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第二次ミッドウェー海戦
第34話 戦力の割り振り
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瑞雲隊指揮官から「我、奇襲ニ成功セリ」の報を受けてからしばし。
全体指揮を委ねられている第三艦隊司令長官の小沢中将は夜も明けきらないうちから索敵機の発進を命じた。
索敵第一陣として第三艦隊の「赤城」と「加賀」からそれぞれ九機、それに第四艦隊の「飛龍」と「蒼龍」からこちらはそれぞれ三機。
索敵第二陣として「加賀」から九機。
合わせて三三機の彗星が四隻の空母の飛行甲板を蹴ってミッドウェーの空へと駆け上がっていく。
索敵線は二四設けられ、このうち敵艦隊の存在可能性が高い九線についてはこれを二段索敵とすることで確実を期している。
また、彗星の飛ばない空域には、こちらは小型空母に搭載された九七艦攻のうちの一二機を索敵に出している。
艦隊後方に関しては、ほとんど太平洋艦隊の出現可能性は無いが、それでも万一のこともある。
念を入れておくことに越したことはなかった。
過剰とも言える索敵機を投入した成果はすぐに現れる。
太平洋艦隊との接触が最も濃厚だと考えられていた索敵線と、その左右に設定された索敵線を飛ぶ彗星がそれぞれ敵艦隊を発見したのだ。
「三隻の空母を基幹とする機動部隊発見。空母はいずれも未知の新型」
「敵機動部隊発見。空母三隻、そのうちの二隻は大型」
「空母三隻からなる機動部隊発見。うち一隻は『レンジャー』と認む」
「戦艦六隻を主力とする艦隊発見。戦艦はすべて新型」
相次いでもたらされる情報に対し、小沢長官は隣に立つ柳本参謀長を見やる。
柳本参謀長は開戦時には「蒼龍」の艦長を努めており、マーシャル沖海戦においては洋上航空戦を経験している。
また、早いうちから電探の有用性を訴えていたことでも知られていた。
戦術それに技術の両方に対する深い知見を併せ持つことが評価され、少将に昇任すると同時に第三艦隊の参謀長に就任した。
「攻撃は、これをすべて敵機動部隊へ振り向けるべきです。発見された敵は三群。一方で、こちらは六つの機動部隊を擁しています。ですので、二個機動部隊で一つの飛行集団を形成し、それを三個編成したうえで敵機動部隊にこれをぶつけます」
柳本参謀長の具申に、疑問を抱く幕僚はいなかった。
過去の苦い戦訓、あるいは経験則を共有していたからだ。
マーシャル沖海戦の際、第二次攻撃隊は空母ではなく戦艦を攻撃するよう命じられた。
当時の連合艦隊司令部は、空母を撃沈するよりも戦艦を撃沈したほうが米国民に与える衝撃が大きいと考えたからだ。
彼らは軍事的合理性よりも政治的効果を優先した。
しかし、その目論見は脆くも崩れる。
米海軍の中でも特に最強と呼ばれる戦艦を撃沈したのにもかかわらず、米国に対してはさほどショックを与えるには至らなかったのだ。
そのうえ、九死に一生を得た米空母は、その後は西太平洋を暴れまわり、さらに帝都空襲までやらかした。
ミッドウェー海戦でそれら米空母を始末することが出来たから良かったものの、もし米空母を野放しにする状態が続いていたとしたら、帝国海軍は国民から非難を受ける羽目に陥っていたかもしれない。
そして、マーシャル沖海戦当時、その愚にもつかない命令に切歯扼腕していた者のうちの一人が柳本参謀長だった。
その柳本参謀長が提示する戦策に満足の意を示しつつ、小沢長官は具体的な戦力それに目標の割り振りについて尋ねる。
「まずは大型空母二隻を含むもの、それとすべてを新型で固めているという部隊を最優先目標とします。旧式空母よりも新型をやられる方が米軍にとっては打撃が大きいものと推察されますから」
旧式の「レンジャー」よりも新型により戦力の大きい航空隊をぶつける。
小沢長官も、柳本参謀長の考えに異論は無かった。
早速それを実行に移すべく命令する。
「発見された機動部隊は北から順に甲一、甲二、甲三と呼称する。水上打撃部隊についてはこれを乙一とする」
少し間を置き、小沢長官は命令を重ねる。
「第三艦隊と第四艦隊は甲二、第五艦隊と第七艦隊は甲一、第六艦隊と第八艦隊は甲三をその目標とする。乙一は無視だ。戦艦に対する攻撃は、これを厳禁とする」
小沢長官の命令からほどなく、第三艦隊から第八艦隊に配備された空母が風上へとその艦首を向けて加速していく。
発艦速度に到達すると同時に零戦が滑走を開始、ミッドウェーの空へと舞い上がっていく。
さらに、彗星や天山もそれに続く。
出撃したのは第三艦隊と第四艦隊それに第五艦隊と第六艦隊からそれぞれ零戦が四八機に彗星が一八機、それに天山が同じく一八機。
第七艦隊と第八艦隊からそれぞれ零戦が三六機に天山が四八機。
合わせて五〇四機の艦上機群が、三つの集団に分かれて進撃を開始する。
大型空母二隻を主力とする機動部隊と、それにすべての空母を新型で固めた二群に対してはそれぞれ第五艦隊と第七艦隊、それに第六艦隊と第八艦隊の艦上機隊をぶつける。
一方、第三艦隊とそれに第四艦隊の艦上機隊が狙うのは「レンジャー」を含む機動部隊だ。
第五艦隊と第七艦隊、それに第六艦隊と第八艦隊の連合編成のほうはそれぞれ零戦が八四機に彗星が一八機、それに天山が六六機。
第三艦隊ならびに第四艦隊のほうは零戦が九六機に彗星が三六機、それに天山もまた同じく三六機。
天山が多いのは、逆に彗星が少ないことの裏返しでもあった。
彗星はその発艦要件の厳しさから、搭載する空母を選ぶのだ。
それと、索敵や接触維持任務に三六機もの彗星を充てていることもまた、大きな理由の一つだった。
攻撃隊が発進して一時間ほど経った頃、前衛の第一艦隊から緊急電が飛び込んでくる。
「大和」の電探が敵の大編隊を捉えたというのだ。
「敵にわずかに機先を制されたようだが、しかしこちらもすでに攻撃隊は発進させている。そうなれば、あとは正面からの殴り合いだ」
そう言って、小沢長官は迎撃戦闘の準備を下令する。
第三艦隊から第八艦隊までの六個艦隊には、それぞれ七二機の零戦が用意されていた。
全体指揮を委ねられている第三艦隊司令長官の小沢中将は夜も明けきらないうちから索敵機の発進を命じた。
索敵第一陣として第三艦隊の「赤城」と「加賀」からそれぞれ九機、それに第四艦隊の「飛龍」と「蒼龍」からこちらはそれぞれ三機。
索敵第二陣として「加賀」から九機。
合わせて三三機の彗星が四隻の空母の飛行甲板を蹴ってミッドウェーの空へと駆け上がっていく。
索敵線は二四設けられ、このうち敵艦隊の存在可能性が高い九線についてはこれを二段索敵とすることで確実を期している。
また、彗星の飛ばない空域には、こちらは小型空母に搭載された九七艦攻のうちの一二機を索敵に出している。
艦隊後方に関しては、ほとんど太平洋艦隊の出現可能性は無いが、それでも万一のこともある。
念を入れておくことに越したことはなかった。
過剰とも言える索敵機を投入した成果はすぐに現れる。
太平洋艦隊との接触が最も濃厚だと考えられていた索敵線と、その左右に設定された索敵線を飛ぶ彗星がそれぞれ敵艦隊を発見したのだ。
「三隻の空母を基幹とする機動部隊発見。空母はいずれも未知の新型」
「敵機動部隊発見。空母三隻、そのうちの二隻は大型」
「空母三隻からなる機動部隊発見。うち一隻は『レンジャー』と認む」
「戦艦六隻を主力とする艦隊発見。戦艦はすべて新型」
相次いでもたらされる情報に対し、小沢長官は隣に立つ柳本参謀長を見やる。
柳本参謀長は開戦時には「蒼龍」の艦長を努めており、マーシャル沖海戦においては洋上航空戦を経験している。
また、早いうちから電探の有用性を訴えていたことでも知られていた。
戦術それに技術の両方に対する深い知見を併せ持つことが評価され、少将に昇任すると同時に第三艦隊の参謀長に就任した。
「攻撃は、これをすべて敵機動部隊へ振り向けるべきです。発見された敵は三群。一方で、こちらは六つの機動部隊を擁しています。ですので、二個機動部隊で一つの飛行集団を形成し、それを三個編成したうえで敵機動部隊にこれをぶつけます」
柳本参謀長の具申に、疑問を抱く幕僚はいなかった。
過去の苦い戦訓、あるいは経験則を共有していたからだ。
マーシャル沖海戦の際、第二次攻撃隊は空母ではなく戦艦を攻撃するよう命じられた。
当時の連合艦隊司令部は、空母を撃沈するよりも戦艦を撃沈したほうが米国民に与える衝撃が大きいと考えたからだ。
彼らは軍事的合理性よりも政治的効果を優先した。
しかし、その目論見は脆くも崩れる。
米海軍の中でも特に最強と呼ばれる戦艦を撃沈したのにもかかわらず、米国に対してはさほどショックを与えるには至らなかったのだ。
そのうえ、九死に一生を得た米空母は、その後は西太平洋を暴れまわり、さらに帝都空襲までやらかした。
ミッドウェー海戦でそれら米空母を始末することが出来たから良かったものの、もし米空母を野放しにする状態が続いていたとしたら、帝国海軍は国民から非難を受ける羽目に陥っていたかもしれない。
そして、マーシャル沖海戦当時、その愚にもつかない命令に切歯扼腕していた者のうちの一人が柳本参謀長だった。
その柳本参謀長が提示する戦策に満足の意を示しつつ、小沢長官は具体的な戦力それに目標の割り振りについて尋ねる。
「まずは大型空母二隻を含むもの、それとすべてを新型で固めているという部隊を最優先目標とします。旧式空母よりも新型をやられる方が米軍にとっては打撃が大きいものと推察されますから」
旧式の「レンジャー」よりも新型により戦力の大きい航空隊をぶつける。
小沢長官も、柳本参謀長の考えに異論は無かった。
早速それを実行に移すべく命令する。
「発見された機動部隊は北から順に甲一、甲二、甲三と呼称する。水上打撃部隊についてはこれを乙一とする」
少し間を置き、小沢長官は命令を重ねる。
「第三艦隊と第四艦隊は甲二、第五艦隊と第七艦隊は甲一、第六艦隊と第八艦隊は甲三をその目標とする。乙一は無視だ。戦艦に対する攻撃は、これを厳禁とする」
小沢長官の命令からほどなく、第三艦隊から第八艦隊に配備された空母が風上へとその艦首を向けて加速していく。
発艦速度に到達すると同時に零戦が滑走を開始、ミッドウェーの空へと舞い上がっていく。
さらに、彗星や天山もそれに続く。
出撃したのは第三艦隊と第四艦隊それに第五艦隊と第六艦隊からそれぞれ零戦が四八機に彗星が一八機、それに天山が同じく一八機。
第七艦隊と第八艦隊からそれぞれ零戦が三六機に天山が四八機。
合わせて五〇四機の艦上機群が、三つの集団に分かれて進撃を開始する。
大型空母二隻を主力とする機動部隊と、それにすべての空母を新型で固めた二群に対してはそれぞれ第五艦隊と第七艦隊、それに第六艦隊と第八艦隊の艦上機隊をぶつける。
一方、第三艦隊とそれに第四艦隊の艦上機隊が狙うのは「レンジャー」を含む機動部隊だ。
第五艦隊と第七艦隊、それに第六艦隊と第八艦隊の連合編成のほうはそれぞれ零戦が八四機に彗星が一八機、それに天山が六六機。
第三艦隊ならびに第四艦隊のほうは零戦が九六機に彗星が三六機、それに天山もまた同じく三六機。
天山が多いのは、逆に彗星が少ないことの裏返しでもあった。
彗星はその発艦要件の厳しさから、搭載する空母を選ぶのだ。
それと、索敵や接触維持任務に三六機もの彗星を充てていることもまた、大きな理由の一つだった。
攻撃隊が発進して一時間ほど経った頃、前衛の第一艦隊から緊急電が飛び込んでくる。
「大和」の電探が敵の大編隊を捉えたというのだ。
「敵にわずかに機先を制されたようだが、しかしこちらもすでに攻撃隊は発進させている。そうなれば、あとは正面からの殴り合いだ」
そう言って、小沢長官は迎撃戦闘の準備を下令する。
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