新創生戦記「休学ニートのチートでハーレムな異世界ファンタジー」

川嶋マサヒロ

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第三十五話「三本の短剣」

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 アラン御推薦の武器屋にやって来た。以前話をした女の子用の短剣を購入する為と、シンジとしても第二都と呼ばれる、この街一番の武器屋に興味があったからだ。

 シンジとアランの仕事は休みで、エミリーだけの予定が合ったので三人で訪れたのだ。

 シンジは特別新しい武器が欲しかった訳ではない。今更、他の武器、弓矢などを使う気はなかった。

 店内は街一番の店と言うだけあって、かなりの広さで客の数も多かった。

「アランは弓矢を使った事はあるのか?」
「いえ、使った事はありません。使う戦士がいるとは聞いた事はありますが、実際、見た事はないですし……」

 確かに広い店内には弓が見当たらない。ショーケースの中に銃が何丁か展示してある。全て古いデザインの古典的なリボルバー拳銃だった。

「なあ、アラン。銃を使う戦士の話なんて聞いた事ある?」
「ないですね。魔雑魚用って事はないのでしょうけど、魔人に対して有効なのですかね?」

 三年前の皇都の戦いに銃を使う女の戦士いたが、さほど噂にはなっていないようだった。

 この街は平和が続いたせいか、多種多様な武器を使い、戦いを有利に進める、といった感覚がなくなっているようにシンジは感じた。

 アランのような剣士なら他の武器にもっと興味を持っても良さそうなものだが、彼は壁に掛けられている何本かの剣を、うっとりとした表情で眺めている。

「ねえ、シンジ。この剣って凄いの?」

 エミリーの質問はもっともだった。価値が分からなければアランの表情の意味も分からない。

「ああ、みな本物の戦士用の剣だね。こんなに沢山一度に見たのは初めてだよ……」
「へえーー、シンジの剣より凄い剣はあるの?」
「さあ、どうかな? 使う人との相性もあるし、何とも言えないなあ」
「ふーーん……」
「アラン、俺たちは短剣を見に行くよ」
「あっ、僕も行きます」

 今日は女子用の短剣を手に入れる目的にアランが付き合う、といった話なので一応、責任は果たすつもりのようだ。

 三人は短剣の売場に移動する。大小色とりどり、実用一辺倒から宝飾品のような様々な短剣が並んでいる。

「ずいぶん色々とあるんだなあ。護身用とは言ったけど、やっぱり装飾の要素は欠かせないかな?」
「レイチェルとリリィは、私とシンジに任せるって言っているけれど……」

 装飾とはいえ、やはり武器に対して女の子は消極的だ。

「そうだなあ、ユーカみたいにきらびやかなのはどうかな? あれはあれで魔人を倒せるほどの剣だけどね。これなんかはどうかな?」

 シンジは金に赤い細工が施された、三十センチほどの短剣を手に取った。

「長さはこの程度で充分だろう。力が上がれば小さな魔雑魚ぐらいなら処理出来るよ」
「うーーん、三人共赤い色で統一出来ればって考えていたのよね」

 赤はユーカの炎の色だ。シンジは短剣を棚に戻す。赤を基調とした短剣は他にも何本か棚に並んでいた。


「アラン、久しぶりだな」
「あっ、店長、御無沙汰してます」

 中年の男性に声を掛けられて、アランが挨拶を返す。

「短剣の売場にいるなんて珍しいね。お連れさん?」

 アランは聖女見習い用の、赤い短剣を三本探しに来たと説明した。

「短剣か……、なるほどね……」

 店主はエミリーを見た後、シンジと下げている剣を一瞥した。

「こっちに来てくれ」

 促されて三人は受付のカウンターに移動した。

「ちょっと、待っていてくれる?」

 店主は奥に入ると赤い三本の短剣を持ち戻って来る。

「これなんかどうかな?」

 カウンターに並べられた短剣に三人は魅入る。鞘は真っ赤な光沢を放ち、鍔は銀、同じく銀の柄には黄金の装飾が施されていた。ベルトに取り付ける為の、金色の金具も付いている。

「三本共に同じデザインで赤となると、今はこれしかないんだ」
「エミリー、手に取ってみて? いいですか?」
「勿論さ」

 店長は頷き、エミリーは手に取り短剣を抜く。片刃で刀身にも装飾が施されている。

「よく分からないけど、これにします」
「分かった。ポイントはどれくらいになりますか?」
「君もその三本を持つ聖女さんたちも戦うんだろ? ポイントはいらないよ」

 エミリーはこの短剣に納得し、シンジの問いに店長は無料だと返答する。

「しかし、聖女たちは見習いですが?」
「すぐに聖女と呼ばれるようになるよ」

 店長は肩をすくめる。様々な客と接してきた目で、エミリーをそう判断したようだった。

 エミリーは礼を言って、短剣をベルトに取り付け、シンジは残り二本を剣の反対に付ける。


 三人は再び剣の展示場所に向かった。

「この世界は使用できる戦士より、強力な剣の数の方が多いのかなあ?」
「どうでしょうか? 昔はどの街も今より激戦だったと聞いた事がありますが……」

 魔人の脅威にさらされなければ、人は剣を取らないものなのか、とシンジは思う。力があるのに戦いを選ばない人間もいるのかもしれない。平和な世界に銃が不要な理屈と同じなのだろう。

「アランはなぜ戦っているんだい?」
「僕は初めてこの世界に来た時、場所は森の中で……。いきなり魔人たちに襲われたんです」
「よく無事だったな」
「はい、丸腰で三日間逃げ回って街道に出たら、たまたま皇都に向かう戦士に出会ったんです。助けてもらって、この街まで一緒に来て剣士になりました」
「そうか……」
「一年前の話です」

 戦う動機としては十分だ。

「あの中の剣をどれかを使わせては貰えないのかな?」
「あれは戦士組合からの預かり物さ。私が勝手に誰かに渡したりは出来ないんだよ」

 振り向くと店長が立っていた。

「なるほど……」
「私もアランに使ってもらいたいんだけどね。ただアランならそのうち本当の自分の剣に巡り合えるさ」

 店主は肩をすくめ、アランは頷いた。
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