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西野清貴 サイド
最後の日 ③
しおりを挟む部屋がわかりやすいようにドアを開けて待ってくれてた。
篠崎の想像している理想の女性としての振る舞いをして部屋にあがる。
なるべく見られないように俯いていると大人しい女性と思ってくれたらしい。
もちろん、声は男だから一言も話せない。微笑むだけだ。
部屋を見回すと2日前とは違って、部屋の中はかなり荒れていた。
「ごめんね。汚くて、こんな美人が来るなら綺麗にしておけば良かった。」
顔を赤くして照れながら俺にクッションを勧めてくれた。
左右に首を振ってクッションに腰を降ろす。
篠崎ずっと一人だったのかな、それとも誰か来ていたのかな。
「お腹すいてない?カップラーメンならあるんだ。食べる?」
いらないよ、それは篠崎の貴重な食料だろ、俺になんかくれなくても良いんだよと首を横に振った。
「あー、そうだよね。いらないよね。」
俺が話せないから間が持たない。
大学の他愛も無い話をしてくれるのが嬉しくて、俺は笑って相槌を打つ。
なんて幸せなんだ。
「正直に言うと俺さ、一人で死んじゃうの少し寂しかったんだ。だから、貴女の足音が聞こえて来た時、思わず呼び止めちゃった。人生の最後がこんな不細工な男と一緒でごめんね。」
そんな事ない、そんな事ないよ。俺は篠崎といられることが幸せなんだよ。
一生懸命、首を振るとブチッ、カチッとウィッグから変な音がした。
えっ…嘘、まさか………留めていたピンが外れた?
案の定、ずるっと髪の毛が頭の動きとずれて動く。
正体がバレるっ!!
篠崎にわからないように急いでウィッグを直そうと頭をさぐっていると、背後のテレビが残り30分の警戒アラームを発した。
「っ!!」
間近で聞くと心臓が飛び出る程、凄い音に驚いてしまい篠崎に抱きつくとそのまま押し倒していた。
身体が密着しているから今度は別の意味で心臓がドキドキと早鐘を打つ。
篠崎の心臓の音も凄く早くドキドキと言っている。
――――あっ♡篠崎のペニスが♡
俺に欲情ドキドキしているの?
どうしよう、熱くて硬いペニスが腹に当たっている。したいよ。
でも…バレるのが怖い。
篠崎があやすように優しく髪を撫でてくれる。
「大丈夫だよ。俺が一緒にいてあげるよ。」
勃起していることに俺が気がついていないと思ってるんだ。
抱きたいのに、やせ我慢して、どんだけ優しいんだよ………
篠崎の胸から顔をあげて身体を起こした。
いつも自分のことは後回しで女の子に優しい…この格好いい男を瞳に焼き付ける。
好き…本当に………好きだ…
「……」
どちらともなく顔が近づいて自然にキスをしていた。
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