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37、急転
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学院では通常通りの授業が行われる中、ローダンセにロベリア達の部屋を見張らせたジニア達は場所を移して応接間の方に来ていた。
「……なんと言いますか……さすがは王家の別荘と言いますか……立派ですよねぇ」
気の抜けたように豪華絢爛な装飾を眺めながら部屋を物色しているのはミモザ。
興味津々に部屋を歩き回る彼女の後をただただ、ついて行くのはシオン。
そんな自由なふたりをよそに、ソファーに腰かけるジニアはため息をついて頭を悩ませた。
(カルミアの奇行は今に始まったことではないが……今回はそれとは別だった。ロベリア嬢も何かを知っているようだった。その上で黙秘した。……何が起きてるんだ?)
眉間に皺を寄せ、目付きが鋭くなっていくジニアにゼフィランサスが声をかける。
「ジニア殿下。目付きが鋭くなっていますよ。こちらは紅茶です。飲んで落ち着いてください」
自らの手で淹れた紅茶を差し出すと、ジニアは優しい香りにフッと笑みを浮かべた。
「ありがとう。いただくよ」
そう言って口にした紅茶は緊張した心を解してくれる。ほんのり香る花の香りは安らぎをもたらしてくれた。
そのままソファーに深く腰かけ、一息つく。
「……ねぇ、ゼフィランサス。君はどう思うんだい?」
「どう……とは?」
「彼女達のことさ。僕は彼女達が何かを隠していると思っている。それに恐らくはブルーベルもだ。彼女達の行動はその隠し事に関わることだと考えているんだよ」
足を組み膝の上で指を組んだジニアの横に後ろから顔を覗かせるように背もたれに持たれたシオンが「それって学院に広がる噂と関係ある感じか?」と、会話に割って入って来る。どうやらミモザについて回るのは止めたらしい。
「そうだね……。どうにも彼女達を取り巻く噂は妙なものが多い。証拠もなく犯人とする内容のものが多いからね」
「確かロベリア嬢って濡れ衣を晴らすって言ってたよな。犯人は自分で見つけるってさ。それって誰かが主犯になるように仕向けてるってことだよな。そんでそれもわかってるって感じだ」
シオンの言葉を聞いたゼフィランサスはある日のことを思い出す。
「そういえば……」
ふたりの令嬢がかつて話していたこと。ふいに思い出して耳元のピアスを触る。紫の丸い宝石が埋め込まれた星型のピアス。
「以前、ふたりが話していた事があります。ネリネ嬢の魔法について」
「……!!」
ゼフィランサスの放った言葉にジニアとシオンの表情が強ばった。
「以前、渡り廊下でカルミア達とネリネ嬢の間に衝突があった時、その時にはおふたりは、……いえ、ロベリア嬢はネリネ嬢の魔法について既に仮説を立てていらっしゃいました」
「!? それは本当かい?」
「何?じゃあ彼女は知ってたって言うのか?それなら何故、俺達に報告しなかったのさ?」
「さぁ……ただ、確証があったわけではないのだと思います。それに以前、ロベリア嬢の精霊であるブルーベルから加護付きのピアスを頂きましたが、医務室での一件では効果がありませんでした。それも魔核のせいだったと思いますが……」
顔を付き合わせて話している男達の会話を小耳には挟みながらミモザはふと窓の外を見る。窓ガラスに映る男達に視線を移す。
「……なるほどね……。実は僕もロベリア嬢にはその時のことは聞いているんだよね。ただ……魔法のことは言ってなかったな……。ああ、でも、僕達の行動がおかしくなった話は聞いた。それに加えてあの医務室での一件に……ネリネ嬢の魔法……ね。加えて魔核まで……」
(間違いない。カルミア達は僕達の知らない情報を持ってる)
頭が痛い気分になってきたジニアは再び紅茶を口にする。
「……やっぱり彼女達から話を聞いてみないといけないね」
ジニアが立ち上がるとシオンやゼフィランサスも続いて立ち上がり、ミモザもシオンの隣にやってくる。
「どこか行かれるのですか?」
「ああ、話を聞きに行くんだと思うぞ」
「けれど……話してくれるでしょうか?」
ぞろぞろと連れ立って部屋を出る。
ロベリア達がいる部屋に向かって歩き出してすぐくらいだった。
ガシャーーン!!
「!?」
屋敷のどこかで何かが割れる音がした。それもかなり大きな音だ。
「何だ!?」
「この音……あっちの方かな?」
「あっちの方角は……ロベリア嬢がいる部屋がある方です!」
音がした方角を確認した彼らはすぐさま走り出して現場へと向かった。
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