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第二十八話「泉と山荘」
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ユーカが入口の扉を開け二人が中に入ると、そこには玄関ホールと大きなダイニング、リビングが一体となった空間が広がっていた。
「さて、山荘の説明はシンジたちが来てからするとして、彼ら、まだ二時間はかかるわねえ」
ユーカはマント外し上着を脱いでソファーに掛け、短めの剣も腰から外した。
レイチェルも上着を脱ぐ、正装用の上着は屋敷に置いてきていて、自前のアクセサリー類も外して来ていた。
「この山荘のすぐ上に小さな泉があるのよ、行ってみない?」
「はい、行ってみたいです」
二人は外に出て、山荘近くの小山に続く石の階段を上り始めた。
「ここは泉ありきなのよ、泉があるから山荘を作ったって訳」
ほどなく階段が終わり小さな泉が見えた。湖畔には木のベンチや日除けの屋根も備え付けられている。
「クリストフも時々ここに来ているのよ、ねえ、せっかくだから泳がない?」
「は、はい」
ユーカは服を一枚一枚脱ぎながら木製のベンチの上に置き裸になった。
「手伝うわ」
レイチェルの後ろにまわり背中のファスナーを下げる。
「私は一人で着たり脱いだり出来るように服を作ったけど、あなた達はシンジがいるからね」
「はい」
「それにしても、かわいい衣装よね、ちょっと複雑な作りね」
コルセットを外し、続いてスカート、ドレス、スパッツと脱ぐとレイチェルも裸になった。
「不思議に思うのですが、なぜこの世界はトップの下着がないのでしょうか?」
「う~~ん、そうね、この世界は頑固なまでに中世ヨーロッパ風の世界を維持している人ばかりよね、下着ぐらい想像出来ると思うんだけど、拒否する何かが有るのかも」
裸の二人は水辺に向かいながら話す。
「なるほど、そんなに大きければ気になるわねえ」
ユーカが、ボールが入っているかのようなレイチェルの揺れる二つの胸を見る。
「はい、最初はそうでした。でも他の人は気にもしてないみたいですね」
「そうね、想像で体型が変えられる世界だし……、さっ泳ぎましょう」
二人は水の中に入った。ユーカはゆっくりとしたクロールで対岸を目指す。レイチェルは背面で水面に浮かびながら少し足を動かし水に体を委ねた。
ひとしきり泳いだ後、レイチェルはユーカに誘われ対岸に上がる。
「あの岩の上、見晴らしがいいのよ、行きましょう」
レイチェルは頷いてユーカの後に続き、大小の岩の上を歩き、よじ登ぼって岩の上を目指した。
「見て」
アーディーの街が一望でき、海と水平線が見えた。
「竜騎兵からも見えるけど、ゆっくり景色を楽しむ感じじゃないしね」
「この景色を人間の想像力が作り上げたなんて不思議ですね」
「うん、時々時間がある時は、屋敷に行く前ここに一人で来て泳ぐのよ」
風が濡れた体を撫でて心地よい。二人は岩の上に腰掛け、しばらくの間ぼんやりと景色を眺め過ごした。
「さて、シンジたちを見る事は出来る?」
「はい、やってみます」
レイチェルは少しの間、集中してシンジたち三人を見つけた。
「あと十キロメートルほどですね」
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」
「はい」
二人が山荘に降りると、ちょうどシンジたちが到着した。
「馬小屋が奥にあるから繋いできて」
「了解だ、山荘って言うから、もっと小さいと思ってたけど立派だなあ」
五人で山荘の中に入り、ユーカが一通り建物の案内をする。
「一階は共用のリビング、ダイニング、それにキッチンとバスね、シャワーは各室にもあるから」
暖炉があり二十畳はあるリビングにはテーブルとソファーが幾つか置かれていた。階段を二階に上がる。
「二階は寝室が十室ね、鍵が掛かっている部屋はクリストフと屋敷の人たちが使っているから、空いている部屋を自由に使ってね」
シンジたちは幾つかの部屋を見て回った。
「ここにしようか」
「はい、どの部屋も小さいベッドしかありませんね」
ダブルベッドが二つあり、窓からは山荘正面の空き地が見える。
「私たちは別の部屋を使うわ、ねえリリィ」
「そうねえ、たまには別々の部屋もいいかもね」
エミリーとリリィはそう言って部屋を出て行った。
「へえ~~、気を使っているのかなあ?」
シンジとレイチェルは顔を見合わせ笑った。
上着を脱いで剣を置き、二人でリビングに降りるとユーカがグラスをテーブルに並べていた。ワインが何本か置かれている。
「地下にワインセラーが有るの、勝手に飲んでいいって言われているのよ」
ユーカはそう言って笑う、エミリーとリリィも二階から降りて来た。
「さあ、飲みましょう、お嬢さんたちも付き合ってね」
五人でソファーに座ってワインのボトルを開けた。
ユーカはワイングラスを傾けながら、この山荘を拠点にして、今まで行った魔人狩りの様子を説明した。
上空からの索敵は有効で、明日の魔人たちの位置もさほど変わらない事、この周辺の森は数百年前から魔人がよく出現する激戦地である事など。
皆は真剣にユーカの話に聞き入る、明日は三人娘の初めての実戦だ。
「ところでユーカはいつも何処にいるの?」
シンジがいつも疑問に思っていた事を口にした。
「クリストフの所か他の街に出張、空いている時はアーディーのオフィスに居るわ、私は北の出張所を手伝う事が多いわね」
「北に戦士は居るの?」
「剣士が三人だけね、後聖女が一人、ちょっと待ってて」
ユーカは立ちあがって、棚からメモとペンを取り戻って来て、簡単な地図を描いた。
「ほとんど留守だけど、ついでがあったら訪ねて」
「ふーーん、街の北寄りにあるんだ」
ひとしきり話をしてワインを開けた後、早めのお開きとなった。明日の朝は早い。皆、それぞれの部屋に帰り眠りにつく。
「さて、山荘の説明はシンジたちが来てからするとして、彼ら、まだ二時間はかかるわねえ」
ユーカはマント外し上着を脱いでソファーに掛け、短めの剣も腰から外した。
レイチェルも上着を脱ぐ、正装用の上着は屋敷に置いてきていて、自前のアクセサリー類も外して来ていた。
「この山荘のすぐ上に小さな泉があるのよ、行ってみない?」
「はい、行ってみたいです」
二人は外に出て、山荘近くの小山に続く石の階段を上り始めた。
「ここは泉ありきなのよ、泉があるから山荘を作ったって訳」
ほどなく階段が終わり小さな泉が見えた。湖畔には木のベンチや日除けの屋根も備え付けられている。
「クリストフも時々ここに来ているのよ、ねえ、せっかくだから泳がない?」
「は、はい」
ユーカは服を一枚一枚脱ぎながら木製のベンチの上に置き裸になった。
「手伝うわ」
レイチェルの後ろにまわり背中のファスナーを下げる。
「私は一人で着たり脱いだり出来るように服を作ったけど、あなた達はシンジがいるからね」
「はい」
「それにしても、かわいい衣装よね、ちょっと複雑な作りね」
コルセットを外し、続いてスカート、ドレス、スパッツと脱ぐとレイチェルも裸になった。
「不思議に思うのですが、なぜこの世界はトップの下着がないのでしょうか?」
「う~~ん、そうね、この世界は頑固なまでに中世ヨーロッパ風の世界を維持している人ばかりよね、下着ぐらい想像出来ると思うんだけど、拒否する何かが有るのかも」
裸の二人は水辺に向かいながら話す。
「なるほど、そんなに大きければ気になるわねえ」
ユーカが、ボールが入っているかのようなレイチェルの揺れる二つの胸を見る。
「はい、最初はそうでした。でも他の人は気にもしてないみたいですね」
「そうね、想像で体型が変えられる世界だし……、さっ泳ぎましょう」
二人は水の中に入った。ユーカはゆっくりとしたクロールで対岸を目指す。レイチェルは背面で水面に浮かびながら少し足を動かし水に体を委ねた。
ひとしきり泳いだ後、レイチェルはユーカに誘われ対岸に上がる。
「あの岩の上、見晴らしがいいのよ、行きましょう」
レイチェルは頷いてユーカの後に続き、大小の岩の上を歩き、よじ登ぼって岩の上を目指した。
「見て」
アーディーの街が一望でき、海と水平線が見えた。
「竜騎兵からも見えるけど、ゆっくり景色を楽しむ感じじゃないしね」
「この景色を人間の想像力が作り上げたなんて不思議ですね」
「うん、時々時間がある時は、屋敷に行く前ここに一人で来て泳ぐのよ」
風が濡れた体を撫でて心地よい。二人は岩の上に腰掛け、しばらくの間ぼんやりと景色を眺め過ごした。
「さて、シンジたちを見る事は出来る?」
「はい、やってみます」
レイチェルは少しの間、集中してシンジたち三人を見つけた。
「あと十キロメートルほどですね」
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」
「はい」
二人が山荘に降りると、ちょうどシンジたちが到着した。
「馬小屋が奥にあるから繋いできて」
「了解だ、山荘って言うから、もっと小さいと思ってたけど立派だなあ」
五人で山荘の中に入り、ユーカが一通り建物の案内をする。
「一階は共用のリビング、ダイニング、それにキッチンとバスね、シャワーは各室にもあるから」
暖炉があり二十畳はあるリビングにはテーブルとソファーが幾つか置かれていた。階段を二階に上がる。
「二階は寝室が十室ね、鍵が掛かっている部屋はクリストフと屋敷の人たちが使っているから、空いている部屋を自由に使ってね」
シンジたちは幾つかの部屋を見て回った。
「ここにしようか」
「はい、どの部屋も小さいベッドしかありませんね」
ダブルベッドが二つあり、窓からは山荘正面の空き地が見える。
「私たちは別の部屋を使うわ、ねえリリィ」
「そうねえ、たまには別々の部屋もいいかもね」
エミリーとリリィはそう言って部屋を出て行った。
「へえ~~、気を使っているのかなあ?」
シンジとレイチェルは顔を見合わせ笑った。
上着を脱いで剣を置き、二人でリビングに降りるとユーカがグラスをテーブルに並べていた。ワインが何本か置かれている。
「地下にワインセラーが有るの、勝手に飲んでいいって言われているのよ」
ユーカはそう言って笑う、エミリーとリリィも二階から降りて来た。
「さあ、飲みましょう、お嬢さんたちも付き合ってね」
五人でソファーに座ってワインのボトルを開けた。
ユーカはワイングラスを傾けながら、この山荘を拠点にして、今まで行った魔人狩りの様子を説明した。
上空からの索敵は有効で、明日の魔人たちの位置もさほど変わらない事、この周辺の森は数百年前から魔人がよく出現する激戦地である事など。
皆は真剣にユーカの話に聞き入る、明日は三人娘の初めての実戦だ。
「ところでユーカはいつも何処にいるの?」
シンジがいつも疑問に思っていた事を口にした。
「クリストフの所か他の街に出張、空いている時はアーディーのオフィスに居るわ、私は北の出張所を手伝う事が多いわね」
「北に戦士は居るの?」
「剣士が三人だけね、後聖女が一人、ちょっと待ってて」
ユーカは立ちあがって、棚からメモとペンを取り戻って来て、簡単な地図を描いた。
「ほとんど留守だけど、ついでがあったら訪ねて」
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