【R18】水底から君に、愛をこめて花束を。

蒼琉璃

文字の大きさ
27 / 30

二十六話 初夜②

しおりを挟む
「美雨。もう私は我慢できそうにない。貴女に触れ、貴女の温もりを感じたいのだ……。良いだろうか」

 美雨の可憐な桜貝のような女陰からゆっくりと指を抜くと、悪樓は切なく懇願した。魚の鱗のように冷たい肌をしている彼が、自分の肌の温もりを求めていることに、美雨は心の底から湧き上がる愛しさを感じた。
 彼は何十年、自分のことを待っていたのだろう。そして彼の肌を暖めることが出来るのは自分だけだ。
 それでいて悪樓の瞳の奥は、華奢な美雨を壊してしまいかねないという不安を宿している。
 愛しさのあまり幾度も抱いてしまえば、彼女の寿命を削ってしまうだろう。その葛藤かっとうが、また美雨への想いを募らせた。
 
「悪樓さん……。私なら大丈夫です。そんなに直ぐに壊れたりなんて、しないですから。私風邪だってめったに引かないし、けっこう強いですよ」
「ふふ、そうか。それではいよいよ、貴女と契りを交わそう。なるべく痛みを与えないようにするつもりだが、あまりに耐えられぬようであれば、無理せず言って欲しい」

 悪樓は柔らかく微笑むと、優しく囁いた。
 美雨の両足を開け、濡れた花弁に陰茎の先端を添える。彼の身長からして、性器は通常の人間よりも少し大きい。美雨に痛みを与えたくないのだが、何度経験しても初めの一手が緊張する。
 愛液を絡ませるように、陰裂を上下に辿る。
 美雨の花芽が、悪樓の陰茎の先端で擦られると、思わず快楽に甘く鳴いた。そして、解れた小さな膣口に、ぐっと陰茎を挿入していく。

「―――――ッッ、はっ………あっ、悪樓さっ……っ い、痛いっ……はっ」
「っ……美雨、大丈夫か。もう少しだけ我慢して欲しい。私の麻羅の全てが入れば馴染んでいくだろうから。愛している」

 破瓜の血が滲み、美雨の表情が体を引き裂くような痛みで歪む。けれどこの痛みは、お互いが、肉体的に繋がれた証拠でもある。
 未開の地をこじ開けるようにして、悪樓の陰茎が奥へ、奥へとゆっくりと進んでいくとようやく根元まで、しっかりと彼を迎え入れた。
 彼女を安心させるように、悪樓は覆い被さり抱きしめる。美雨は彼の首に腕を回し、高貴な香りに安堵しながら深呼吸した。
 じんじんとした痛みが消えるまで、お互いの肌の温もりを、確かめるように抱き合っていた。
 ひんやりとした悪樓の白い肌が、自分の体温で、まるで命の火が灯されたように温まっていくような感覚がする。こんなことを口にすれば、穂香に大げさだと笑われてしまうかもしれないが、大好きな人と繋がれたのが嬉しくて美雨の瞳に、自然と涙が溢れてきた。

「美雨、痛むか?」
「ううん。大丈夫です。嬉しくて……。やっと悪樓さんと一つになれたから」

 悪樓は美雨の額に優しく唇を落とした。そして互いの指を繋ぐと、お互いの体が馴染むまでじっと待つ。そして、美雨は悪樓の顔を真剣な眼差しで見ると、決意するように告げた。

「私、今度は必ず……悪樓さんの近くに生まれ変わってきます。貴方のことを忘れず、私たちの思い出も全部心に刻んで生まれ変わってくるから」
「――――美雨」
「私、祈りは必ず通じると思ってます。例え悪樓さんが『服ろわぬ神』でも、私は人間だから……。強く願えば、私の願いはいつか神様に届くんじゃないかって思ってます。だから私のこと信じていて下さい」

 前世でも、美雨は悪樓に同じことを口にしたのかもしれない。けれども悪樓は、美雨の言葉に切なく瞳を細めた。彼女の言う通り悪樓自身が、八百万の神々に許されない存在でも、美雨は人間の娘だ。彼女がこの島に来るまで、観光地や、地元で神社巡りをしていたのを、悪樓は知っていた。不思議な夢の謎を知りたくて、超自然的なものに惹かれていたようだが、無意識に彼女の魂がそうさせたのかもしれない。

「――――分かった。私は貴女の他に信じるものなどこの世にはない。美雨の誓いを、覚えておく」

 そう言って美雨に口付けた悪樓は、ゆっくりと体を動かす。膣内なかを蠢く陰茎が、狭い未開の地を開いていく。痛みを与えないよう、緩やかに前後に動くと美雨の愛液が、女陰から溢れてきた。

「はっ……はぁっ………んっ、悪樓さっ……はぁつ……んっ、あっ……あっ、好きですっ……やぁん……んっ、あっあっあ」
「美雨……はぁっ……。言葉で表せないほど、貴女を愛してる」

 悪樓は、優しく膣内なかを掻き混ぜていく。
 痛みは徐々に消えてゆき、緩やかな快感が押し寄せてくると、美雨の愛らしい嬌声が濡れた唇から漏れる。悪樓の太くて長い陰茎が、入口付近を捏ね回し、ぐっと奥まで優しく押し込むと、快感にわなわなと内股が震えた。
 舌を絡ませながら、深くピストン運動を繰り返され、美雨は堪らず、悪樓の背中に縋り付く。

「あっあっあっ、ひっ、あっ……んんっ、悪樓さっ、それ、気持ちいいですぅっ、んあっ、やぁんっ、あっ、はぁっ……んっ、あぅ」
「はっ、はぁ、美雨……っ、ようやく、二人、共に感じ合える。貴女の膣内なかは熱くてっ、はっ……堪らぬな……。私を奥に奥に誘おうとしていじらしく、愛しい」

 捏ね回し、突き上げる度に美雨の結合部から愛液が溢れた。他人の一部が、自分の膣内なかで動いている感覚は不思議だったが、まるでお互いが溶け合っているようで、心地が良い。
 悪樓は身を起こし、美雨の両足ごと抱え込んで屈曲させると、下から突き上げた。
 あまり深く挿入せず、それでいて花芽の裏をゴリゴリと刺激するので、美雨は腰をくねらせながら快楽に鳴いた。処女の美雨にとって、あまり負担が掛からずに、Gスポットを刺激され、快楽を感じられる体位だ。

「はっ、あ、やぁぁっ♡ 悪樓さんっ、あっ、あんっ、あんっ、気持ちいいっ、はっ、んっ、あっあっ、やぁ、奥に当たってっ気持ちいいですっ! ~~~~ッッ♡♡」
「私の嫁御寮は、本当にっ……感じやすい、私に告げる間もなくっ……達してしまったのか。ふふっ……では、もっと奥へ……はぁっ」

 悪樓は妖艶に微笑んだ。
 美雨の両足を、自分の肩にかけるとぐっと膣内なかに挿入した。慣らされた入口から更に奥へと入ってくると、美雨の目の裏で火花が散るような激しい快感を感じた。
 そのまま屈曲して、悪樓が腰をリズミカルに動かすと、美雨は頬を染め、涙ぐみながら与えられる快楽を享受して嬌声を上げる。
 悪樓の陰茎によって美雨の膣内なかは広がり、彼の形に合わせてしっとりと絡みついて収縮する。
 胸元で喘ぐ美雨の頭を優しく撫でながら、腰の動きを早めていくと、抜き差しされるたびに愛液が飛び散った。自分の肉体で感じる悪樓の表情を見ると、優越感と興奮でさらに快感が増したようだった。

「あっあっあっ、ふかぁいっ、だめっ、気持ちいいよぉっ、イクッ、はっ、あんっ、イクッ、ふぁぁっ、そんなに早くしたらイッちゃうっ、やぁぁんっ♡♡」
「はっ……愛らしいことを言う。そのようなことを口にすると、はっ……私の自制が効かなくなってしまうぞ。美雨、本当に貴女は……っ」

 肩に掛けていた両足を下ろして抱えると、今度は美雨の下半身に体重をかけ、プレスするようにして腰を動かした。悪樓は美雨の体に負担をかけないように緩急をつけ、気遣うように動く。
 腰をくねらせ、根元まで挿入し、ゆっくりとぐっ、ぐっと美雨の性感を刺激した。美雨の瞳から涙が弾け飛び、蕩けた美雨の表情を見ると、悪樓の理性がいとも簡単に消し去って、彼女を壊してしまいそうになる。

「やっやっ、んぁっ♡ だめぇっ、それっ気持ち良すぎてっ、んっ、あっ、はぁっ……♡ 悪樓さん、はぁっ♡ あっあっあ、もう、だめ、私また、イクッ、イッちゃう、やぁっ、あぁあ♡♡」
「はっ、私も……っ! 美雨の膣内なかに子種を注ぎたい、はっ……私に吸い付いて離れぬっ……はっ、美雨、どうか、受け止めてくれ」

 悪樓のピストン運動が激しくなり、抜き差しされる陰茎の隙間から愛液が飛び散ると、美雨の膣内なかはヒクヒクと卑猥に蠢き、とうとう、絶頂に達して神の子種を受け入れる。
 暖かな液体が膣から子宮に向けて放たれると、妙に満たされたような気持ちになった。
 萩原薫の小説を読んでも、華姫の生まれ変わりと夫婦になっても、子供を授かったという描写は無かった。
 服ろわぬ神のせいか、最愛の人の命を出産で削らせないためなのか、それは美雨には分からなかったが子供は産まれないのだろう。
 それは美雨も寂しく思うものの、彼の証が子宮に放たれるのは嬉しく、幸せな気持ちになった。
 二人の呼吸が整うと、ゆっくりと美雨の膣内なかから悪樓は陰茎を抜いて、彼女の花弁に残る残滓ざんしを、綺麗に拭き取る。

「無理をさせてしまったな、嫁御寮。貴女があまりにも初いから、夢中になってしまった」
「ふふ、私は大丈夫です。最初は少し痛かったけど、幸せな気持ちで一杯だもの。私は何も変わってないのに、なんだか少し大人になったような気分」
「そうだろうか。私は今の美雨が本当の貴女だと思う。長い間、貴女を誤解した人間からの心無い言葉や、他人の欲望に傷付いて、自分を押し殺していただろう?」

 美雨は腕枕をした悪樓の長い銀髪を指で絡めながら、低く甘い声に耳を傾け頬を染めた。いつからか人の目を恐れ、どんなことを言われても反論せずに頷き、他人に合わせて、笑顔の仮面をつけていた。
 美雨は自分の運命に向き合い、過去と決別し、ここで家族と離れて生きることを大人として決断した。悪樓への真剣な気持ちが、自分の殻を破ったのだろう。

「私と契りを交わす前から、貴女はちゃんと自分の生きる道を選んでいたのだ。私が選ばせたと自惚れておきたいが」
「悪樓さん……。私、幸せです。なんの悩みも迷いもありません。最期が来るその日まで後悔せず、貴方と幸せに生きていけるって信じてるから」
「美雨……もう、貴女を離しはせぬ」

 美雨と悪樓はそう言うと、朝まで互いを抱きしめあった。 


 ――――小嶌には古来より言い伝えがある。
 吉備穴戸神と嫁御寮が、無事に初夜を過ごすと、決まって豊漁となりその年の収穫は例外なく、豊作になるという。
 
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました

せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~ 救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。 どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。 乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。 受け取ろうとすると邪魔だと言われる。 そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。 医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。 最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇ 作品はフィクションです。 本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

秘密の館の主に囚われて 〜彼は姉の婚約者〜

七転び八起き
恋愛
伯爵令嬢のユミリアと、姉の婚約者の公爵令息カリウスの禁断のラブロマンス。 主人公のユミリアは、友人のソフィアと行った秘密の夜会で、姉の婚約者のカウリスと再会する。 カウリスの秘密を知ったユミリアは、だんだんと彼に日常を侵食され始める。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...