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淑女期~そして始まる、運命の時~
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ジルベルトの見舞いに行ってからというもの、ミーティアは呆けることが多かった。
今日も授業中にポケっとしていたところをジェファーソン先生にあてられ、つっかえつっかえ答えたところだ。このままではいけない、奨学金を打ち切られる、と姿勢を正して授業に集中していたが、ちょっと油断すると、あのジルベルトの破壊力抜群の微笑が浮かんでくる。
(駄目だわ、こんなことでは、日常生活にも支障が出てしまう……)
耐性が極端に低いミーティアが、あの笑顔を見てしまったのは失態だった。あれが自分に向けられたのだと思うと、オルヴェノクの屋敷から戻った日はほとんど眠ることが出来なかった。
(無自覚にもほどがあるわ、あんな顔を見せられたら大抵の令嬢は暗黒面に堕ちてしまうでしょうよ。あれは魔王の微笑みだわ、きっとそうに違いない!)
……散々な言われようである。
そんな状態だったため、まもなく始まる試験週間に向けての勉強など、ほとんど手が付かなかった。お陰でミコト時代に習得した奥義『一夜漬け』を駆使する羽目になり、最終日のダンスの実技試験の時はかなりフラフラだった。
(これが終われば寝られる……頑張れ、私!)
この時代にユン〇ルか眠〇打破があったなら、いいえ、いっそ開発しようかしらと半ば本気で思っていたぐらいに疲れていたから、すっかり油断していた。
実技試験のダンスに王子が参加していたことなど、全く気が付かないぐらいに、ミーティアは周りのことが全く見えていなかった。
クラリス先生に呼ばれて、ホールの真ん中辺りまでやってきて、ようやくパートナーが王子だと気づく。
「げ……」
ミーティアの小さな声が王子に届いたかどうかわからないが、無表情は相変わらずだった。
「では、皆さん、ホールド!」
クラリス先生の掛け声で、各々ホールド姿勢を取る。室内楽団が軽やかな音楽を奏で始め、最初のステップを踏み出した。
ダンス・クラブに所属するようになって、前ほど酷くはないが、それでも時々、ステップを間違えてしまう。その点、ダンス・クラブでパートナーとなる男子生徒は慣れていて、巧みなリードで上手く誤魔化してくれるが、王子は練習していないのか、あまりリードが上手くないようだ。
それでもなんとか、足を踏まずに踊ることが出来てミーティアはほっと息を吐く。
「まぁまぁだな」
膝を折って王子に挨拶をすると、ぼそっと王子が呟いた。
ミーティアはほんの一瞬、眉を顰めそうになったが、顔の筋肉を総動員してなんとか口角を上げて頭を下げる。
王女殿下に扱かれてしまえ、この腹黒め、と内心思ってはいたが。
ようやく全ての試験日程が終わり、これから二か月の長い休みに入る。
ミーティアとロビンは明日、領地へ向けて出発する予定になっているから、早く寮の自室へ向かわなければ、とミーティアは急いで東階段を上っていた。
もう無理、死ぬ……とブツブツ呟きながら。
*****
薔薇の館の少女の部屋では、家庭教師がマナーレッスンを施していた。この頃の少女は従順になっていて、ガウニーは満足げな表情を浮かべることが多くなっていた。
ガウニーの話を信じているかどうかはわからないが、少女は大人しくマナーレッスンや勉強にも励んでいる。
ガウニーは少女に、生き別れた父であると告げた。そして少女の出自にまつわる話を聞かせてやると、思うところがあったのか、部屋の外に出ても逃げる素振りを見せなくなった。
もちろん、少女に付けた侍女には監視を怠らせたことはないが。
ーーー少女を自室に呼んだガウニーは、新しい名を授けてやった。
「お前の名はロザリー。今日からロザリーと名乗るのだ」
「はい、お父様」
ガウニーは目を細めて、ロザリーの所作を見つめていた。
彼女は、育てた母親(育ての親は元女官だろう)から、ある程度の教育は受けていたようだった。この様子なら、成人になる前に学園に入れることが出来るかもしれない。
ガウニーとローズマリーが出会った、あの学園にーーー。
昔、ファランダールと隣国との関係が、今ほど微妙ではなかった頃。
ローズマリーは留学生として、学園にやってきた。陶器のように滑らかな白い肌にルビーを嵌めこんだような紅い瞳、そして何より、皆の目を惹いたのは、その美しい薄薔薇色の髪だった。
薄薔薇色の髪はこの国にはない色だ、その類まれな美貌と相まって、学園に通っている数多の貴族令息は彼女に恋い焦がれた。
ガウニーもその一人。
その美しい少女は、美貌だけでなく、その才覚も素晴らしかった。いつしか、学園の人々は彼女をこう呼んだ。
『麗しの薔薇姫』と。
すでに父が身罷っていたガウニーは、若き伯爵家当主だった。彼は彼女に毎日、一輪の薔薇を捧げた。最初のうちは警戒していたローズマリーも、ただ薔薇を渡しに来るだけの青年に興味を持ったのだろう。
少しずつ打ち解けるようになり、中庭でお茶を飲み、雑談をするようになった。
若かりし頃のガウニーは、黒髪に黄金の瞳、涼やかな目元に形の良い唇を持ち、ご令嬢からの誘いが絶えない美しい青年だったが、ローズマリーと出会ってからは、他の令嬢の誘いは全て断り、ローズマリーだけをその瞳に映していた。
ガウニーがローズマリーに懸想している、と噂が立っていたが、ガウニーは気にしていなかった。彼女は隣国の侯爵家の娘だったが、マロリス伯爵家も七賢者のうち一人を始祖に持つ、由緒ある家柄だ。建国の頃には王族から妻を娶ることもあったというから、家格が合わないということもないだろう。
何より、自分とローズマリーは愛し合っているのだから。
ガウニーは、そう思っていたーーー。
*****
父だと名乗ったあの男の話、全てを信じた訳ではないが、確かに辻褄が合う部分もある。
ロザリーは困惑していた。
母が言うには、ロザリーが幼い頃に父が死んで、母子は国を転々としていたが、やっと腰を落ち着けて家を構え、育てた花を売ることを生業にしたのは、ロザリーが六歳の頃だった。
幼い頃の細かい記憶は曖昧なことも多くてあまり覚えていないが、王宮から遠く離れた、西の国との国境に近い森に家を構えていた。
西の国との国境に近いあの村は、国内でも比較的温暖な地域だったから、花々の産地でもあったのだ。そこに母はロザリーを連れて、遠い親戚を頼って移住した。
だが、父は言う。
生みの母と引き裂かれ、ロザリーが生まれていたことも知らず、ずっと探していたのだと。
一緒に住んでいた母とは似ても似つかない髪と瞳。父の顔は知らないし、母も話したがらなかったから、あまり聞いてはいけないのだと、聞かずにきてしまっていた。
父の部屋に飾ってある肖像画の数々、美しいが髪色のせいかふんわりと優し気な印象の婦人が、私の母だというのだ。
「確かに、髪色は一緒よね」
ロザリーは鏡に映った自分の顔と髪を眺める。その髪は薄薔薇色で白い肌、瞳は父と同じ黄金色ーーー。やはり、父なのだろうか、そうでなければ平民である私に、こんな立派な部屋を与え、淑女教育をすることもないだろう。
「そうなると、やっぱり娘で間違いないのかしら……。だとしても、私にとっての母さんは、あの人だけだわ」
肖像画に描かれた母だと言われた婦人を見ても、何の感慨も浮かばなかった。
ロザリーの母は、いつも笑顔で美味しいスープを作ってくれ、花の苗を大切に植えて手入れをし、いつも泥だらけで、それでも美しい花々が咲いた時には、とても嬉しそうな顔をしていた。
そう、私にとって、母さんは一人ーーーロザリーは、今日も母を思って神に祈りを捧げていた。
*****
ロビンと共に領地へ戻ったミーティアは、グロリアの許可を取ってからニールに挨拶をするべく、ニールの部屋へ向かった。
母の話によると、少しずつ顔色も良くなり、体力も戻ってきているらしい。
扉をノックすると、入室許可の返事が聞こえたので、ロビンと共に部屋へ入る。居室を通り過ぎ、寝室へ向かうと父の姿が飛び込んできた。
「よく帰ってきたね、二人とも」
この間見た時は眠っていたので、起きている父に会うのは何年ぶりだろうか。
父は寝室のベッドの枕を背に当てて起き上がっていたが、厚みがあったはずの身体は薄くなって、だいぶ老け込んだように見える。
「お父さま!起きていて大丈夫なのですか?」
ロビンが駆け寄って父の手を取ると、父は嬉しそうに目を細めた。
「ウィリアム、しばらく見ないうちに大きくなったなぁ……ミーティアも、立派なレディだね」
「お父さま……」
ミーティアの瞳が潤む、家族を放って出て行った父だが、これは怒りの涙なのか、再会の涙なのか、自分でもよくわからない。
「すまなかったね、君たちにも苦労をかけて」
ロビンの頭を一撫ですると、ミーティアにも傍に来るように促す。
「お父さま、借金は全て完済出来ましたが、これからは貯蓄に励まねばなりません。しばらくはお父さまにも我慢していただきますから」
ミーティアの硬い声を聞き、父は眉を下げて申し訳なさそうな顔をした。
「グロリアを支えてくれて、ありがとう、ミーティア」
その目に涙が光っている。
泣いて済めば警察いらねーんだよ!とか。
借金こさえた本人、とっつかまえろ!とか。
言いたいことはたくさんあったはずなのに、ミーティアは何も言えなかった。
痩せて骨ばった手が、ミーティアの手を取った時、ミーティアの瞳から涙が一粒、転がり落ちた。
今日も授業中にポケっとしていたところをジェファーソン先生にあてられ、つっかえつっかえ答えたところだ。このままではいけない、奨学金を打ち切られる、と姿勢を正して授業に集中していたが、ちょっと油断すると、あのジルベルトの破壊力抜群の微笑が浮かんでくる。
(駄目だわ、こんなことでは、日常生活にも支障が出てしまう……)
耐性が極端に低いミーティアが、あの笑顔を見てしまったのは失態だった。あれが自分に向けられたのだと思うと、オルヴェノクの屋敷から戻った日はほとんど眠ることが出来なかった。
(無自覚にもほどがあるわ、あんな顔を見せられたら大抵の令嬢は暗黒面に堕ちてしまうでしょうよ。あれは魔王の微笑みだわ、きっとそうに違いない!)
……散々な言われようである。
そんな状態だったため、まもなく始まる試験週間に向けての勉強など、ほとんど手が付かなかった。お陰でミコト時代に習得した奥義『一夜漬け』を駆使する羽目になり、最終日のダンスの実技試験の時はかなりフラフラだった。
(これが終われば寝られる……頑張れ、私!)
この時代にユン〇ルか眠〇打破があったなら、いいえ、いっそ開発しようかしらと半ば本気で思っていたぐらいに疲れていたから、すっかり油断していた。
実技試験のダンスに王子が参加していたことなど、全く気が付かないぐらいに、ミーティアは周りのことが全く見えていなかった。
クラリス先生に呼ばれて、ホールの真ん中辺りまでやってきて、ようやくパートナーが王子だと気づく。
「げ……」
ミーティアの小さな声が王子に届いたかどうかわからないが、無表情は相変わらずだった。
「では、皆さん、ホールド!」
クラリス先生の掛け声で、各々ホールド姿勢を取る。室内楽団が軽やかな音楽を奏で始め、最初のステップを踏み出した。
ダンス・クラブに所属するようになって、前ほど酷くはないが、それでも時々、ステップを間違えてしまう。その点、ダンス・クラブでパートナーとなる男子生徒は慣れていて、巧みなリードで上手く誤魔化してくれるが、王子は練習していないのか、あまりリードが上手くないようだ。
それでもなんとか、足を踏まずに踊ることが出来てミーティアはほっと息を吐く。
「まぁまぁだな」
膝を折って王子に挨拶をすると、ぼそっと王子が呟いた。
ミーティアはほんの一瞬、眉を顰めそうになったが、顔の筋肉を総動員してなんとか口角を上げて頭を下げる。
王女殿下に扱かれてしまえ、この腹黒め、と内心思ってはいたが。
ようやく全ての試験日程が終わり、これから二か月の長い休みに入る。
ミーティアとロビンは明日、領地へ向けて出発する予定になっているから、早く寮の自室へ向かわなければ、とミーティアは急いで東階段を上っていた。
もう無理、死ぬ……とブツブツ呟きながら。
*****
薔薇の館の少女の部屋では、家庭教師がマナーレッスンを施していた。この頃の少女は従順になっていて、ガウニーは満足げな表情を浮かべることが多くなっていた。
ガウニーの話を信じているかどうかはわからないが、少女は大人しくマナーレッスンや勉強にも励んでいる。
ガウニーは少女に、生き別れた父であると告げた。そして少女の出自にまつわる話を聞かせてやると、思うところがあったのか、部屋の外に出ても逃げる素振りを見せなくなった。
もちろん、少女に付けた侍女には監視を怠らせたことはないが。
ーーー少女を自室に呼んだガウニーは、新しい名を授けてやった。
「お前の名はロザリー。今日からロザリーと名乗るのだ」
「はい、お父様」
ガウニーは目を細めて、ロザリーの所作を見つめていた。
彼女は、育てた母親(育ての親は元女官だろう)から、ある程度の教育は受けていたようだった。この様子なら、成人になる前に学園に入れることが出来るかもしれない。
ガウニーとローズマリーが出会った、あの学園にーーー。
昔、ファランダールと隣国との関係が、今ほど微妙ではなかった頃。
ローズマリーは留学生として、学園にやってきた。陶器のように滑らかな白い肌にルビーを嵌めこんだような紅い瞳、そして何より、皆の目を惹いたのは、その美しい薄薔薇色の髪だった。
薄薔薇色の髪はこの国にはない色だ、その類まれな美貌と相まって、学園に通っている数多の貴族令息は彼女に恋い焦がれた。
ガウニーもその一人。
その美しい少女は、美貌だけでなく、その才覚も素晴らしかった。いつしか、学園の人々は彼女をこう呼んだ。
『麗しの薔薇姫』と。
すでに父が身罷っていたガウニーは、若き伯爵家当主だった。彼は彼女に毎日、一輪の薔薇を捧げた。最初のうちは警戒していたローズマリーも、ただ薔薇を渡しに来るだけの青年に興味を持ったのだろう。
少しずつ打ち解けるようになり、中庭でお茶を飲み、雑談をするようになった。
若かりし頃のガウニーは、黒髪に黄金の瞳、涼やかな目元に形の良い唇を持ち、ご令嬢からの誘いが絶えない美しい青年だったが、ローズマリーと出会ってからは、他の令嬢の誘いは全て断り、ローズマリーだけをその瞳に映していた。
ガウニーがローズマリーに懸想している、と噂が立っていたが、ガウニーは気にしていなかった。彼女は隣国の侯爵家の娘だったが、マロリス伯爵家も七賢者のうち一人を始祖に持つ、由緒ある家柄だ。建国の頃には王族から妻を娶ることもあったというから、家格が合わないということもないだろう。
何より、自分とローズマリーは愛し合っているのだから。
ガウニーは、そう思っていたーーー。
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父だと名乗ったあの男の話、全てを信じた訳ではないが、確かに辻褄が合う部分もある。
ロザリーは困惑していた。
母が言うには、ロザリーが幼い頃に父が死んで、母子は国を転々としていたが、やっと腰を落ち着けて家を構え、育てた花を売ることを生業にしたのは、ロザリーが六歳の頃だった。
幼い頃の細かい記憶は曖昧なことも多くてあまり覚えていないが、王宮から遠く離れた、西の国との国境に近い森に家を構えていた。
西の国との国境に近いあの村は、国内でも比較的温暖な地域だったから、花々の産地でもあったのだ。そこに母はロザリーを連れて、遠い親戚を頼って移住した。
だが、父は言う。
生みの母と引き裂かれ、ロザリーが生まれていたことも知らず、ずっと探していたのだと。
一緒に住んでいた母とは似ても似つかない髪と瞳。父の顔は知らないし、母も話したがらなかったから、あまり聞いてはいけないのだと、聞かずにきてしまっていた。
父の部屋に飾ってある肖像画の数々、美しいが髪色のせいかふんわりと優し気な印象の婦人が、私の母だというのだ。
「確かに、髪色は一緒よね」
ロザリーは鏡に映った自分の顔と髪を眺める。その髪は薄薔薇色で白い肌、瞳は父と同じ黄金色ーーー。やはり、父なのだろうか、そうでなければ平民である私に、こんな立派な部屋を与え、淑女教育をすることもないだろう。
「そうなると、やっぱり娘で間違いないのかしら……。だとしても、私にとっての母さんは、あの人だけだわ」
肖像画に描かれた母だと言われた婦人を見ても、何の感慨も浮かばなかった。
ロザリーの母は、いつも笑顔で美味しいスープを作ってくれ、花の苗を大切に植えて手入れをし、いつも泥だらけで、それでも美しい花々が咲いた時には、とても嬉しそうな顔をしていた。
そう、私にとって、母さんは一人ーーーロザリーは、今日も母を思って神に祈りを捧げていた。
*****
ロビンと共に領地へ戻ったミーティアは、グロリアの許可を取ってからニールに挨拶をするべく、ニールの部屋へ向かった。
母の話によると、少しずつ顔色も良くなり、体力も戻ってきているらしい。
扉をノックすると、入室許可の返事が聞こえたので、ロビンと共に部屋へ入る。居室を通り過ぎ、寝室へ向かうと父の姿が飛び込んできた。
「よく帰ってきたね、二人とも」
この間見た時は眠っていたので、起きている父に会うのは何年ぶりだろうか。
父は寝室のベッドの枕を背に当てて起き上がっていたが、厚みがあったはずの身体は薄くなって、だいぶ老け込んだように見える。
「お父さま!起きていて大丈夫なのですか?」
ロビンが駆け寄って父の手を取ると、父は嬉しそうに目を細めた。
「ウィリアム、しばらく見ないうちに大きくなったなぁ……ミーティアも、立派なレディだね」
「お父さま……」
ミーティアの瞳が潤む、家族を放って出て行った父だが、これは怒りの涙なのか、再会の涙なのか、自分でもよくわからない。
「すまなかったね、君たちにも苦労をかけて」
ロビンの頭を一撫ですると、ミーティアにも傍に来るように促す。
「お父さま、借金は全て完済出来ましたが、これからは貯蓄に励まねばなりません。しばらくはお父さまにも我慢していただきますから」
ミーティアの硬い声を聞き、父は眉を下げて申し訳なさそうな顔をした。
「グロリアを支えてくれて、ありがとう、ミーティア」
その目に涙が光っている。
泣いて済めば警察いらねーんだよ!とか。
借金こさえた本人、とっつかまえろ!とか。
言いたいことはたくさんあったはずなのに、ミーティアは何も言えなかった。
痩せて骨ばった手が、ミーティアの手を取った時、ミーティアの瞳から涙が一粒、転がり落ちた。
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続きを読みたいです!!再開を願っております。