【完結】異世界に転生した悪役令嬢(役)の私が道端で助けたチートスキル持ちの病弱王子に婚約を求められてます

水仙麗

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27話 トレイターの真実《others side story》

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招かれざる客の訪れが刻一刻と迫っていた。準備を終えたトレイターとビトレが度の準備を終え、衛兵たちは戸惑いながらも彼らを見送ろうとしている。


「んじゃ、行ってくるわ」


トレイターの軽々しい口調はいつか反感を買いそうなくらい無責任で中には苛立ちを感じ始めた衛兵もいる。


「その間、我々はどうすれば…」


痺れを切らした衛兵の一人が既にリゾート地へと一歩進めていたトレイターとその小動物に歩み寄った。彼らは一斉に振り向き、冷たい視線で一人を見下し、口を閉じろと手で示した。


「は、はぁ…」


衛兵は不屈そうに後ろに尋ねる戻ってまた、一人と一匹を見送る列に戻った。


「ねーねー、アリシア行きの機関車っていつ発車?」


ビトレはさっきとは全く違った顔でしっぽを振ってトレイターに尋ねた。


「まー、分からいないけどなんとかなるっしょ」


片田舎の診療所を抜け、彼らは近くの駅を目指し、歩き始めた。ここから駅までは徒歩十五分。


「てか、あの二人どこいったんだかねぇ」


トレイターはきっと衛兵たちが聞きたかった言葉をもふもふの前でやっと口にした。いくら無責任そうで軽い彼も重荷を感じていたようで、だからこそ適当なリゾート地へ遊びに行くなんて暴挙にでたのだろう。


「もしかしたら、ぱったり会えたりして」


ビトレはまだお気軽なことを言うが、よく良く考えればこれからバカンスの人が国の中でもトップでまずいことを悩んでいる方が滑稽かもしれない。


「ならいいんだけどね」


トレイターは話しても無駄だと気づいたようで、バカンスに気持ちを切り替えた。そうでもしてないとこの職を何年も続けられてはないだろう。


まず、トレイターはリアムの教育係として幼い頃から付きっきりで躾をしてきた。貧しい家に生まれた彼は一生懸命に勉強し、やっとの事で医者として働き、まだ成人して間もない彼にとって、侍医としてのチャンスが回ってきたことは偶然中の偶然だった。だが、表向きには侍医や教育係であるが、本当の仕事の意味は違った。


それは、この国の国王の内通者を引き受けるということだった。彼だって知っている。今の国王は本物ではないことを。そしてリアムこそが本当の王族だと。


でも、彼は偽物の国王に従った。そうすれば仕事は手に入る。貧しい思いをせずに済む。もう自分は王族直属の医者で、なんだって出来ると思った。だが、これも違った。


彼が手に入れたのは多額の報酬なんかではなくて田舎の小さな小屋のような診療所と少しの衛兵、謎のもふもふだけだった。


謎のもふもふには国からの命令と言われて上から目線で接されて、衛兵はこき使ったりして。オマケにガキの世話と来れば彼にとっては地獄の日々だった。


どうしても働くことは必要なので仕方なく街の診療所を偽って営業した。こうすれば老人や地域の子供の世話をすれば金は入った。それなりの生活は出来るようにまでなった。


こうなるくらいなら最初から自分で働いて、診療所を持てるくらいになれば良かったと何度も後悔した。だけど、一度犯した罪は消えない。今後もリアムや友達、国民を全ての仲間を騙しながら生きなければならないのだ。自分が嫌になったとしても契約は取り消されない。


「なあ、オレちょっと弁当買ってくるわ」


彼らは駅に着いた。機関車の発車まで三十分ほどある。トレイターは待合室の席から立ち上がりフラリと一人、駅の売店へ向かった。


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