖女が一人居るから」

「私たちもだいぶ結界を覚えたし、シンジの力になれると思う、ねえ、リリィ」

「うん、魔人を見るは初めてね」

 エミリーとリリィはまるで遠足気分のようだが、レイチェルは真剣な表情だった。


 翌日、三人は購入した聖女用の衣装を着て、シンジも上着とマントを羽織った。
 組合で馬を二頭借り、シンジはエミリーを乗せレイチェルはリリィを乗せ、東へ向けて走り出す。
 街を抜けて二時間ほど走ると、畑や牧草地の先に大きな門が見えた。手前で止まり門番に要件を告げ中に通される。馬の手綱を出迎えた使用人風の男に渡し、教えられた石畳の広い道を進んだ。

 先頭を歩くシンジは、いつもの服に今回用として黒と青の上着を羽織って、背中には白いマントを取り付けた。

 右に並ぶレイチェルは胸元の空いた白と薄い檸檬レモン色のドレスに、白く染めた革のコルセットを髪の毛と同じ金色の紐で締め上げて、豊かな胸元が強調されていた。
 首には幅広でゆったりとした金の首輪、その上に小さめの白いスカーフが巻かれ、廃山荘で見つけた翡翠のペンダントが揺れていた。
 上着は斜めにカットされた半袖で、腕は肘まであるピッタリとした白くて長い手の甲を覆うロンググローブに覆われ、背中には白く短めのマントがなびく。
 スカートは正面が大胆にカットされていて、生足が少し見え隠れし、白いロングブーツが膝までを覆っていた。

 左のエミリーは髪の色と同じ銀糸で草花が刺繍された白と緑のドレスを着ている。
 薄い緑色の小さな短いマントがボタンで取付けられている正装の上着には、木の枝、森のようなデザインが緑色で描かれていた。

 その隣のリリィが着る薄茶色のドレスの胸元は、赤い紐で編上げられている。ウエストは革のベルトで強調されていて、ベージュのスカートが腰のなだらかな曲線を見せていた。
 中割れしたマントは、昆虫の羽を思わせるような一部半透明のレースで、足元の茶と黒のショートブーツには赤いリボンがあしらわれていた。

 四人の視界に、中世ヨーロッパからそのまま飛び出して来たかのような、大きな屋敷が現れた。三階建の、これ程の規模ならば城館と呼んでも良さそうな屋敷だった。
 通路の両脇には見事な薔薇園が広がり、小さな噴水が立てる水音に重なって四人の靴音が響く。
 シンジを先頭に石畳の道を、マントを風になびかせながら歩いて行くと、正面玄関の扉の前で派手な服装の女性がシンジたちを出迎える。結界でこちらの来訪を見ていたユーカだった。

「あら、驚かないのね」

 シンジは笑って答える。

「竜騎兵を扱う聖女なんてそうは居ないだろ」

「まあ、そうね、四人共素晴らしいわ、まるで王宮の近衛か、親衛隊じゃない!」

 ユーカはお世辞ではなく本気で四人を持ち上げる。シンジたちも満更でもない笑みを浮かべて互いに顔を見合わせた。

「我ながらハッタリが効いていると思うよ」

「ここの領主に引き合せるから、彼、こんな演出が大好きだから喜ぶわよ、さあ入って」

 玄関ホールは広間になっていて大きな暖炉があり、その前にはソファーとテーブルが何脚か置かれていた。
 階段は三階まで続く吹き抜けになっていて、高い天井から伸びる長い鎖の先にシャンデリアが光っている。
 シンジたちはユーカの後に続いて、天井が高くて広い廊下を進む。
 ここの領主は代替わりしたばかりでまだ若いが、先代と同じなかなかの人物で竜騎兵を借りる件も了承してくれた、とユーカは説明してくれた。

「悪いね、口を利いてくれたんだろ」

「現実でも知り合いだと言ったら驚いてたわ、もちろん騎士クラスの実力者とも説明したけどね」

 ユーカが長い廊下の突き当たりの扉をノックすると、部屋の中から返事があった。

 大きなテーブルの前に年配の執事とシンジとたいして歳が違わない若い領主が座り、地図を広げて何やら話し合っている。

「やあ、よく来てくれました、クリストフと申します」

 その若い領主は気さくで闊達かったつな感じでシンジたちに歩み寄り手を差し出す。二人は握手をした。

「シンジです。それとこの三人はレイチェルとエミリー、リリィです」

 クリストフは三人の前にひざまずき、一人一人の手をとって甲にキスをする。
 レイチェルは平静を装い微笑をたたえ、エミリーは顔を赤らめ緊張し、リリィは少し放心したような表情になった。

「いやあ、若い戦士様と可愛らしい聖女様たちで驚きました。子供の頃から怖そうな戦士や聖女ばかり見ていましたから」

 そう言って笑うと、ユーカが、私は可愛くはないですから、と言いクリストフはまた笑い肩をすくめて見せた。

「さて、早速ですが状況を説明させて下さい、どうぞ座って」

「では私が……」

 ユーカが話を引き取り、結界を張って確認した状況を説明する。
 魔人は三体だったが一体増え今は四体、一番強力な魔人は、三メートルはあり、ここからの距離は、最初は二百キロ以上離れていたが、今は百キロ程度まで接近しているらしい。
 山岳地帯へ百キロ弱ほど離れた領地の端に、別荘として使う山荘があり、そこを拠点してと使用するとの事だ。

 その後はユーカが屋敷の周辺を案内してくれた。裏手には立派な馬小屋があり、シンジたちが乗って来た馬と、この屋敷の馬、数頭が繋がれていた。
 薔薇園の中を歩くユーカと娘たちを、シンジがベンチに座って眺めていると、短い黒髪で小柄なメイドが部屋の要望を聞いてきた。
 シンジが大きなベッドが一つあれば充分と伝えると、日本人を思わせるそのメイドは少し驚いて念を押すが、シンジはかまわないと答えた。

 シンジたちに用意された部屋は居間兼寝室のような作りで広く、勿論もちろんバストイレ付、豪華な装飾が施された化粧台の大きな引き出しを開けると、幾つものアクセサリーが輝いていて三人は悲鳴を上げる。自由に身に着けてくれとの心遣いのようだった。
 ホテルならシングルのスーパースイートで、トリプルとでも呼べそうな大きなベッドには天蓋まで付いている。
 マントを外してクローゼットを開けると、薄い絹のような白いガウンが四着掛かっていた。

 三人は上着を脱いでノースリーブのドレスとなり、髪をアップにして化粧台の前で互いに批評し合いながら、あれだこれだと奮闘した。

「シンジの中でいつも感じる色と同じですね」

 レイチェルは胸の谷間でブルーダイヤを輝かせながらはにかんだ。エミリーは小さなダイヤが贅沢に散りばめられたプラチナ、リリィは深紅のルビーを選び胸元を飾った。
 そして、皆それぞれの髪色に合った飾りを頭にあしらう。

 夕刻になると、メイドが夕食の支度が整った旨を伝えに来た。

 広いダイニングルームに入ると、執事がそれぞれの席に案内してくれた。レイチェルの椅子を引きながら、こんなにも屋敷が華やいだのは久しぶりです。と呟いたのが聞こえた。
 豪華な食事が振る舞われ、クリストフは領地経営の苦労話や領地に対する思い、この周辺の歴史などを面白おかしく語った。
 三人は運ばれてくるコース料理にいちいち感激しながら、執事に質問し、素直にテーブルマナーの教えを請い、次々に料理をたいらげた。
 執事と給仕、メイドたちはこの食いしん坊の三人娘を暖かい目で見守った。
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