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秘密の関係

目覚めると目に入る金色の睫毛

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 それは翌朝、突然起きた。
 ふかふかのベッドでシュエットより先に目覚めたアデリアは、目を開いた。目の前には美しい金色に輝く長いまつげ。窓から差し込む朝日で、キラキラと輝いている。同じような金色の髪がそれ自体が光を放っているかのように煌めいて、まぶしかった。
「――え?」
 ぼんやりと芸術品かのような美しい顔を見つめていたアデリアは、ふと気が付いた。寝物語を聞かせながらシュエットを抱いて眠っていたはずなのに。
 今、アデリアは腕枕をされていた。
「えええええー?!」
 アデリアの絶叫で、目の前にあった長いまつ毛が動き、紅玉のような赤い瞳がふんわりとアデリアの姿を捉える。
「おはようアディ。朝から元気だな」
 寝起きでも美しいのは貴族だからなのだろうか。ザックスなんかは寝癖が酷かったものだけれど。
「は、伯爵?!」
「……ん?」
 目をまんまるにしたアデリアの様子に、ラスール伯爵も違和感を覚えたようだ。上半身を起し、自分の腕を見た。そして耳に触れ、毛に覆われてない事を確認すると、何度も目を瞬かせた。ラスール伯爵は、完璧に元の姿に戻っていたのだ。
「昨日までは……子供だったのに……!こんな急成長ははじめてだよアディ!」
「きゃっ!は、伯爵っ」
 ぎゅっと抱きしめたアデリアが、伯爵の腕の中で慌てて名を呼ぶ。
「なんだアディ?シュエットって呼んでくれないのかい?」
「服!服を着てぇええ!」
「――おっと、これは失敬」
 急激に成長した伯爵の体は、子供用の服を破いてしまっていた。露わになった胸部に抱かれたアデリアは、恥ずかしさで顔が真っ赤になっていた。
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