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第21話 王太子の訪問
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初夏の風が吹き抜け、麦畑が金色に波打っていた。
遠くではまだ雪を被る山々が薄く霞み、空には高鳴る雲雀の声が響く。
穏やかな朝――けれど、屋敷の空気はどこか落ち着かないものだった。
「グレイス様、王都から正式な使いが向かっているそうです。」
リーナが息を切らせて駆け込んできたのは、日の出間もなくだった。
手にしているのは封書。王家の印章が、赤く封蝋の上で光っている。
グレイスはその印を見るなり、胸の奥が冷たくなった。
「……殿下が?」
「はい。どうやら王太子殿下ご自身で来られるようです。」
「……そんな、まさか。」
声がわずかに震える。
王都を出てから、どれほどの時間が過ぎただろう。
もはや再会など望むこともなかった。
しかし、“来る”という事実に、過去がまた扉を開こうとしていた。
リーナが不安そうに顔を覗き込む。
「お嬢様、どうされますか?」
グレイスは、わずかに息を飲んで言った。
「……逃げません。もう、今のわたしはアイリスではなく、グレイスですから。」
***
王太子来訪の報せは瞬く間に広まり、屋敷中が慌ただしく動き始めた。
食卓の準備、応接室の整備、見張りの強化。
どの者も主である公爵の顔色を気にしていたが、レオン・アルドレッド本人に焦りはなかった。
「王太子が自ら来ると? ずいぶん暇なのか、王都は。」
皮肉とも取れる言葉を低く吐き、書類へ視線を戻す。
副官が遠慮がちに言葉を続けた。
「ですが、閣下……。殿下が来られるということは、俗に言う“和解の申し出”かと。」
「和解なら手紙一本で済むだろう。」
鋭い視線が一度天井へと逸れ、次に扉を見た。
そこにはグレイスの姿があった。
「来ていたのか。」
「はい。ご報告を伺いました。」
「……怖いか。」
「いいえ。今のわたしはもう、何も奪われません。」
その言葉に、レオンは小さく笑った。
「頼もしいな。」
「公爵様……もし、わたしのせいでご迷惑をかけたら――」
「その話は終わりだ。これからは“お前のせいで守るべきものが増えた”と思えばいい。」
彼の言葉が、まっすぐに胸に届いた。
何度も彼に支えられた。
けれど、今度は自分自身の意志で立ち向かわなければならないと、心の奥で強く思った。
***
王太子の一行がアルドレッド領に到着したのは、三日後の午後。
重厚な馬車二台に、護衛の騎士たちが付き従っている。
王家の紋章がはためく旗が、まるで過去そのものを引き連れて来るようだった。
屋敷の門が開き、レオン自らが迎え出る。
彼の立ち姿は、どこに出しても誇り高く、威厳に満ちていた。
騎士が馬車の扉を開くと、そこから降り立ったのは――あの男。
金の髪を陽に透かしながら、王太子リュシアンはかつての婚約者を探すように辺りを見渡した。
視線が一瞬、グレイスに止まる。
しかし彼女は、微笑もせず、ただ静かにお辞儀をした。
「殿下。ようこそ、アルドレッド領へ。」
冷静な声。その響きには、かつての少女らしさはもうない。
リュシアンの喉がわずかに動く。
目の前にいるのが“アイリス”だと理解していても、
今目にしている女性は、もうまるで別人のように感じられていた。
「……久しいな。元気そうで、何よりだ。」
「お心遣い、感謝いたします。」
言葉のやり取りの合間も、空気は張り詰めていた。
誰一人として動かず、部屋全体が彼らの会話を見守る舞台のように静まり返っている。
やがて、レオンが一歩前へ出た。
「殿下、長旅でお疲れでしょう。まずはお席へ。話はそれからでも。」
「……感謝する、アルドレッド公爵。」
その場で交わされた礼節は完璧だったが、二人の間に流れるものは氷のように冷たかった。
***
夕刻、三人は応接間へ。
窓越しに沈む太陽が赤く、誰の心も明るくは照らしてくれなかった。
リュシアンが最初に口を開く。
「……私は、謝罪をしに来た。」
「謝罪?」とレオンが応じる。
「アイ――いや、グレイス。あの日、君を傷つけたこと、心から詫びたい。」
低い声だった。だがその奥に、長い後悔と自己嫌悪が滲んでいた。
グレイスは黙って彼を見つめた。
あの夜、婚約を破棄された痛み。
愛した相手に否定された絶望。
それが蘇りながらも、彼女の唇は静かに動いた。
「殿下。あの日のことを、わたしは忘れません。けれど、もう恨んでもいません。」
「……そうか。」
「ただ、あの時のわたしは“愛されている”と信じていた。それが間違いだったとしても、後悔していません。」
リュシアンの目が伏せられる。
グレイスの口調は穏やかで、冷たさなどなかった。
だがその一点の曇りのない視線が、リュシアンには何よりも苦しかった。
「貴方がわたしを離したから、今のわたしがいます。
この領で、人々の笑顔を見るために働いています。……それが、貴方から贈られた最後の恩だと、今は思っています。」
レオンが横でじっと黙って聞いていた。
グレイスの言葉に嘘がないことを感じ取りながら、胸の奥が熱くなる。
「だから、もういいのです。どうか殿下も、幸せになってください。」
その言葉を受け、リュシアンは深く頭を下げた。
彼の肩がかすかに震えていた。
「……ありがとう。君は、本当に強くなったな。」
「いいえ。わたしを強くしてくださったのは、公爵様と、この場所に住む人々です。」
そう言ってグレイスが微笑むと、レオンの胸が静かに満たされた。
彼は一歩だけ前に出て、淡々と告げる。
「殿下、これでよろしいでしょうか。」
「……ああ。」
「ならば、この次は何も持たずに来てください。商談でも謝罪でもない、“ただの旅人”として。
その時、領民たちはきっと喜んで迎えるだろう。」
リュシアンの唇に、わずかな笑みが浮かぶ。
「……あなたが彼女を支えてくれていることが、何よりの救いだ。」
その言葉にレオンは何も答えず、ただ無言で視線を返した。
互いが互いの立場を理解していた。
もう“勝者”も“敗者”も存在しない。
あるのは、それぞれの選んだ道だけだ。
***
王太子の一行が屋敷を去ったのは、夜の帳が下りる頃だった。
馬蹄の音が遠ざかり、静けさが戻る。
グレイスは庭に出て空を仰いだ。
星が瞬く。
心の奥に、一つの重い扉がそっと閉じる気がした。
背後からレオンの歩み寄る音がする。
「終わったな。」
「はい。ようやく、すべてが。」
「泣かないのか。」
「泣きません。あの人のために流す涙は、もう残っていません。」
風が二人の間を通り抜ける。
やがて、グレイスが微笑って言った。
「公爵様、これでもう本当に自由になれますね。」
「……ああ。お前も、俺も。」
月が雲間から顔を出し、淡い光が二人を照らした。
その光はまるで祝福のようで、長い年月の痛みすら包み込んで消していった。
(第21話 王太子の訪問 了)
遠くではまだ雪を被る山々が薄く霞み、空には高鳴る雲雀の声が響く。
穏やかな朝――けれど、屋敷の空気はどこか落ち着かないものだった。
「グレイス様、王都から正式な使いが向かっているそうです。」
リーナが息を切らせて駆け込んできたのは、日の出間もなくだった。
手にしているのは封書。王家の印章が、赤く封蝋の上で光っている。
グレイスはその印を見るなり、胸の奥が冷たくなった。
「……殿下が?」
「はい。どうやら王太子殿下ご自身で来られるようです。」
「……そんな、まさか。」
声がわずかに震える。
王都を出てから、どれほどの時間が過ぎただろう。
もはや再会など望むこともなかった。
しかし、“来る”という事実に、過去がまた扉を開こうとしていた。
リーナが不安そうに顔を覗き込む。
「お嬢様、どうされますか?」
グレイスは、わずかに息を飲んで言った。
「……逃げません。もう、今のわたしはアイリスではなく、グレイスですから。」
***
王太子来訪の報せは瞬く間に広まり、屋敷中が慌ただしく動き始めた。
食卓の準備、応接室の整備、見張りの強化。
どの者も主である公爵の顔色を気にしていたが、レオン・アルドレッド本人に焦りはなかった。
「王太子が自ら来ると? ずいぶん暇なのか、王都は。」
皮肉とも取れる言葉を低く吐き、書類へ視線を戻す。
副官が遠慮がちに言葉を続けた。
「ですが、閣下……。殿下が来られるということは、俗に言う“和解の申し出”かと。」
「和解なら手紙一本で済むだろう。」
鋭い視線が一度天井へと逸れ、次に扉を見た。
そこにはグレイスの姿があった。
「来ていたのか。」
「はい。ご報告を伺いました。」
「……怖いか。」
「いいえ。今のわたしはもう、何も奪われません。」
その言葉に、レオンは小さく笑った。
「頼もしいな。」
「公爵様……もし、わたしのせいでご迷惑をかけたら――」
「その話は終わりだ。これからは“お前のせいで守るべきものが増えた”と思えばいい。」
彼の言葉が、まっすぐに胸に届いた。
何度も彼に支えられた。
けれど、今度は自分自身の意志で立ち向かわなければならないと、心の奥で強く思った。
***
王太子の一行がアルドレッド領に到着したのは、三日後の午後。
重厚な馬車二台に、護衛の騎士たちが付き従っている。
王家の紋章がはためく旗が、まるで過去そのものを引き連れて来るようだった。
屋敷の門が開き、レオン自らが迎え出る。
彼の立ち姿は、どこに出しても誇り高く、威厳に満ちていた。
騎士が馬車の扉を開くと、そこから降り立ったのは――あの男。
金の髪を陽に透かしながら、王太子リュシアンはかつての婚約者を探すように辺りを見渡した。
視線が一瞬、グレイスに止まる。
しかし彼女は、微笑もせず、ただ静かにお辞儀をした。
「殿下。ようこそ、アルドレッド領へ。」
冷静な声。その響きには、かつての少女らしさはもうない。
リュシアンの喉がわずかに動く。
目の前にいるのが“アイリス”だと理解していても、
今目にしている女性は、もうまるで別人のように感じられていた。
「……久しいな。元気そうで、何よりだ。」
「お心遣い、感謝いたします。」
言葉のやり取りの合間も、空気は張り詰めていた。
誰一人として動かず、部屋全体が彼らの会話を見守る舞台のように静まり返っている。
やがて、レオンが一歩前へ出た。
「殿下、長旅でお疲れでしょう。まずはお席へ。話はそれからでも。」
「……感謝する、アルドレッド公爵。」
その場で交わされた礼節は完璧だったが、二人の間に流れるものは氷のように冷たかった。
***
夕刻、三人は応接間へ。
窓越しに沈む太陽が赤く、誰の心も明るくは照らしてくれなかった。
リュシアンが最初に口を開く。
「……私は、謝罪をしに来た。」
「謝罪?」とレオンが応じる。
「アイ――いや、グレイス。あの日、君を傷つけたこと、心から詫びたい。」
低い声だった。だがその奥に、長い後悔と自己嫌悪が滲んでいた。
グレイスは黙って彼を見つめた。
あの夜、婚約を破棄された痛み。
愛した相手に否定された絶望。
それが蘇りながらも、彼女の唇は静かに動いた。
「殿下。あの日のことを、わたしは忘れません。けれど、もう恨んでもいません。」
「……そうか。」
「ただ、あの時のわたしは“愛されている”と信じていた。それが間違いだったとしても、後悔していません。」
リュシアンの目が伏せられる。
グレイスの口調は穏やかで、冷たさなどなかった。
だがその一点の曇りのない視線が、リュシアンには何よりも苦しかった。
「貴方がわたしを離したから、今のわたしがいます。
この領で、人々の笑顔を見るために働いています。……それが、貴方から贈られた最後の恩だと、今は思っています。」
レオンが横でじっと黙って聞いていた。
グレイスの言葉に嘘がないことを感じ取りながら、胸の奥が熱くなる。
「だから、もういいのです。どうか殿下も、幸せになってください。」
その言葉を受け、リュシアンは深く頭を下げた。
彼の肩がかすかに震えていた。
「……ありがとう。君は、本当に強くなったな。」
「いいえ。わたしを強くしてくださったのは、公爵様と、この場所に住む人々です。」
そう言ってグレイスが微笑むと、レオンの胸が静かに満たされた。
彼は一歩だけ前に出て、淡々と告げる。
「殿下、これでよろしいでしょうか。」
「……ああ。」
「ならば、この次は何も持たずに来てください。商談でも謝罪でもない、“ただの旅人”として。
その時、領民たちはきっと喜んで迎えるだろう。」
リュシアンの唇に、わずかな笑みが浮かぶ。
「……あなたが彼女を支えてくれていることが、何よりの救いだ。」
その言葉にレオンは何も答えず、ただ無言で視線を返した。
互いが互いの立場を理解していた。
もう“勝者”も“敗者”も存在しない。
あるのは、それぞれの選んだ道だけだ。
***
王太子の一行が屋敷を去ったのは、夜の帳が下りる頃だった。
馬蹄の音が遠ざかり、静けさが戻る。
グレイスは庭に出て空を仰いだ。
星が瞬く。
心の奥に、一つの重い扉がそっと閉じる気がした。
背後からレオンの歩み寄る音がする。
「終わったな。」
「はい。ようやく、すべてが。」
「泣かないのか。」
「泣きません。あの人のために流す涙は、もう残っていません。」
風が二人の間を通り抜ける。
やがて、グレイスが微笑って言った。
「公爵様、これでもう本当に自由になれますね。」
「……ああ。お前も、俺も。」
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