この広い世界で2人は出逢う

月風 夜闇

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1話 新しいクラスと2人の出逢い

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  「ではこれから始業式なので皆さん出席番号順に並んで、体育館へ向かって下さい。」
学年主任の宮下先生がそう言うと、他の先生達が生徒達を並ばせていく。
私、篠宮彩夏しのみやあやかも自分のクラスの方に向かって歩いて行く。
「あれ?もしかして彩夏も6組?」
並ぼうとしていた私に声をかけて来たのは、去年同じクラスだった木村湖都嶺きむらことねだった。
「うん、そうだよ。湖都嶺も6組?」
「そうそう!彩夏が居てくれて助かったよ~!仲良い子居なかったらどうしようかと思ってたんだ~!」
そんなことを話しながら私達は自分の場所に並んだ。
「あれ!?辰馬じゃん!」
湖都嶺が私の前に立っていた男子生徒に声をかける。
「湖都嶺も6組なのか?」
辰馬と呼ばれた男子生徒が湖都嶺に質問する。
「そうだよ~。あっ彩夏!これは黒峯辰馬。小学校同じだったの!辰馬!こっちは篠宮彩夏。去年同じクラスだったんだ!」
黒峯君は、こっちを見て「よろしくね、篠宮さん。」と言った。
黒峯君は背が高くて大人っぽい印象だった。
「こちらこそよろしく、黒峯君。」
そう返事すると、「あっ気軽に辰馬って呼んでくれていいよ。」と言ってくれた。
何か言わないと…と思った私は、
「私のことも彩夏って呼んで!」と言った
すると湖都嶺がニヤニヤしながら近付いてきて、
「もしかしてもう辰馬に惚れちゃった感じ?」
と聞いてきた。
私がなんと答えようか迷っていると
「じゃあ1組から体育館に入っていけー!」
という宮下先生の声が聞こえた。


  まさか担任が神城先生になるなんて…俺、黒峯辰馬くろみねたつまはもう一度去年のクラスに戻りたいなと思いながら神城先生の話を聞き流していた。
クラス替え発表の後各体育館での始業式で、各クラスの担任が発表された。
俺のクラスである6組は、学校一怖いと有名な神城先生だった。
神城先生は早速こそこそと喋っていた男子達を叱っている。
新しいクラスには俺の仲の良い友達ダチが一人もいなかった。さっさとこの一年終わんねぇかなぁ~なんて事を考えていたその時だった。
「辰馬君!プリント来てるよ!」
と後ろの席の篠宮彩夏に声をかけられた。
彩夏は、始業式の前に湖都嶺に紹介されて少し喋っていた。おとなしそうで地味な印象だけど、喋ってみると結構明るい子だなぁと思っていた。
「辰馬君?聞いてる?」
「あぁ、ごめんごめん!すぐ回す!」
そう言って机の上に溜まっていたプリントを後ろに回していく。
「ボーッとしてたけど大丈夫?体調悪くない?」
そう言って彩夏は俺のことを心配してくれる。
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
と返事をすると、
「こんなの大したことないよ。」と言って彩夏が笑う。
その笑顔に俺は少しドキッとしてしまった。
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