義兄のものをなんでも欲しがる義弟に転生したので清く正しく媚びていくことにしようと思う

縫(ぬい)

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番外編

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 ……はっ、いやいやいや。リアムのリアムに動揺してる場合じゃない。俺にはまだ誕生日プレゼントというミッションが残っている。ここで湯当たりなんてしたら翌日になってしまう!

 肩までお湯に浸かりゆっくり十数えてからお風呂を出て、風魔法を駆使し髪の毛をすばやく乾かして脱衣所を後にした。

 自室で身支度を整えたら包装された品をこっそりポケットに入れ、急ぎ足でリアムの部屋に向かう。

「兄上、よろしいですか?」

「もちろん。どうぞ」

 控えめに扉を叩くとすぐに返答があり、扉が開く。
 毎日リアムと寝ているからすっかり慣れた手順だ。部屋に二人きりになれば、まだ少し濡れているリアムの髪の毛をそっと魔法で乾かした。

「ああ、いつもありがとう。俺は髪が長いからどうも乾きにくくて」

「これは僕の特権ですからっ。それに、兄上の髪の毛、とっても似合っていて大好きです」

 ベッドに並んで座り彼の触り心地の良い髪の毛を指先に絡める。
 こんな綺麗な顔で、成績も良くて、愛想は良くないけど人当たりが悪いわけじゃなくて、その上髪の毛もさらっさらで肌も綺麗って非の打ち所がなさすぎるんだよな。

「シャノンは……もう伸ばさないのか?」

「僕は、あの……伸ばすと男らしさが消えちゃうので!」

 断固とした意思で返事をする。リアムはちょっと残念そうだけどこれは俺の意地なのだ。俺が可愛いのはそうだけど、女の子に間違われたいわけじゃないから!!

 いつもみたいに就寝前にお話ししているとちょっと眠くなってきてしまって、思わずあくびが出そうになる。
 いかんいかん。リアムもリアムでそれを察して寝かしにかかってきている。

「ふぁ……じゃなくて、兄上! 僕からお誕生日プレゼントです」

 ポケットからいそいそと小さな包みを取り出して義兄の掌に乗せた。
 無難なデザインのにしたし、格式ある場とかには勿論つけていけないと思うけど普段使いに支障はないと思うんだ。

 少しだけ目を見張った様子のリアムは、糸が溶けるように笑った。そのまま俺に許可を取って包装を剥がす。
 き、気に入ってくれるかな……。

「ネックレス……に、君の魔力を感じる」

「あ、き、気付かれました? ええと、兄上が以前僕にくれたものをちょっと真似しました……。あの、色々防衛特化の魔法を組んであります! 兄上は光魔法があるから必要ないかもしれないけど、良ければ普段つけていただければ」

「シャノン。君がつけてくれる?」

 変に緊張して口が止まらなくなってしまった。慌てる俺を目を細めて見ていたリアムが、途中で言葉を止めてそう願い出る。

 お、俺が、兄上につける? ネックレスを?

 お安い御用だと言いたいけど、ていうか実際快諾してしまったけど、いざ彼の首に正面から手を伸ばすと思ったより距離が縮まって焦る。
 彼の匂いを直に感じる距離だ。待ってやばい、なんか手汗出てきたぞ。
 もうえっろいキスも済ませた仲なのに、なんでこれくらいで動揺してるんだ。俺は!

 内心満身創痍になりながらどうにかリアムにネックレスをつけた。やけに疲れたな。

「つ、つけました……。あ、やっぱりよくお似合いです!」

 少しだけくすんだピンク色のそれは彼の全体的な色合いによく似合っていた。

「ありがとう。……君が俺にネックレスを選んでくれたって言う事実が、すごく嬉しい」

「え? えっと……?」

 リアムの言わんとするところが上手く汲み取れずに首を傾げる。すると彼はぐっと俺の手を引いた。その勢いのまま肩口に顔を預ける形となる。

「ネックレスを贈るのは、あなたと一緒にいたいという意味だと聞いたことがある。もしシャノンが意図していてもしていなくても、俺がそう解釈するのは自由だろう?」

「……!!」

 あ、そういう……!
 ええっ。ていうかそれなら余計他のやつあげなくてよかった!! 俺がめちゃくちゃ重いやつみたいじゃないか! 意味知らないならまだしも、俺は知ってるし!

 その気持ちがどうやら顔に出ていたらしい。俺の反応が思っていたものと違ったのか、リアムは不思議そうに首を傾げる。

「ん……? もしかして、知って」

「え! あ、ああー! はつみみ、初耳です! ……でもっ、あながち間違ってません。僕は兄上と一緒にいたいです」

 反射的に否定するも、本来の気持ちまでは嘘をつきたくなくて小声でそう付け加えた。
 実際贈る意味をなんとなく知ってるのに選んだのは、それが嘘じゃあないからだ。

 ……や、でも恥ずかしいなこれ。

 照れ隠しでリアムの肩に顔をぐりぐり押し付ける。
 その時、もう何も入っていないはずのポケットから金属が触れ合う音がした。

(ん? なんだ?)

 何も考えずそこに手を入れ、入っているものを探り出した。
 出てきたのは部屋に置いてきたはずのブレスレットとアンクレット。

(…………なんで? いや、見なかったことにしよう)

 平気な顔を作りその手をポケットに戻……そうとしたところで義兄に捕まる。

「それは?」

「うーん、なんでしょう。僕のなんですけど、間違って持ってきちゃったみたいです!」

「それ、シャノンちゃんがギリギリまで兄貴にあげるか迷ったたやつだぜ」

 テディが陰からにゅっと顔だけ出して告げ口する。なんだこいつ、敵か!?
 俺と目が合うと奴は親指を立てすぐに姿を消した。

(うおおい、グッじゃないんだよ! てか、勝手に入れたのもお前か!?)

 残されたのはゴリゴリに削れたHPゲージ。もうなんなら赤色ですが。

「そうなのか。どうしてやめ……ああ、なるほど」

 頭が良すぎるのも考えものである!!
 先程の俺の反応から察するものがあったのだろう義兄は、ひとつ頷くと手のひらをじっと見つめる。

「……贈ってもらえたら、嬉しいんだが」

「うう……」

 上目遣いで俺を見るリアムの顔の良さに全俺がノックアウトした。
 おずおずとふたつのアクセサリーを献上する。アクセサリーに罪はないんでね……。

「これは、熱烈なラブレターだと思っていい?」

「う、うう、うー!! お好きにどうぞ!!」

 最悪だ。これじゃあまるで俺がめちゃくちゃ束縛屋さんみたいじゃないか!

 リアムはめちゃくちゃ嬉しそうな顔で俺の手からふたつのアクセサリーを取り、それに口付けた。

「色も、まるで君みたいだ。シャノン。俺も叶うならば君を雁字搦めにしておきたいよ」

 色……たしかに俺の髪色に似ているかもしれない。それは本当に考えていなかった。
 でも余計なことを言うと藪蛇になりそうで、口をつぐむ。
 そんなことよりもリアムに贈り物以上の想い愛の言葉を囁かれたほうが今の俺には重要で……。

「今度は俺がシャノンにネックレスを贈ろう。とびっきりのデザインの、でも、君だけの首輪だ」

(うわーー!!!!)

 重い! 全然いい! かっこいい! 好き!

 きっと俺の目にはハートでも浮かんでいるかもしれない。
 首を撫でられ告げられた科白はしっかりと俺の心臓に突き刺さった。

 なるほど、リアムもプレゼントを受け取った時こんな感情だったのかもしれない。

(……お互い様なら、別にいいか!)





 それからリアムが毎日服の下にアクセサリー三つを完全装備しているのを見るたび、三種の神器だと情緒もへったくれもない名前を心の中で呼んでいるのは、普通に呆れられそうなので俺だけの秘密である。
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感想 53

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みんなの感想(53件)

もちち
2024.06.22 もちち

面白くて一気読みしてしまいました。番外編も最高すぎる…
続きが読みたいです…!!!楽しみに待ってます!!!!!シャノンちゃんかわいいです〜

解除
Raraland
2024.05.16 Raraland

すごく面白かったし幸せ一直線で凄い良かったです!続き楽しみに待ってます!

解除
虎太郎
2023.11.10 虎太郎

ノンストレスで 一気に読めました❗️
面白かったです。
続き 楽しみに待ってます(*´~`*)

解除

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