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独占欲2
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勇気を出して客室まで来たはいいものの、扉を何時開けたらいいのか分からない。部屋の中では求婚相手の娘と、父親が楽しそうに語っている声が聞こえる。
「今でも信じられませんわ。オーバン様がこんなにも素敵な大人になるなんて。他の方との縁談もありましたが、全て断りました。だって、私にはオーバン様がいるもの」
「娘もこう言っています。どうですか? オーバン様。あんな神子かどうかも分からぬ野良犬よりも、私の娘の方がいいでしょう? 身分は勿論、容姿もこのように整っておりますし、知識や教養、貴族としてのマナーも身に付けております」
すごく高慢な人達だ。自分こそがオーバン様に相応しいと思い込んでいる、勘違い女? って言うんだっけ。シルヴァン様も小さな声で「うわ」とドン引きしている。僕が「知っているんですか?」と聞いたら、「王立学園でオーバンをいじめていた貴族令嬢そのいち」と教えてくれた。そのいち、ってことは、他にもいじめっ子がいるってことだよね?
「オーバン様。私、王立学園の時から、ずっとオーバン様のことが好きだったのよ?」
「こんなにも一途で健気な私の娘を妻にできるのですから、オーバン様は幸せ者ですなあ。はっはっはっ!」
「オーバン様、この屋敷を案内してくれませんか? 近い将来、私も此処で過ごすようになるのですから、部屋を覚えておきたいんです」
勝手に話を進める親子に我慢の限界がきて、僕は勢いよく扉を開いて大きく息を吸った。
「オーバン様は僕の大切な人です! いじめっ子の貴女になんか、絶対に渡しません!」
「な! ク、クウ!? どうして貴方が此処に……」
驚くオーバン様にぎゅむ! と強く抱きついて、オーバン様をいじめていた貴族令嬢そのいちをキッと睨み付ける。金髪の巻き毛に、ローズピンクの瞳をした女の人は、確かに美人さんだ。胸を強調した真っ赤なドレスもすごく似合っている。でも、性格の悪さは隠せていない。
「な! だ、誰よ! アンタ! 私とオーバン様の邪魔をするなんて、非常識にも程があるわ!」
「非常識なのはそっちです! オーバン様は僕を選んでくれたんです! 僕がオーバン様の伴侶なんです! それなのに、僕からオーバン様を奪おうとするなんて最低です! 性格が悪いです!」
「な、なんですって!?」
「貴様! 一体何様のつもりだ!? 身分もないゴミクズが、貴族である私達に刃向かうと言うのか!?」
「おい。オーバン。何時まで幸せに浸ってんだ? お前の大切なクウが傷付いてもいいのか?」
「は! 嬉しすぎて気を失っていた。ありがとう、シルヴァン」
「お前なあ」
ぎゅむ、とオーバン様に強く抱きしめられる。顎に手を添えられて、そのまま口付けてきて、僕はさっきまでの怒りが消えてしまった。離れようとオーバン様の胸に手を置こうとしたら逆に握られてしまって、舌が口の中に侵入してくる。
「ん、ふぁ……オーバン、さ、だめ、ひとが、いるのに、んむ」
き、聞いてくれない!? 何度も何度も角度を変えられて、じゅるじゅる吸われて、苦しくて気を失いそうになる。漸く解放された頃には、僕はもう自分の足で立つことはできなくて、オーバン様に支えられている状態だった。ぅう。格好わるいよ。
「今でも信じられませんわ。オーバン様がこんなにも素敵な大人になるなんて。他の方との縁談もありましたが、全て断りました。だって、私にはオーバン様がいるもの」
「娘もこう言っています。どうですか? オーバン様。あんな神子かどうかも分からぬ野良犬よりも、私の娘の方がいいでしょう? 身分は勿論、容姿もこのように整っておりますし、知識や教養、貴族としてのマナーも身に付けております」
すごく高慢な人達だ。自分こそがオーバン様に相応しいと思い込んでいる、勘違い女? って言うんだっけ。シルヴァン様も小さな声で「うわ」とドン引きしている。僕が「知っているんですか?」と聞いたら、「王立学園でオーバンをいじめていた貴族令嬢そのいち」と教えてくれた。そのいち、ってことは、他にもいじめっ子がいるってことだよね?
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「こんなにも一途で健気な私の娘を妻にできるのですから、オーバン様は幸せ者ですなあ。はっはっはっ!」
「オーバン様、この屋敷を案内してくれませんか? 近い将来、私も此処で過ごすようになるのですから、部屋を覚えておきたいんです」
勝手に話を進める親子に我慢の限界がきて、僕は勢いよく扉を開いて大きく息を吸った。
「オーバン様は僕の大切な人です! いじめっ子の貴女になんか、絶対に渡しません!」
「な! ク、クウ!? どうして貴方が此処に……」
驚くオーバン様にぎゅむ! と強く抱きついて、オーバン様をいじめていた貴族令嬢そのいちをキッと睨み付ける。金髪の巻き毛に、ローズピンクの瞳をした女の人は、確かに美人さんだ。胸を強調した真っ赤なドレスもすごく似合っている。でも、性格の悪さは隠せていない。
「な! だ、誰よ! アンタ! 私とオーバン様の邪魔をするなんて、非常識にも程があるわ!」
「非常識なのはそっちです! オーバン様は僕を選んでくれたんです! 僕がオーバン様の伴侶なんです! それなのに、僕からオーバン様を奪おうとするなんて最低です! 性格が悪いです!」
「な、なんですって!?」
「貴様! 一体何様のつもりだ!? 身分もないゴミクズが、貴族である私達に刃向かうと言うのか!?」
「おい。オーバン。何時まで幸せに浸ってんだ? お前の大切なクウが傷付いてもいいのか?」
「は! 嬉しすぎて気を失っていた。ありがとう、シルヴァン」
「お前なあ」
ぎゅむ、とオーバン様に強く抱きしめられる。顎に手を添えられて、そのまま口付けてきて、僕はさっきまでの怒りが消えてしまった。離れようとオーバン様の胸に手を置こうとしたら逆に握られてしまって、舌が口の中に侵入してくる。
「ん、ふぁ……オーバン、さ、だめ、ひとが、いるのに、んむ」
き、聞いてくれない!? 何度も何度も角度を変えられて、じゅるじゅる吸われて、苦しくて気を失いそうになる。漸く解放された頃には、僕はもう自分の足で立つことはできなくて、オーバン様に支えられている状態だった。ぅう。格好わるいよ。
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