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ストーカー、神使として頑張る②
しおりを挟む挙句、床に転がってスンスンすすり泣きを始めた。乙女か。むしろ幼女なんか、貴様ら。
戦意喪失したボンボントリオの周囲に出来上がる家庭内害虫系の群れ。
じりじりと捕食されそうなほど近づいていく。
ゴキブリって共食い上等なほど食欲旺盛なんだよな……リアリティを追求しすぎたかな?
バシィンと尻尾で握ったハエたたきでGどもを叩き殺す。
デカすぎたのか? じゃあハーフサイズからスタートだ。その分、量は増やすが。
また絶叫が上がった。
悪夢のブートキャンプにより騎士ボンボンは何か魔法剣みたいなのが使えるようになり、宰相ボンボンはそれなりに魔法が使えるようになり、マセガキ王子は他人と信頼して連携することを覚えた。
G退治ができるようになるころには、あのボンボントリオには謎の連帯感と友情が芽生えていた。
いや、お前らでっけーGに追い回されてただけやん。
まあ、神様からの試練的なギフトを贈呈してやろう。一応試練はクリアだし。
虫で繋がれた友情かぁ。
あ、あいつら失禁してるわ。やべえ、リアルのベッドも湿った歪な世界地図が出来上がってらぁ。
根性なってねーな。
我が愛する推しはお母様が毒殺されても、泣く間を惜しんで双子を守っていたんだぞ。周りがどんどん裏切っていく中、辛い思いを耐えてお兄ちゃんをしていた推し。
推し……やっぱり推しは幸せになって欲しい。
なので、やっぱりこのボンボントリオはシバきまくり、鍛え上げる。
温室でぬくぬく育ったのがムカつくとか思ってない。
図体と一緒に育ったその鼻っ柱をへし折って丸めて折りたたみたいと考えてないゾ。
ホントだヨ?
未成年ということを加味し、温情として起きている間はノータッチだ。奴らが時々、パパやママたちに泣きついてヒンヒン泣いているのは知っている。殺されるって言ってやがる。ひでーな、名誉棄損。殺さない程度の情はある。
私のことを悪魔とかほざいているが、違う。私、神使。
なんで先輩といい、あのハイソサエティークソガキどもといい悪魔や邪神扱いするんだ。
いいもん。神様はみてたし!
『なんか色々やりすぎだし、間違っているし、極大の黒歴史増産機になっているけれど努力は認めるよー』
どういうことだ!?
アヤネコの善意溢れる労働げふんご奉仕なのに!!
アイツらめきめき力をつけてるよ!
ニチアサマスコット先輩だって頷いている!
「そりゃ必死だもん。死に物狂いだもん。悪夢から逃げたくて」
なんだそりゃ。ちょっとスパイシーで刺激的か夢かもしれないが、メンタルは鍛えられるし肉体も鍛えられるし、でも怪我はしないというオールオッケーな修行法だろう!
……確かに推しを見つめることのできない生活にむしゃくしゃしてちょっと八つ当たりしたかもしれない。だが、可愛いもんだろう。解せぬ。
ムカつくからそこの国でこっそりガルシア帝国と内通している公爵とその一家が、ボンボントリオにGに見えるようにした。
権力を笠に着まくった滅茶苦茶高慢チキチキレースなご家族だから、近づかれるとあれだしね。
結果。
婚約者を決める予定だったのが大破綻。
お茶会で泣き叫ぶ王子、発狂する宰相子息、失神する騎士坊ちゃん(こいつも貴族)。
名家のロイヤル&ノーブルの継嗣たちが一斉に拒絶。周りはあまりの凄まじい反応に戸惑った。ボンボントリオの無礼を謝るべきかと思う反面、(一応は)未来を有望視される小さな貴公子たちのあまりの状態に疑いの目がGな公爵家にもかかる。
阿鼻叫喚にお偉い様方大集合。国家の魔法とか政治などのトップをかき集め首脳会議となった。
「……もしや、なにか精神干渉の魔法を使用したのでは?」
「あの凄まじい反応……もしや精神支配でもしようとし、抵抗したのか?」
「あそこには近い年頃の令嬢がいる。魅了系では?」
「かの王子殿下もそうだが、公爵子息も伯爵子息も同年代とは一線を画した能力を御持ちだ」
「ええ、騎士団でも特にここ数か月の能力の向上ぶりは目覚ましいといっていた」
「宰相のご子息ももともと優秀だったが今までにない程、勉強に熱心に取り組んでいたと……」
「王子も鬼気迫る勢いで、剣術にも魔法にも打ち込んでいたと聞きます。あと悪魔祓いの本や聖書をお読みになることが増えたと」
「もしや公爵家は悪魔と契約を!?」
「それは禁忌ですぞ! あれらは莫大な力を与えまするが……」
結論、監視の目が厳しくなったG公爵家は内通がバレて、スッパ抜かれた。
あと、あれ以来王子たちがやたら虫系の魔物を目の敵にするようになったらしい。
冒険者や騎士など、魔物討伐をしている下っ端の立場の人たちにも敬意の念を持ち、大分大らかになったそうだ。
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